ニュースの直感:TPP交渉妥結 | フェディのブログ

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TPPがようやく妥結し大筋合意に至った。



合意といっても、今後はそれぞれの国内での承認手続きが必要であり、まだまだ紆余曲折も予想されるが、12カ国もの交渉合意は重みを持つので着実に実現に向かうであろうと思う。これまでの経緯を見て感じたのは、米国の立ち位置の変遷である。細目はさておいて結論から言えば、米国は今回の合意で大きな譲歩を受け入れたと見える。これは立場を換えれば、日本にとっては譲歩を減じたと言えるであろう。実際に、妥結後すぐにオバマ大統領に対する非難の声が米国内で沸きあがったようだ。任期の終わりを控えて、少しでも成果として残したい大統領にとっては、議会の反対を押し切ってでもTPPの成立を実績として欲しかったのであろう。TPP交渉開始からこのかた、多方面で米国の支配を覆そうとする中国の挑戦が次第にエスカレートしてきたことも、最後で妥協を受け入れた背景であったと思う。



一夜明けて、国内でもビッグニュースとしてメディアが取り上げているが、この期に及んでも農家の抱える不安等にハイライトした報道もあった。これは本質を外れた無益な報道であろう。総じて、産業界は歓迎であったが、日本経済の今後の成長に資するか否かという観点では、この産業界の反応をハイライトすべきである。交渉事は一部の利益を損じても、総体として利益を得ることが肝心であり、一部の不利益に拘泥していては、大きな成果を享受することは叶わない。この点で、甘利TPP担当相が米国フロマン代表と正面から対峙し、言いたいことは言い、相手の非は非として指摘し粘り強く交渉に当たってきたことは賞賛に値すると思う。元来、議論の苦手な日本人ではあるが、今回の甘利氏はフロマン氏との間で、議論の時には机を叩くほどの主張をし、その席が終わったあとは笑顔で言葉を交わすという、これまでの日本人にはまれな対応に見えた。おそらく長い交渉の中でお互いの個人的理解が深まったことが大きいのであろうが、甘利氏の憎めない風貌も幸いしたのではないかと感じた。



日本政府にとっては、これからが正念場であり、今回の合意から如何に多くの益を日本経済にとりこめるかは、今後の采配にかかっている。昨夜、合意の一報が入った時のインタビューで、安倍首相の表情には、いつもと違い笑顔はなく、どちらかと言えばぶっきらぼうに見えた。これも、今後の舵取りが難しいことの自覚ゆえであろう。



また、話題の安全保障という面からも、今回のTPP妥結は日本に大きな恩恵をもたらすであろう。太平洋を真ん中から米国と二分しようと公言する中国と対峙するにあたり、今回のTPPでの環太平洋諸国の団結は大きな対抗機構として働くことが期待できる。先日のシー・チンピン主席とオバマ大統領との会談を見ても明らかなように、中国は米国と比肩する立場となるためには手段を問わず必死である。そのために、その巨大な国内市場の生み出す経済効果を、対外交渉に用いている訳で、今回のTPPはその最大の武器の効果を弱める働きが期待できるであろう。この意味でTPPは先の安全保障法案と表裏一体となり、将来へ向けて日本の安全と発展に資するものであると深く信じる。

           2015/10/6 14:00