川内原発が再稼動し、2年余に及ぶ国内原発稼動ゼロから復帰した。
再稼動反対派や、それを煽る一部メディアは一方的な主張を続けているが、そもそも現安倍政権は公約として再稼動を進めるとしていた訳で、粛々と進めているだけのことである。改めて再稼動反対を声高にメディアが取り上げることの意義はなく、一連の安倍首相批判の一環でしかないと見える。
反対派がよりどころとしているのは、原発稼動ゼロの現状でも電力供給は充足しているという事である。しかし、昨年来の大幅な原油安がなければ、いま電力料金は2倍近くに上っていた筈であり、そうなっていても同じ主張をよりどころとできたであろうかは疑わしい。むしろ異常な原油安を奇貨として、それが消滅した際のリスク対策に思いを寄せるのが筋であろう。また、安倍政権の安全保障法案を批判するメディアとの関係で言えば、中東原油への依存度を高めることは、ホルムズ海峡での有事が日本の存立を危うくするリスクを高めることである。自衛隊のホルムズ海峡派遣に反対というならば、中東原油への依存度を低下させることが、その可能性を低めることになることを忘れてはならない。この点で何でも反対の一部政党・メディアの主張は論理的に破綻している。
これだけ大幅な原油安の中でも、電力料金は家庭用で20%以上、企業用で30%以上上昇していることも忘れてはならない。マクロで見れば国の富の大きな部分が原油代金として海外に流出している訳で、景気浮揚の大きな重石になっている。企業が円安メリットを活かして国内生産を増やそうとしても、一方で電力料金が高騰すればその選択肢はなくなってしまうであろう。
また、CO2排出量も原発ゼロの間に大きく増加してしまっている。世界的なCO2排出量削減の流れの中で、現状のままでは国際的な批判を受けるのは必至である。福島の事故後の緊急措置としての火力依存は国際的にも容認されてきたと思うが、それも既に期限切れであろう。思い出せば、民主党政権で鳩山首相が実現性に乏しいCO2削減目標(1990年比25%削減)を発表し、それ故に原発依存度を大きく高める方針としたのは、たかが6年前のことであった。この点で、民主党には原発再稼動に反対する正当性はないと思う。
無論、地元住民の不安はゼロにはならないのは明らかであるが、メディアが殊更不安を煽ったり、反対派のデモや反対派識者のコメントばかりを取り上げるのは偏向の謗りは免れない。福島の事故の主因は地震でも津波でもなく、電源喪失であろう。数百年に一度あるかないかの自然災害に100%備えることは難しく、安全を保証するのは無理であるが、冷却用電源の確保であれば、ほぼ可能と言えるのではないか。何よりも、あれだけの甚大事故を経験したのであるから、電源確保策については専門家の英知を集めた対策ができている筈である。素人の市民レベルの不安は、感情論に過ぎないと言っても良いであろう。
また、自然エネルギーへの転換を主張するむきも多いが、技術的・経済的には一朝一夕に実現するのは難しい。二・三十年かけて、その間の技術革新を待ちながら進めるのが現実的であろう。民主党政権の一大失政とも言える太陽光発電バブルの顛末を忘れてはならない。エネルギー政策は極めて長期的なビジョンが必要であり、一時の得失で決められるものではない。この点で安倍政権となってからのエネルギーミックス論議は正鵠を射ており、この中で原発再稼動は必要であると結論付けたのである。
原発反対を声高に叫び、国民の不安を煽るだけの一部活動家とメディアについては、醒めた眼で見ざるをえない。
2015/8/12 13:00