大阪都構想をめぐる住民投票は反対票が上回り、橋下氏の構想は夢と帰した。
開票の途中経過では抜きつ抜かれつを繰り返し、最後の最後まで帰趨は見えなかったが、最終的に僅差で反対票が上回った。事前の世論調査では、日を追って反対の方が優勢となっていたので、この結果は橋下市長が善戦したと言えるであろう。結果を受けて、氏は公言していた通り政界から身を引くという。地位に恋々とする政治家が多い中、潔い行動には賛辞を贈りたい。
振り返れば、氏は7年半に渡ってまさに、障害物を蹴散らしながら駆け抜けた年月であった。始まりは大阪府知事からであったが、いわばぽっと出の一地方知事が国政にまでこれほど大きな影響力を与え続けたことは稀有のことであり、今後もこのような人物は現れないのではないか。
氏のストレートな発言は、多くの波紋・反発を招いてきたが、言葉の選択はともあれ真意には賛同できるものであったし、日本を大阪を良くしようという真摯な情熱は本物であったと思う。政界引退は自らの言動一致への矜持であり、逆に言えばそれをしない多くの政治家への警鐘でもあろう。
今は、お疲れ様と慰労するにとどめたいが、数年後にでも、また政界に復帰し新たな良い波紋を起こして欲しいと強く思う。
今回の都構想に関して言えば、敗因の一つは「都」構想と名づけたことにあったのではないかと思う。東京都が日本の首都として存在する中で、何故大坂都を作るのかという疑問は多くの府民が感じていたであろう。むしろ行政改革による効率化を前面に出し、大阪府の名称は残したまま大阪市を廃止し、区の再編成によりシンプルな府・区制による行政組織にするとした方が理解を得やすかったのではないか。また、過去の二重行政の弊害として府と市のビジネスセンタービルを例に挙げていたが、過去の失政を前面に出すよりは将来を語るべきであったと思う。過去の例示は、必ず反論を招いてしまい議論を矮小化してしまう。今回も反対派はあれはバブルに踊った結果であり、制度の問題ではない、今後は府と市で調整すれば起こりえないと反論していた。ともあれ、ほぼ拮抗するだけの賛成票を集めたことは、人間心理の常として現状を変えることへの強い抵抗があるなかで、実質的には勝利であったと言ってよいと思う。
2015/5/18 15:00