日本の大課題 子どもの貧困: 社会的養護の現場から考える (ちくま新書)/筑摩書房
を読みました。

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・日本の社会保障政策は、家族を単位として実施されています。

 このため、家族から切り離されてしまった子どもたちは、

 従来の社会のセーフティネットでは救うことができないのです。

 この子たちを救っているのは、児童養護施設。

 児童養護施設が、子どもたちを救う最後の砦に

 なっているのです



・東京都立 石神井学園

 渋沢栄一さんが初代の園長



・アメリカの有名な孤児院である「少年の町」



・723年(養老7年)に設置された悲田院

 (仏教の慈悲に基づき、貧しい人や孤児を救うために

 つくられた施設)



・現在、85%の養護施設は社会福祉法人・財団法人

 などの民間の団体



・公立から民間に経営が移りつつある


・第1次自我が形成される2-3歳期に、

 人格の約70%が形成される


・養子縁組による里親の場合、親がすでに

 親権を放棄しています



・自分が養子であることは、戸籍謄本を

 見ればすぐに分かりますから



・真実告知をいつ、誰と行うかがすごく大事



・国は今、社会的養護の定員の3分の1を施設で、

 3分の1をグループホームで、残りの3分の1を里親に

 委託する計画で、約1万人を里親制度に移行しようと

 しています



・里親認定


 共働きじゃ駄目


 中学高校生を引き取るのであれば大丈夫


 家に2間以上あることが要件


 ご主人が働いていることが前提


 里親には国から措置費が出ますから、子どもの養育費は

 賄えます



・ファミリーホーム



・養子縁組 

 措置費は出ない


・東日本大震災をきっかけに、

 東北地方で「親族里親」制度が始まりました


3親等までが可能



・子ど同士の葛藤


・里親に引き取られている社会的養護の子どもの割合は

 12~13%ですけれど、ゆくゆくはそれを30%近くまで

 引き上げようとしています



・措置費

 通常ですと、6歳、小学校に上がるぐらいの年齢が基準

 1人についての事業費(生活諸費)は5万円くらいです



・「良き納税者になりなさい。それこそが、

 お世話になったことに対する社会への恩返しだよ」



・養育は親の責任ではなく、社会の責任だと

 考えられるようになってきています



・ここ十数年で社会的養護を必要とする

 児童の数は増加し、2011年の厚労省の発表によれば、

 対象児童の数は4万6000人・・・

 けれども実際には、少なくとも7万人は存在すると言われています



・子どもというのは2~3歳期の問題を

 ずっと引きずって成長していきます



・企業が海外へ進出し始めたからでしょうか。

 職を失った親御さんたちが増えはじめた頃から、

 家庭で養育できない子どもが目立つように



いまや6人に1人の子どもが貧困


 2013年には「子どもの貧困対策の推進に関する法律」



約3万人の入所児童の内容として、

 虐待を理由に児童相談所から養護施設に

 入ってくる子どもは、50%をこえます。

 他は養育する意志のない親の子どもです。

 いわゆる養育放棄ですね。そういう例も15%ぐらいはあります



・障害のある子どもたちも増えてきていて、

 2割をこえます



・施設の役割というのは、

 子どもながらに居場所を見つけられるように

 お手伝いすること



・居場所探しを手伝うと同時に、

 居場所になってあげなければいけない



・大学進学の割合が11~12%ぐらいになりましたが、

 でも8割は就職します



・平成23年度に、全国の児童養護施設での高校卒業生は

 1543人で、その進路は大学進学11%(短大含む)、

 専門学校11%、就職70.4%、その他7.0%です。

 全国平均では、大学と専門学校を含めた

 高等教育機関への進学率が70%をこえていることを

 考えると、まだまだ低い


 中学を卒業して高校に入学した2500人のうち

 約900人が中退している



・昨年から厚労省が、学費は大学の入学支度金

 というかたちで初年度に約70万円を支給


・支える力の強さは母性


・子どもたちをつねに見守っていることが、

 自立の助けになると信じています



・たくさんの思い出づくりだけではなく

 平凡な1日でも子どもたちの1日1日を

 大事にしてやる必要がある



・児童福祉法の第1条では

 「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、

 愛護されなければならない」

 と規定


・自助、共助、公助



・日本はそもそも、公的な教育費自体が低い



・全国では、所在不明の子どもが約5000人

 といわれています



・認知症を発症した老人が徘徊し、行方不明に

 なっている人の数が1万人ともいわれています



・子どもにとって、親は、どんな人間であろうと、 

 やはり親なのだ


・児童養護施設の新しい潮流はグループホーム



・重層化した養護困難


・多重逆境



・イギリス全国で調査した7つの社会的不利のうち

 5つ以上の問題を抱えていた逆境家庭で育った

 13~14歳の子どもの学校中退率は、

 逆境がない家庭の子どもの36倍でした。

 また養護(日本の社会的養護に相当する)

