さて。ここで問題です。
Q「朝、職場に現れた女性の同僚に、口笛を吹いて、
『君のお尻かわいいね!』と言うのはセクハラになりますか?」
昨今の風潮からすると、ほぼすべての社会人が「はい」と答えるでしょう。
ところが、フランでは「いいえ」の方が多いそうです(◎__◎)
A はい 48パーセント < いいえ 52パーセント
では、もう一つ問題です。
Q「ランチの際、テーブルの下で、上司が女性の足に触れるのは
セクハラになりますか?」
女性の同僚の体に触れるなんて、絶対NG。
もちろん「はい」ですよね。
ところが、フランスでは、これまた「いいえ」だそうです。
しかも、6割以上もの人が(◎__◎)
Aはい 38パーセント < いいえ 62パーセント
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フランス人の性 なぜ「#MeToo」への反対が起きたのか (光文社新書)
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を読みました。
2017年秋に起こった「#Me Too」運動。
欧米では、権力を持つ男性などによる女性への
セクハラ、レイプを糾弾する運動が盛んになっています。
日本でも、セクハラに対しての意識が高まりを見せ、
僕たちが支援する企業の管理職の皆さんも
「どこまでが指導でどこからがセクハラとなるかわからない」
「相手がどう感じるかがすべてといわれると、もうお手上げなので、
女性部下とはあまり関わりたくない」
という声をよく聞きます。
そんな中、フランスでは
男性が誘ってくれなければ、女性は応えられないではないかと
女優カトリーヌ・ドヌーヴら100人の女性たちが
「#Me Too」運動に反対声明を出しました。
随分とフランス人の感覚は違うものだな、と感じた人も多いのではないでしょうか。
いやいやその通り!と膝を打った人もいるかもしれませんね。
そんなフランスと日本の性に対する意識の違いを
フランス在住30年のジャーナリストのプラド夏樹さんが
明快に論じた一冊。
執筆の動機は、息子さん(日仏ハーフ)が思春期の頃、
女友だちの家に泊まりに行こうとすることを
どう母親としてたしなめればよいのか葛藤したことが契機だとか。
家庭内で性を語ることをタブー視する日本的感性と
オープンに語り合うフランス的感性のギャップに戸惑ったといいます。
そもそもプラド夏樹さんは、
仮面夫婦だった両親のもとに育ち、
こういった家庭ではない家庭を持ちたいと思っていたそうです。
そんな中、フランス人と出会いカップルになり、
1988年に渡仏し、もう30年もフランスに暮らしてらっしゃいます。
本を読みながら、僕は、報道を通じて
いかに欧米各国の表層的な国民性しか理解していなかったかと
気恥ずかしくなりました。
プラド夏樹さんによると、
そもそも「セクシャル・ハラスメント」という概念が生まれ、
「#MeToo」運動が起こったアメリカは、
キリスト教のうちでも質素、清潔、潔白をモットーとする
プロテスタントのなかでも厳格なセクト、ビューリタンの
ピルグリム・ファーザーズが上陸し、建国された国。
一方、フランスは、歴史的な背景からも
形式的な一夫一婦制を強要する結婚という制度に対して大きな反発があり、
自由恋愛、事実婚を容認してきた国。
アメリカに自由の女神を贈ったのもフランスでしたね。
仕事や子どもよりもカップルの関係を重視し、
家庭でもオープンに性教育の話題をすることが多いそうです。
家庭でも性の話をタブー視しがちな日本とは全く異なります。
フランスでは大統領が不倫していても、国民は大騒ぎしないそうです。
また冒頭でも紹介しましたが、引用されていた2017年10月に放映された
テレビ局フランス2のドキュメント番組
「職場セクハラ・みんなの問題」でのセクハラに関する
クイズによる意識調査は象徴的でした。
Q1「朝、職場に現れた女性の同僚に、口笛を吹いて、
『君のお尻かわいいね!』と言うのはセクハラになりますか?」
はい 48パーセント
いいえ 52パーセント
Q2「ランチの際、テーブルの下で、上司が女性の足に触れるのは
セクハラになりますか?」
はい 38パーセント
いいえ 62パーセント
プラド夏樹さんは言います。
「フランスでは結婚という制度に対して大きな反発があり、
20世紀半ばからは二人の個人の自由な結びつきである事実婚が
主流となった。以来、愛情表現としてのセックスやスキンシップ以外に
カップルを規定するものがなくなってしまったのである」
と。
「人生でいちばん大切なのは?」
フランスの女性 男性
カップル生活 51パーセント 54パーセント
家族 42パーセント
仕事 8パーセント
趣味 4パーセント
これはこれで素晴らしいと思うものの、
さすがに恋愛関係を保つことは容易ではなく、
フランスでは3組に1組は別離、パリでは半分は別離するとか。
(とはいえ、日本でも3組に1組は離婚しますね^^|)
プラド夏樹さんご自身もカップルとして、色気のある関係を
相手と保つ緊張関係の大変さを感じてらっしゃるようです。
フランスも時代の変化とともに恋愛やカップルのあり様は行き来してきたようですから、
フランスが進んでいて、日本が遅れているという問題ではなく、
時代や国によって、恋愛観や家族観は異なるということですね。
やはり、違いを認めることが大切です。
とても学びに溢れた本でした。
セクハラに対する見識を深めたいすべての方にお勧めです。
ちなみに、フランス在住のプラド夏樹さんは
どうしても日本で本を出したいと考えておられて、
たまたま共通の友人である貴子さんを介して知り合い、
出版に関して、少しだけアドバイスをさせてもらった経緯もあり、
謝辞に僕の名前も記載されています。
ご縁に感謝です。
すべては、この国に「人が育つ現場」を取り戻すために。
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