「権力」を握る人の法則/ジェフリー・フェファー

を読みました。

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・地位や権力があるほど長く健康に人生を楽しめる可能性が高い


・リンドン・ジョンソン政権で保健教育福祉長官を務めたジョン・ガードナー

 「権力はリーダーシップの一部である」


・世の中は公正だという思い込み


「公正世界仮説」

 正義感の研究 メルビン・ラーナー

 一般に、人間は「世界が予測可能、理解可能であり、

 したがって自分の力でコントロールできると考えたがる」

 「あの人は幸運に値するだけのことをしてきたにちがいない」

 「ああいう目に遭うのも本人に何か原因があるはずだ」


・「被害者避難」

 犯罪の被害者などに起きたことを、

 そもそも被害者に非があったからだと正当化する行為


・リーダーシップ本は眉唾である


・トップに上り詰めるまでに経てきた抗争や駆け引きに触れないか、

 きれいごとでごまかしている


・彼らは自己表現に長けており、

 聴衆が聴きたがっていることを察知して話す技を身につけ、

 清廉で誠実な印象を与える術を心得ている


・自己尊重を維持する最善の方法は自分から先に降参すること


・セルフ・ハンディキャッピング

 自分は優れている、能力がある、と思っていたい。

 だが失敗をすれば、この自尊心はいたく傷つく。

 ところが意図的に失敗の確率を高めるような細工をしておけば、

 実際に失敗しても、自分の能力が低いせいではないと言い訳できる


・どんなアドバイスも、職場の事情、

 さらにはあなた自身の価値観や目標に合わせて調整し、

 取捨選択すべきである


・上司がご満悦であれば、仕事の出来不出来はさぼと問題ではない

 ・・・逆に上司を不快にさせたら、いくら実績があっても首は危うい


・立派な業績を上げればご機嫌取りなどしなくても

 自ずと上に行けると考えるのは、多くの人が犯しがちな重大な思い違いの一つである


個人の評価に影響るすのは、

仕事の成果よりも上司との関係性である


・ジェームズ・メドフ、キャサリン・エイブラハム(1980)

企業の給与は実績よりも年齢および在職期間との相関性が強い


・抜きんでた仕事ぶりは昇進につながらないどころか、邪魔になることさえある


・地位のある人は、経営のことでも自分のことでも忙しい。

 つまり上司は、そもそもあなた自身にも

 あなたの仕事ぶりにもあまり注意を払っていないのである


・心理学者ロバート・ザイアンス「単純接触効果」

 人間は、他の条件が同じであれば慣れ親しんでいるものを好む


・内集団バイアス

 自分に似た人を好ましく思う傾向から、自分の属す集団(内集団)をひいきし、

 それ以外(外集団)を差別しがち


誉め言葉を出し惜しみしてはいけない


・あなたを引き上げるのも、行く手を阻むのも、

 組織階層で上位にいて人事権を持つ人間なのだ


・マーシャル・ゴールドスミス

 自分に足りないものがあると認めるのは、自分が思ったほど

 優秀ではないと認めることになるため、それができない人がかなり多い


・キャリアの次のステージという望ましい将来についての指摘なら、

 相手もさほど自己防衛的にはならない


権力を握る7つの資質

 決意、エネルギー、集中  (意志の力)

 自己省察、自信、共感力、闘争心 (スキル)


内省や省察なしに学習や成長はありえない


・カリフォルニア大学デービス校のアンディ・ハーガトン

 「二〇年の経験を積んだと自慢する人がよくいるが、

 実際には一年分の経験を二〇回繰り返してきたに過ぎない」


・自己省察の習慣は、経験を積むことに相当する


・勝ち負けより実利を得ることが大切だ


・目先の関心事や自己の利益にとらわれると、

 他人の立場でものを考えられなくなってしまう。

 そうなると、周囲を味方にすることはおろか、的に回さないことすら覚束なくなる


・実績格差のうち知能で説明がつくのは二〇%に満たない


・知能は、ある程度以上の水準に達すると、

 好ましからぬ影響をもたらすこともある。

 ・・・

 何でも自分一人でできるとか、他の人よりもうまくやれると考えがちだ。

 そこで周囲の協力を求めず、同僚や部下を疎外することになる。

 ・・・

 自分は優秀だと思い込むと自信過剰になり、ひいては傲慢になりやすい。

 そうなると、地位も権力も失うことになる。

 ・・・

 自分がすぐ理解できてしまうものだから、理解できない人の気持ちを推し量れない


・威圧も少しの間なら効き目があるが、

 忠誠や献身を勝ちえる賢い戦略とは言えない


・やりたいことを臆せず要求する意志と、

 自分を「その他大勢」から際立たせる演出力


大事なのは、自分を前面に押し出すことだ。

 さもないと、誰もあなたに気づきもしないだろう


頼みごとは、少々大胆でも案外うまくいくものである


・人は、できるだけ他人に頼まず済まそうとする。

 ・・・独立独歩の精神に反する・・・断られたくないから

 ・・・頼みが叶う可能性を自分の物差しで判断しているから


頼みごとは相手への賞賛である


・頼みごとが以外にうまくいく理由の一つは、

 助言や助力を求められる相手にとっては、

 それができると評価され賞賛されたことにほかならないからである。

 

