日本の近代化に寄与した23施設につきICOMOSが世界遺産登録を勧告した。
日本にとっては、一昨年の富士山、昨年の富岡製糸場に続き19番目の世界遺産となる。登録世界遺産は既に世界で1000件を超えており、毎年20件前後が新たに登録追加されている。国別の登録数で日本は現在13位にあり、1位は50件のイタリア、2位は47件で中国、3位は44件のスペインであるとのこと。
今回の日本の登録は単独の施設では無理として、8県にまたがる23施設を日本近代化に資した産業遺産であるとして申請をしているが、そこまで無理をして登録を勝ち取るものかは疑問である。恐らく地元にとっては、観光客の増加が見込めるとして推進してきたのであろうが、登録後はそれなりの維持管理も必要であり、登録の主旨である価値を毀損してしまった場合には登録を抹消されてしまう。つまり、一時の観光客の誘い水として成功したとしても、その後は未来永劫、維持・管理コストがかかるということになるわけで、単純に観光客誘致を狙った登録は長い目で見ればペイしない可能性も高い。
また、日本の地熱発電の適地の多くが国立公園指定地にあり、地熱利用による自然エネルギー比率の拡大の大きな阻害要因になっているように、将来的に世界遺産登録が思わぬ重石に変わることもあるであろう。これまでの姫路城や富士山などは登録されてしかるべきと思うが、今回の23施設については無理筋に見えてならない。観光客誘致ならば、何も日本の行政の及ばない世界遺産ではなく、日本独自の観光遺産とでもして日本政府が世界にPRすれば良いのではないか。それならば、将来の事情により指定の変更等も容易であり、地元にとってもトータルコストは安く済むであろう。何より日本の行政が差配できることが重要であると思う。
メディアはどこも歓迎一色であり、各地元自治体も喜びに沸いている。それに水を差すのは天邪鬼と謗りを受けるかも知れないが、今回の23施設まとめての世界遺産登録には諸手を挙げての賛成はできかねる。
-------------------
蛇足であるが、韓国が今回の23施設の中に、朝鮮半島人を徴用して強制労働が行われた施設が含まれているとして登録反対を訴えており、菅官房長官が登録申請主旨は明治維新から後の日本の近代化に資する施設であるとコメントして一蹴した。至極当然の対応であり、敢えて言えば何の対応もせず無視しても良かったのではと思う。仮に韓国の反対により登録が認可されなかったとしても、その抗議行動自体が理に反する(つまり100%感情論)ものであるのは衆目に明らかであり、世界の笑いものになるのは彼の国であろう。また、上記のように申請の目的が観光客誘致であるならば、韓国の反対運動が激しければ激しいほど世界で話題を呼び、結果的に大きな宣伝効果を生むことになるであろうから一挙両得である。
2015/5/10