ノーベル物理学賞に青色LEDを開発した3人の日本人が選出された。
世界的な省電力に寄与する発明であるから、遅かれ早かれ受賞は間違いなかったであろう。聞くところでは開発当初、日亜化学にいた受賞者の中村氏は世界の青色LED開発競争で主流であった次世代材料に見切りをつけ、過去の材料と言われていた窒化ガリウムに目を向けたらしい。おそらく、当時の日亜化学の実力では世界の大企業に伍して戦うのは無理、と踏んでの選択でもあったかと考えるが、結局は目の付け所が良かったことと、まさに、一徹岩をも通すとの強い意思を持ち続けたことが幸いしたのであろう。長年の必死の努力が、このように報われることは素晴らしいことである。
ところで、このニュースを見ていて、受賞者の赤崎氏の会見でとても不快な思いをした。どこの誰かは判らなかったが、おそらくどこかのメディアの記者と思われる女性が赤崎氏に質問を始めたところ、赤崎氏が「聞き取りにくいのですが…」と明朗に話すよう、やんわりとお願いした。しかし、その女性はお詫びの言葉もなく、そのまま質問を続けた。しかも、その内容が、STAP細胞がなんとやら、私もニュース画面では良く聞き取れなかったが、どうもSTAP細胞が今回ノーベル賞から外れたことに対するコメントを求めたようだ。さすがに赤崎氏は差しさわりのない回答で流したが、内心は何と非礼な質問と感じたことであろう。ノーベル賞受賞という晴れがましい席で、世界的に疑念を呼んでいるSTAP細胞について質問することに何の意味があるのか? どんな回答を引き出したかったかは判らないが、まさに何か思うところへ誘導しようとの意図があったのは見え見えである。おそらく明朗に話せなかったのは何か準備したペーパーでも見ながらうつむいて話したに違いない。
また、これで思い出したことが一つある。それは東京オリンピックが決まった日にTBSサンデーモーニングの番組中、司会の関口宏が現地にいる安倍首相への電話インタビューで、オリンピックとは関係ない経済だったか政局だったかの質問をしたことである。現地では出席者そろって当選に沸きかえっているというのに、まったく関係のない質問をするとは常軌を逸していると強い不快感を持った。この時はさすがの安倍首相も不快感を覚えたと見えて、何も答えずにしばらく無言を通していた。まさに今回のノーベル賞会見と同根で、メディアの質の低さというか質の悪さが露呈した現象と言えるであろう。
メディアというのは、市民の目となり耳となって真実を報道するのが責務であろう。どこの誰が、オリンピックの決定祝賀の席で政治の話を聞きたいとおもうのか、ノーベル賞の受賞会見でまったく分野違いでまだ評価も確立されていない技術へのコメントを聞きたいと思うのか?
朝日新聞の事件以来、市民のメディアを見る目が厳しくなっていることさえ自覚できないのかと、日本のメディアの現状に暗澹たる思いとなった。今日の質問者もまさか朝日ではないでしょうねぇ……。
2014/10/7
21:30