 他人から、それもとりわけ優秀な人から助けを求められることほど、

 自尊心をくすぐり、自己肯定感を強めてくれることはそうあるものではない。

・助けを求めることは、本質的に相手を誉めることである

 

 

・マルコム・グラッドウェル

 ルールというものは、作った人に有利にできている。

 そしてルールを作るのはおおむね成功者であり、権力を握っている人たちだ


あなたに権力があり、それを行使する意志もあるとわかれば、

 大方の人は味方に回る


・他人があなたをどう思うかなどあまり気にせず、

 欲しいもの、必要なものはとりあえず頼んでみよう。

 それが、階段を上る第一歩になる


ほとんどすべての組織では、

 予算と人事に口を出せる人が権力を持つことになる


・「カネの出所を追え」というのはジャーナリストの鉄則である。

 出所がわかれば、権力構造を解明できるからだ






・リソースは無からでも生み出せる


時間と関心を気前よく提供しよう


・仕事の手助けするのも、喜ばれる。

 とりけ、おもしろみのない仕事、延々と続く単調な仕事を引き受けるのは、

 手始めとしては理想的である


・たいていの人は、つまらなさそうな仕事や地味な仕事には

 やる気を起こさないし、興味を持たない。

 そういう仕事を率先して引き受け、人並み以上にうまくやってのければ、

 あなたにビッグチャンスが回ってきたときに

ケチをつける人はたぶんいないだろう


「知りあうこと(contact)が契約(contract)につながる」


・最初に動いた人が、多くの場合に独占権を手にする


・人々を結びつける仲介者になることは、

 ネットワークの中心になることでもある。

 自分を中心としたネットワークは影響力を手にするうえで

 きわめて重要であり、ネットワーク作りのスキルはあなたにとってぜひとも必要なものだ


・ 1 社内に知り合いを作る

 2 社内の人脈を維持する

 3 社内の人脈を活用する

 4 社外に知り合いを作る

 5 社外の人脈を維持する

 6 社外の人脈を活用する


・ネットワーク力はあなたを目立たせる。

 目立つ人は認められ、選ばれ、地位が高まる。

 そして地位が上がれば知り合いは増え、ネットワークは拡大する、

 という具合に好循環が起きる


・キース・フェラッジ

 『ひとりぼっちで食事をするな』邦題『一生モノの人脈力』


・社会学者マーク・グラノヴェッター 弱い結びつき「弱い紐帯」

 上級管理職は、新聞広告や公募などの正規の方法よりも、紹介などによる採用が多い。

 下級職や、高報酬であっても技術職は、正規の方法を採ることが多い


・弱い紐帯が機能するためには・・・

 一つは、弱い紐帯に属す人が多様なネットワークにあなたを結びつける力があること、

 もう一つは、その意志があること


最も望ましいネットワーク戦略は、

さまざまな産業、様々な地域にわたって、

 できるだけ異なる集団に属す

多種多様な人と知り合うことである


・社会的な紐帯には、強い密着性はいらない


・「広く浅く多様に」


・社会的地位というものは比較的安定しているので、

 上がるのはむずかしいが、いったん上がってしまえばそう簡単には下がらない


・内部では緊密に結びついている互いに孤立する集団が存在する場合、

 集団と集団の橋渡しをする人は、仲介者としての利得を手にする


・大事なのは臆することなく主役としてふるまい、

 自らの力を誇示することだ


・アンディ・グローブ

 「一部は自己研さんだが、残りははっきり言ってハッタリだな。 

 だがハッタリは現実になる。なぜなら、

自分を奮い立たせ、楽観的にする効果があるからだ。

 自信ありげにふるまっていれば、ほんとうに自信がついてくるものでね。

 そのうちハッタリも、それほどハッタリとは言えなくなってくる」



 オオカミ塾

・怒りを表現する人は「支配力がある、強い、能力が高い、頭がいい」

 とみなされる傾向がある。ただし当然ながら、

 いい人だとか優しい人だというふうには思ってもらえない


・効果的に怒りを表せば、周囲の人が逆らわなくなる・・・ 

 誰しも怒りの標的にはなりたくないからだ


・多くの人が十分に力強い印象を与えられないのは、

 不安や動揺を抱えたまま話し始めるからだ


・マーティン・ルーサー・キング・ジュニア「私には夢がある(I have adream)」


・バラク・オバマ「そうだ、私たちにはできる(Yes,we can)」


・議論の前提に疑義を提出する


・大前提の再検討を促す人物は、

 注意を引き、それが妥当であれば一目置かれるようになる



・チャーチル「永遠に残るのは言葉だけだ」


・社会学者マックス・アトキンソン『雄弁家の手法』

 1 敵対的構図を際立たせる

 2 間をとる

 3 論点を箇条書きに書き出してみる

 4 対比を使う

 5 下書きやメモを使わない

   +

 ユーモアを交える


