母よ!!

「カァちゃん、俺は家を出てロックに生きるんだ!
前しか見ないんだから、そんなアルバムなんか要らね~よ」
今から約25年前アパートを借りて意気揚々と引っ越しする俺に、
どうしても!と母はガキの頃のアルバムと何故か「おでん鍋」を持たせた。
この「おでん鍋」だけど

見ての通り結構本格的で、
おでん好きな俺の家ではカナリ活躍している。
ポイントは蓋が杉の木で出来てるところ!
土鍋や普通の鍋では味わえない蓋を開けたときに立ち込める
湯気に杉の香りが譲れないアクセントなのだ、
おでんフリークな方にはお勧めである。
前向きでロックに生き来たかどうかは別にしても
今さえ良きゃ~いいやって、
バンドやって酒呑んでを繰り返しの人生で
当然アルバムなんか手も付けづ。
引っ越しの度、重い思いをするだけで
今の家でも埃をかぶってシマイ込まれていたんだけど。
過日、かたずけついでに初めてアルバムを開いた。
「どうして、あんたはどれも情けない顔してんの?
ニコッ~としてる写真が一枚も無い」って女房が言っての通り、
俺は泣き虫の甘えん坊だったのだ。
晩酌をしながら見たアルバムは玉手箱の様に(いや逆か?)
俺を惹きつけた。
そこには見た事のない若い母親が居た。
(そんな訳は無いはずだけど)
考えてみたら母は親の言いつけで家に嫁いだのだけど
その家が大変な家で、舅・姑・小姑二人・その他丁稚さん二人が働く酒屋で
朝から晩まで用事に追っかけられたのだ。
母の母つまり俺の祖母は亡くなる前、
女房に「あの子をあそこの家に嫁がせたのは間違えだった
性格まで変わってしまった」と言っていたそうで、
そんな事やら姑に意地の悪い事を言われて困ってる表情やら
街のはずれの公衆電話で実家に電話している姿やらが
想い出され、ガキの頃の甘ったれた感情が入り混じり
オイオイと泣いてしまった。
そういえば母とメシを食ったのは去年の何時だったか?
翌日、実家に電話して何か美味いモン食べようという話が
温泉に連れて行くになりあれよという間に日程まで決まってしまった。
こうして25年をかけての母の作戦は功を奏した。
世の女性よ、あなたに放蕩の兆しのある息子・娘があり
自立をほのめかせた時は、必ずアルバムを持たせるべきである!

一番、気に入った写真!
右のアイス食べる何所かのおねえさんも良い!
あぁ~時代を感じる。
イサヲ
