中国のシー・チンピン国家主席が過去の慣例を破って、北朝鮮より先に韓国を初訪問する。
これは、中韓二国が日本叩きに協調するなどと憶測されているが、中国の意図は、そんな単純ではなく、より深い陰謀があると見える。それは、北朝鮮を孤立させる事で、拉致問題で協議を始めた日本へ北朝鮮を擦り寄らせることである。
中韓接近により北朝鮮の焦りを誘い、日本に対して拉致被害者の解放を匂わさせ、日本がそれに対して制裁措置を緩和すると、中国はすかさず、“世界がテロ国家と認定している北朝鮮に対し援助をする日本”との大プロパガンダを開始し、国際社会で日本の孤立化を狙うのである。
従来、Far East(極東)と呼ばれるように、東アジアの情勢は、西欧諸国にとって遠い世界で、関心の薄いものであり、今でも発信・流通する情報量は少ない。しかし、そんな中でも、米国を敵と公言してきた北朝鮮の異端ぶりは良く知られている。中国も、ようやくその横暴ぶりが多くの国から非難を浴び、韓国の我侭ぶりも一部には知られてきたが、大半の国にとっては北朝鮮とは比較にならない、ノーマルな国とは認識されているであろう。中国は、日本を北朝鮮の協力国家と世界にアピールし、日本を世界から孤立させようと考えているのである。世界に対し、北朝鮮を取るか、中国・韓国を取るかと問えば、答えは明らかであろう。その北朝鮮に日本もくっつけて、中韓との対比で踏絵を迫るのである。
決して中韓二国で手を携えて日本叩きをするような単純なことを考えているのではない。北京、中南海の住人たちは、若いときから、共産党内でのし上がるために権謀術策を競っているのである。その中でトップに登り詰めたシー・チンピンやリー・コーチャンは、正に孫子の兵法の隅から隅までを諳んじているであろう。
韓国の単純明快な、告げ口外交などとは格が、数段どころか百段も違う。韓国は、反日がパク・クンヘ大統領の支持率維持の手段となるのであろうが、中国の場合は、マスコミがよく、“国民の共産党への不満の矛先を日本へ向かわせる”等と解説しているが、共産党の支配力は、それほどヤワではない。いざとなれば天安門事件の再現すら可能である。
謀略の限りを尽くして、何とか海洋国家へと脱皮しようとしている中国共産党の怖さを、日本の国民は知っておくべきである。
中国の人民と共産党とは別物であり、人的交流・経済交流で仲良くなろうなどとは別次元なのである。
「優しい日本人」は美徳であるが、国までもが優しさを看板にしていては、十数年後には中国の自治区になってしまうであろう。それも、『日本自治区』ではなく、『日没自治区』と命名されて……。