ソニーピクチャーズが制作した、金正恩をパロディー化した映画「ザ・インタビュー」への反発として同社がサイバー攻撃を受けた。
サイバー犯罪の常として、攻撃元は明らかにはできていないが、オバマ大統領は北朝鮮政府の関与は確実であるとしてテロ支援国家として再指定を検討すると発表した。報道によるとソニーピクチャーズのサイトから個人情報や企業情報を引き出して公開し、映画を上映すればその映画館への攻撃も示唆したという。ソニーピクチャーズは、映画館側が安全への配慮で上映を見送ると判断したことを受けて、配信元として公開中止を決定した。
オバマ大統領は第三者からの圧力で映画公開を中止されたことが、民主主義への重大な脅威であるとし北朝鮮をテロ国家と糾弾、自由を重んじるアメリカは、それを阻害する如何なる圧力にも屈しないことを強調した。一方、当事者のソニーピクチャーズは観客の安全への配慮から公開中止を決定したことは正当な判断であったとしており、私企業として当然のリスク対応であると表明している。
ソニーピクチャーズは公開中止により、映画制作費や宣伝費の回収もできず大きな損害を被り、親会社であるソニーの今期業績にも甚大な影響を与える。長く業績低迷に苦しむソニーにとっては正に”泣きっ面に蜂”となった。
もし、は無い事であろうが、この映画がソニーピクチャーズではなく、米国企業の制作であったとしたら公開は中止されたであろうか? 米国ではこの映画「ザ・インタビュー」の様に、為政者や権力者・権力機関、大企業を揶揄した映画は過去にいくらでも制作、公開されており、今回に限り即刻公開中止と判断することはなっかたのではないかと思う。この意味でソニーピクチャーズの判断には親会社の意向が大きく働いているのではないかと感じた。ソニーはコンシューマ製品が主力の企業であり、ブランドイメージには強いこだわりを持つことで、今回の、いわば「混乱を避ける予防措置」とも言うべき判断をしたのではないか。オバマ大統領にとっては今回の「予防措置」が弱腰にしか見えず、標榜する「強い米国」への蟻の一穴と映ったのであろうと思われる。
今回の問題は、今後の映画界や出版界への影響は大きく、サイバー攻撃の深化と相まって、表現の自由をどう担保するのかが問われていると思う。恐らく色々な場所での論議が重ねられ、コンセンサスが醸成されてゆくのであろう。
付け加えるに、ソニーは自社の立ち位置からして、この「ザ・インタビュー」のような微妙な題材の映画制作には関わるべきでなかった。この意味でソニー本社のソニーピクチャーズへのコーポレートガバナンスの不備が問われる事件であったと言える。
2014/12/22 11:30