トヨタ自動車の米人役員が麻薬取締法違反で検挙された。
これまでの報道を見る限り、梱包の状態からは違法であることを承知の上で米国から郵送してもらったという事であろう。個人宛の小さな小包ならば、当局に捕捉されずに受け取れると考えたように見える。また、本国では医師の処方で入手可能な錠剤であるとの事で、日本で禁止麻薬と扱われている事は知っていたが、軽く考えていたのではないか。
トヨタは即刻、豊田章男社長が記者会見を行ったが、米国のリコール問題で自ら公聴会に臨んだ経験も役立ったのか、そつのない発言内容で流石の対応と感じ入った。これまで日本企業の不祥事では多くの社長たちの会見を見てきたが、豊田社長の対応はとても抑制され、問題の役員本人を含む多方面への配慮もされており、模範的な会見であった。
豊田社長の対応には賛辞を贈りたいが、今回の問題は、世界中に事業展開をしているトヨタといえどもグローバル化に伴うリスクには甘かったと言うべきであろう。検挙された役員はGMやPEPSIでキャリアを積んだ後に米国トヨタに入社し、今春から日本本社の広報担当役員になったという。グローバル企業を自認するトヨタとしては米国人、それも女性を日本本社で役員に登用することは、外部に対して大いにアピールできる事象であり、それ故に脇が甘くなったのではないかと感じる。本人の出自や来歴をつぶさに知らずに評するのは問題かも知れないが、今回の事件からは本人の抱える問題を見出せずに登用してしまったことが本質であろうと思う。ジョブホッピングが普通の米国事情であろうとも、前職での評価、転職の理由等々、本社役員にするための身体検査はできていたのであろうか。恐らく米国トヨタの米国人社長が現地で採用したのであろうが、その背景を精査したのであろうか。米国トヨタ社員として問題を起こしたのなら米国トヨタ社長に責任を負わせられるが、日本本社で役員に登用したからにはトヨタ本体の問題となる。外部にグローバル企業として国籍・性差を問わず人材を登用するとアピールするつもりが、一転して処遇について大きなリスクを背負ってしまうことになるであろう。厳しく処すれば、外国人だから切り捨てたと言われかねず、甘ければ企業としてのコンプライアンスに欠けると評されかねない。トヨタにとっては非常に厳しい舵取りが求められる。
今回の問題の結論はまだ予断はできないが、日本企業にとってグローバル化、つまり西欧の価値観への同化と言い換えて良いかもしれないが、への道のりは険しいものであることを再認識させられたという事ではないかと考える。
2015/6/19 22:30