知覧研修の振り返りで読んだ本シリーズ

知覧からの手紙/新潮社
戦争、そして特攻隊という歴史の悲劇で
引き裂かれた恋人の物語。

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・万葉集にこんな歌がありました。

 「ますらをと思へる吾や水茎の上に涕のごはむ」

 かつてなかった喜びに言い現すべくもない

 気持でありながら、僕は今、この歌と

 同じ気持を味わっています。


 でも僕は安心して行くのです。

 僕が唯一最愛の女性として選んだ人が

 あなたでなかったら、こんなにも安らかな気持で

 ゆくことは出来ないでしょう。


 またとない果報な男であったと再び言います。

 どんなことがあっても、あなたならきっと立派に

 強く生きてゆけるに違いないと信じます。


 山本元帥の尊い死。

 知覚は竹の園生の御生まれでありながら、

 一将士として、しかも前線で散華された伏見伯。


 どうして僕らが生きていられましょうか。

 若い熟し切った、今にも本流せんとする血潮を

 どうして押さえておくことが出来ましょうか。


 僕らが現在、祖国の運命を左右せんとする

 航空決死戦に赴かんとするのは、

 全く自然の勢です。やむにやまれぬものなのです。


 (略)


  あなたの魂のみは、しっかり胸に抱いて

 他はすべて地上に還して、あの大空へと

 飛び立ちましょう



智恵子・・・・・・逢いたい。

 自分はどうして帰ってきてしまったのだろう。

 唯、逢いたい。一途に---



自分は心から

 「智恵子よ。強く、そして、明るく生きよ」

 と祈りつづける。

 いつまでも任務につき得たことを喜ぶのみ。


 あなたからのマスコットはあなたの分身に違いない。

 常に懐中に秘めて、力の愛機をかろう。

 最後に善との多幸を希いつつ、"さよなら"を告げる



・叔父さんへあてた手紙(智恵子さんに伝えてほしい)


「折りがありましたら、利夫の真情、

 改めてお伝えください。

 そして、あの人があったがために、純情一路に

 生き抜けたことを嬉しく思いながら、

 征ける幸福者であることも。


 最後に強く伝えていきただきたいことは、

 自分の意志一つで生きてゆくこと

 いかなることでも、自己を幸福にする道と信ずる場合には、

 恐れず進むこと

 要すれば、過去の利夫をきれいに忘れ去るべきこと



 賢明なる女性は、良き妻となり、良き母となる

 最上の道と、利夫は考えておること



 将来のためには、過去の一切を忘れ得るのが、

 真に強き者であること

 

 以上、くれぐれもお願いします」



・『二人で力を合わせて努めて来たが、

 終に実を結ばずに終った。

 希望を持ちながらも、心の一隅であんなにも

 恐れていた"時期を失する"と言うことが

 実現してしまったのである。


 ・・・・


 そして今、晴れの出撃の日を迎えたのである。

 便りを書きたい。

 書くことはうんとある。

 しかし、そのどれもが今までのあなたの厚情に

 お礼を言う言葉以外の何物でもないことを知る。

 

 あなたのご両親様。兄様。姉様。弟様。

 みんな、いい人でした。

 至らぬ自分にかけて下さった御親切、

 まったく月並みのお礼の言葉では

 済み切れぬけれど

 「ありがとうございました」と、

 最期の純一なる心底から言っておきます。


 今はいたずらに過去における

 長い交際のあとをだとりたくない。

 問題は今後にあるのだから。

 

 常に正しい判断をあなたの頭脳は

 与えて進ませてくれることを信ずる。


 しかし、それとは別個に、

 婚約をしてあった男性として、

 散って行く男子として、

 女性であるあなたに少し行って征きたい。


 「あなたの幸を希う以外に何物もない」



 「いたずらに過去の小義にかかわるなかれ。

  あなたは過去に生きているのではない」



 「勇気を持って、過去を忘れ、

  将来の新活面を見出すこと」



 「あなたは、今後の一時々々の

 現実の中に生きるのだ。

 穴沢は現実の世界には、もう存在しない」


 ・・・・


 当地は既に桜も散り果てた。

 大好きな嫩葉の候がここへは直に訪れることだろう。

 今更、何を言うか、と自分でも考えるが、

 ちょっぴり慾を言ってみたい。


 一 読みたい本

 「万葉」「句集」「道程」「一点鐘」「故郷」



 二 観たい画

 ラファエル「聖母子像」 芳崖「悲母観音」



 三 智恵子 会いたい、話したい、無性に。


 

 今後は明るく朗らかに。

 自分も負けずに、朗らかに笑って征く』


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知覧に遺され保存されている手紙の多くは、

母を思い感謝の気持ちを綴ったものが大半です。


兄弟姉妹を思うものが続きます。


この穴沢利夫少尉のように

恋人への思いを綴ったものはとても珍しい。


妻や子どもを思った手紙も

特攻隊員を訓練し、教え子だけを

征かせるわけにいはかないとした教官の方などわずか。



というのも、当時特攻していったのは

10代後半から20歳ほどの若手男性ばかり。

まだ恋も結婚もすることのなかった年代だからです。


青春の特権である恋を知ることなく

散っていった若者たち。


その悲劇にも胸が痛みますが、

恋を知ってしまったこの穴沢少尉と智恵子さんの

悲劇には、さらに胸が張り裂けそうな思いになります。


戦争は、親子の絆、兄弟姉妹の絆、

そして恋人たちの絆もずたずたにしてしまったのです。


あらためて、こんな悲劇は二度と起こしてはいけない。


まだまだ将来のある

若者たちを大人たちのエゴとエゴのぶつかり合いの

犠牲にしては絶対にならない、と強く思います。


穴沢少尉と智恵子さんが天国で

結ばれていることを祈ります。


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