・サルマン・ラシュディ『悪魔の詩』

 「人を笑わせることができれば

もう何を言っても大丈夫だ」


・第一印象を与えるチャンスは一度しかない


・第一印象はあまりはずれがない

 時間の経過とともに注意力が低下する

 情報の選択的取捨 

  第一印象が定まってしまうと、それと一致しない情報を無視しがちになる

 第一印象の実現的行動 第一印象が正しくなるような行動を自らとる

 偏向的な同化作用 

  後から受け取る情報を第一印象と一致するようにねじまげて解釈する傾向

  人間がとる行動の多くは、見ようによってどうとでもとれるものである


・他人による評価は、本人による自己評価より信憑性が高い


・自分を安売りしてはいけない。

 その道の専門家を雇ってうまくやってもらう方が、はるかに効果的


・評判は、現実である必要はない


・ニューヨーク州の教育総長を務めたルディ・クルー

 「衝突は互いに学ぶ絶好のチャンス」


・万一クビになったとしても、まったく別の仕事に就こうなどとは考えない方がいい。

 経験も人脈も、すべて仕事を通じて培われたものが多いことだろう。

 言い換えればあなたは、仕事と関連付けられた人的資本と社会資本を蓄積している。

 新しい分野に身を転じるメリットはいくらかあるにしても、それによって失うものも多い



・勝者のようにふるまうことは自己実現的な行為だと言える



・ミルトン・フリードマン

 「フリーランチというものは存在しない」


・「社会的促進効果」

 観察者や共同作業者がいると、それが刺激となって

 一人のときよりも各人の作業量が増加する



・マイケル・マーモット

 仕事と健康に相関関係が認めらるのは、

 「離職は社会的役割とそれに伴うすべてのねものの喪失を意味する」



行動は言葉より雄弁


・権力を持っていると、とかく自制心を失いやすい


・「パーティが終わる前にお暇する」のがエレガント


・会社組織というものは、社員一人ひとりに気を配るようにはできていない。

 だからどんな人も、権力闘争に敗れて、あるいは単に不幸な偶然から、

 追い出されたり左遷されたりすることがありうる。


・必要なのは、手持ちの手段を使いこなして

自分の面倒をみることである。

 これこそが、企業が発信し続けてきたメッセージなのであり、

 このメッセージをしっかりと受け止めなければならない


・大きな組織では責任と権限とが必ずしも一致していない。


・権限が届く範囲外にいる人間を束ねて

 任務を達成しなければならない状況では、

 政治的手腕がモノを言う


・私たちは、こと社会に関するかぎり民主主義を信奉し、

 市場原理が大好きだが、企業をはじめとする組織になると、

 独裁的な統治を好む傾向がある


・ウィンストン・チャーチル

 「民主主義は最悪の統治制度だが、

  これまでに存在したあらゆる政治制度よりはマシだ」


・ジョン・コッター

 多くの人がなかなか成功できないのは能力や意欲が足りないからではなく、

 そもそもまちがった場にいるからだ


・成功できない最大の理由は、「どうせ無理だ」とあきらめて

 始めから努力を放棄することにある


・エレノア・ルーズベルト

 「あなたが自分から言わないかぎり、

  誰もあなたを劣った人間だとは思わない」


・結局のところ、世界はつねに公正なわけではない。

 だから、自分の高潔な人格や卓越した実力だけで

 上に行けると考えるのはやめたほうがいい。



・始めから降りている人は、負けるに決まっている

・小さなことを見逃さない人は、

 着実に影響力を伸ばしていくことができる

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一見、腹黒い処世術を指南しているようで、

これがスタンフォード大学ビジネススクール教授で、

1979年から教鞭をとっている著名な教師のメッセージなのかと

切ない気持になりました。


ただ、現実社会というものは、

理想論だけでうまくいくわけがないことは残念ながら現実でもあります。


また、後書きで訳者が書かれていたのですが、

アメリカでも若者の間に競争を好まず、草食化傾向がでてきているとのこと。


それを見続けた老教授の気骨と思えば、

こういいたくなるのもわからなくありません。


さらには、会社そのものが余裕を失い、

社員の面倒を見られなくなり、自立を求めすぎていることへの

大学人としての反旗とも受け取れます。


宮台真司さんが、

もはや会社にあたたかい人間関係はない、  

だからホームはライフに求めよ  

会社を信じるな  

と主張することに通じます。


確かに、個と組織の関係は乾き続ける一方かもしれませんが、

甘い、古いといわれようが、

それでも、私は、その絆をあきらめたくない、と思うのです。



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