ロシアがウクライナへの天然ガス供給をストップした。
代金未払い分の支払い期限が過ぎたので停止したというが、ロシアが外交カードとして天然ガスを用いるのは毎度のことであり、今回はEU寄りの姿勢を鮮明にしようとしているポロシェンコ大統領へのあからさまな圧力である。ウクライナへパイプラインで送られている天然ガスの一部はEU諸国向けであり、ロシアはその分の供給は止めないと言っている。しかし、同じパイプラインを流れるガスに色をつけるのは難しく、ロシアの狙いはウクライナが自国の備蓄を使いきり、スルーしているEU向けをやむなく自国内で消費することであろう。そうなれば、ウクライナを泥棒国家として大手を振って叩けるからである。先のクリミア併合後、ウクライナ東部への介入を図ったが、国際的な批判の高まりで矛を収めたロシアにとって、再度介入できる絶好の理由付けとなる。
先のクリミア併合の際にEUがロシアへの制裁に腰が引けていたのは、天然ガスで首根っこを押さえられているからであろう。事ほど左様にエネルギーは国の存立基盤として重要なものなのである。国民生活はもとより、産業のベースとして安定した低コストのエネルギー源は欠かせない。中国が海洋進出の理由として挙げているのも、本音には領土拡大があるにしろ、表向きは海底油田等のエネルギー開発である。
振り返って我国を見れば、原発事故以来にわかに反原発を唱える人々が勢いを増し、冷静な議論や判断ができなくなってしまっている。中東情勢も不安定化する中で中東原油への依存度は高まっており、第三次石油ショックがいつ起きてもおかしくない。もしそれが現実になったとき、今の原発反対派の人々は率先して耐乏生活をできるのであろうか? 少なくとも、反原発以外の人々に優先して不足するガソリンや生活用品を回してあげるべきであろう。
エネルギー問題は決して感情論ではなく、国の存立に関わる最重要課題である。石油を断たれて太平洋戦争に突入したのはどこでもない、我国である。シーレーン確保のための集団的自衛権にすら異を唱える人々は、国家が危機に瀕した際にはブレーキが効かなくなることを自覚すべきである。平和憲法を唯一無二と崇める平和ぼけが逆に戦争を招くこと、抑止力とは他国へのもののみならず、自国へのものでもあることを、もって瞑すべきである。
ウクライナがロシアからの干渉を排除できないのはエネルギーを押さえられているからであり、日本も独立国家として将来も存続し続けるには安定したエネルギー源の一刻も早い担保が必要である。