日銀が予想外の金融緩和追加措置を打ち出した。
市場では驚きをもって受け取られ、日経平均は472円も高騰し、円ドル相場も円安に動き6年ぶりに111円/ドルを超した。ニュースでは歓迎する向きの報道が多いが、疑いの目を持つことも必要である。それは、何故この日かということにある。時まさに、米国FRBが3度にわたった量的金融緩和を10月末で終了すると発表した直後である。また、消費税10%への決断が11月末に迫り、その判断基準となる7-9月のGDPが予測より下回ることが決定的になってきている。ここで、市場にサプライズを起こし、株価を上げて景況感の引き上げを狙ったものではないかと思われる。つまり、消費税引き上げの下地をなんとか補修、補強しようとの意図が見え隠れする。
確かに株価を上げることは景況感を好転させるが、巷間でよく言われているように株価先行の景気浮揚策は、後に続く実体経済の好転が伴わなければ、単なる株価バブルに終わってしまう。株価バブルに終われば、一時的なキャピタルゲインを狙ったファンド等にのみ利益を落とすだけであり、長期保有しているような一般株主には何の利益ももたらさないし、実体経済には何の変化ももたらさない。
政府、日銀は異次元の金融緩和について、実質金利を下げれば、企業の投資マインドが高まり、好循環を生み出すと繰り返し言っているが、問題はGDPの60%を占める個人消費が回復、上昇しなければ投資は更なる過剰供給を生み出し、今でさえ大きな需給ギャップが更に膨らむことになる。需給ギャップは言うまでもなくデフレの元凶となるわけで、政府、日銀の目指す2%の物価上昇は絵に描いた餅となりかねない。
米国の量的緩和はQE1からQE3と3波にわたり、実体経済が好転するまで8年を要している。米国の場合はリーマンショックで金融セクターが危機的状況にあり、日本の量的緩和の着手時とは背景が異なるものの、実体経済の浮揚には年単位の時間が必要である。ここで来年10月に消費税を再度引き上げることは、景気に水を差すことになり、米国の量的緩和が三度に亘ったことの後追いをしかねない。
経済は生き物であり、その背景は複雑で多岐に亘り、全く同じ状況というのは二度とはないであろう。ここに経済学の難しさがあると思う。過去の結果から後追いの理論付けをしたとしても、全く同じ状況が再現しなければ、理論通りに事は運ばないのである。
今回の量的緩和追加が消費税引き上げの方策でないことを切に願うばかりである。
2014/10/31 22:00