のもとでの生活や、警察が関わる状況になるリスクが6倍



➀いずれの親も働いていない(仕事がない)、

 ②劣悪な住宅事情での生活、

 ➂親の低学歴、

 ➃母親の精神疾患、

 ➄どちらかの親の長期疾病ないし障がい、

 ➅低所得の世帯(平均世帯年収の約60%以下)、

 ⑦必要な食料品や衣料品が購入できない


 5つ以上の社会的不利を同時に経験している家庭が、

 英国国内の1.9%(約14万)



外的な環境があまりにも不安と恐怖に満ちていると、

 子どもは自らが置かれた困難に満ちた状況を

 正視することを避け、防衛的な態度で過ごすうちに、

 内的に考える機能が奪われてしまいます。

 それは心理的剥奪状況というべき状態です。


 こうした外的な剥奪状況が内的な剥奪状況を

 生じさせることを、精神分析の児童治療者である

 ウィリアムズ・G(1994)は「二重の剥奪」と捉えました



・養育ネグレクト


 

・教育的ネグレクトとは、

 前述のような混乱した子どもが、

 学校教育のなかで自分の成長や達成に

 興味を持たなくなり、教師はそうした子どもを

 意欲や学習能力が低いと見なし、

 関わりが希薄になってゆくという第二のネグレクトの状態



児童養護施設で暮らす子どもにとって実親の存在や

 家庭で過ごした時間のことは、意識的であれ

 無意識的であれ、心のなかに今も生きています。

 かりに言葉のうえでは否定したとしても、

 気持ちの深いところでは決して消えるものではありません。

 心理的かつ社会的に剥奪的状況にあった子どもの多くは、

 実親に対する強い理想化と同時に、

 その対極の怒りと拒否を同時にかかえた

 心の世界があります



・表層的にはしっかりしたがんばる子どもとして見えるのですが、

 その内実としては大人や環境に適切な依存を

 経験することができず、むしろ親を気遣ったり

 世話をすることで、自分の安全感や存在感を

 確保するという、逆転した心理的関係


・Tさんが乳児期の頃に、両親は離婚

 ・・・

 母親が抱えてきた長期間にわたる心の病がもたらす問題は、

 Tさんと兄との生活を予測のつかない混乱で翻弄しました。

 ・・・

 母子一緒に穏やかな生活が続いていても、

 ある日突然母親は外出し、数日間、帰宅しない

 ・・・

 年齢に相応な保育園や幼稚園へ入園せずに、

 小学校へ入学しました

 ・・・

 近所の人たちが使わなくなった電機炊飯器をプレゼント

 ・・・

 炊きたてのご飯を食べることができるようになりました。

 それまでは母親が外出したときに買ってきた

 真空パックのご飯を食べる食生活で、

 しかもそれは母親が子どものことを覚えていて

 帰宅したときに限られていました。

 ・・・

 その食卓は、自分たちが炊いたご飯に

 マヨネーズやソースをかけて食べるものでした。

 Tさん兄妹は、主菜や副菜、汁物で構成された

 食卓をほとんど経験したことがありません。

 ・・・

 母親が興奮状態となることが度重なり、

 ひとたび興奮状態になると我が子に殴りかかったり、

 大暴れするなどの唐突な行動が頻回となりました。

 近所の人の通報で警察がかけつけ、

 母子ともに保護され児童相談所の一時保護を経て、

 Tさん兄妹は児童養護施設で

 生活するようになりました



ある児童養護施設の高校生男子は、

 「将来の夢は家族と一緒に暮らすこと」と答えました。

 その希望を叶えるための方法として、

 「家事ができるようになる」「仕事でも一人前になる」

 「世の中のことをもっと知る」ことを目指しており、

 最終的には「親を支えて、兄弟とまた一緒に生活したい」

 と語っていました



施設や里親家庭から自立した若者のうち

 1年半以内に50%が仕事をやめたり、

 33%が生活保護者になったり、

 20%が望まない妊娠をしてしまう


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読み進めるほど、

胸が苦しく切ない気持ちが高まり、

施設で育てられる子どもたちの壮絶なエピソードに

涙が溢れて仕方ありませんでした。



どうして、こんな社会になってしまったのだろうか。


僕たち大人には何ができるのだろうか。



ほんのささやかなことですが、僕は

個人的にに貧困家庭の子どもたちの教育支援の

ボランティア活動に寄付を続けています。


家族とも、一人でも二人でも

親のいない子どもたちを預かり育てることが

できないだろうか、と話し合うこともしばしば。


しかし、

うちは共働きのために

里親になることができません。


これまで培ってきたビジネス経験を生かし、

親のいない子どもたちを支援する仕組みが

できないかも、話し合い続けています。


なかなか妙案は浮かばず、

身近なところで声をあげることのできない

貧困の子どもたちがいないか目を凝らす日々です。





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