ニュースの直感:ケリー国務長官が原爆資料館を訪問 | フェディのブログ

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米国のケリー国務長官が広島の原爆資料館を訪問した。


見学後のコメントとして、「衝撃的」「胸をえぐられるよう」と語ったというが、国務長官という立場を離れて、人としての率直な感想を述べたと好感を持った。


事前の報道では、米国内には原爆投下は戦争早期終結のために実行したのであり、それにより戦争継続で失われた筈の多くの命を救った訳で、贖罪すべきことではないとの意見も多く、政府高官が公式に訪問する事への反発も懸念されていたという。米国政府は、今回の国務長官の訪問で米国世論がどう反応するかを注視しているというが、恐らく目立った反発は出ないのではないかと思う。これが露払いとなって、5月のサミットではオバマ大統領が広島を訪問する事になるであろう。核兵器の無い世界を目指すと宣言してノーベル平和賞を受けたオバマ大統領であるからには、唯一原爆を実戦投下した国の大統領として広島を訪問することは、本人にとっても意義ある事であると思う。


米国内での原爆投下の正当化という事に関しては、個人的には罪の意識の裏返しであると古くから感じている。キリスト教国である米国にとって、無差別大量殺戮兵器を用いたことは、如何なる背景があったにせよ自ら許せる行為ではなかったと思う。しかし、表向きは戦勝国としてグローリアスな立場でありたかった訳で、民間人の大量殺戮の罪と戦争早期終結を天秤にかけて、早期終戦が絶対的に重かったとする必要があったのではないかと感じている。


そこで潜在するに至った贖罪意識が、戦後の日本の復興に米国が最大限の支援をしてきた裏づけとなったのだと考えている。その一番の支援は為替レートの円安設定にあったのではないだろうか。戦後のブレトンウッズ体制で360/$と設定された為替レートは1971年のニクソンショックまで維持され、その間、日本は米国の旺盛な消費需要に支えられ、ありとあらゆる商品を輸出し、戦後の急速な復興から高度成長までを成し遂げられたと言える。


日本の高度成長は、国内では、多く日本人の勤勉さや技術力がハイライトされてきたが、その裏には為替レートの有利さ、敢えて言えば米国の贖罪意識から派生した庇護があったと言えるのではないかと考えている。無論、戦後の東西対立・冷戦の中で防共の砦として日本が地政学的に重要な位置にあったこともあるだろうが、いずれにしろ国土が戦火に見舞われなかった唯一の先進国として、戦後の米国の経済的優位は飛びぬけていた訳で、その膨大な消費市場を原爆投下した日本に分け与えることは、さほどの苦痛を伴うことではなく、むしろ贖罪意識を少しでも和らげるためには、必要なことであったかもしれない。高度成長は、決して日本人の努力のみで達成できたものではないと考えている次第である。


一足早く日本では「戦後レジームからの脱却」を政府が掲げてきたが、今回のケリー国務長官の広島訪問で、米国でも原爆投下というタブーからようやく脱却できるのかもしれないと思う次第である。そうなれば日米両国が正に精神的にも対等な立場となる訳で、種々の変化が起きてくるであろうが、これこそ日本が普通の国になるための歴史の必然と言って良いであろう。

     2016/4/11 23:00