中国のリー・コーチャン首相がアフリカ訪問中に東アフリカ4カ国にまたがる高速鉄道網の建設を受注したと発表した。
建設費の大部分は中国が融資するのだという。 アフリカ諸国にはさほどの外貨蓄積はあるはずもなく、中国政府の融資金は建設代金として中国企業にそのまま還流し、融資返済は天然資源や、その採掘権益として中国政府が回収する仕組みなのであろう。 元安誘導のために膨らんだ中国政府の保有外貨を合法的に国営企業に流し、同時に成長維持のために欠かせない天然資源を確保するという高等戦術に見える。
問題はアフリカ諸国の国民にとってこの鉄道が必要なのか否かである。人口密度の低い国で、しかも路線の大部分は無人の荒野を走るような大量輸送鉄道は無用の長物と言える。長大な路線は莫大な保守費用が永続的に必要であり、また大型野生動物との衝突回避対策も必要である。遠く離れて点在する都市間を結ぶ交通は航空機の方が優れているのは明らかであり、経済的にも理にかなう。 アフリカ諸国側は政府がインフラ近代化を内外にアピールする宣伝材料が欲しいだけであり、国民の税金をつぎ込むならば反対運動が出て当然の施策と言えるが、殆どが中国の融資と聞かされれば反対意見も矛を収めるであろう。 5~10年後には天然資源権益の不平等契約が表面化し、しかもその資源採掘・輸出業務は全て中国企業が独占しているという現実を目の当たりにするのではないか。そのころには鉄道運行の難しさも明らかになり、大半の路線はまともな営業運行はできず鉄路もさびに覆われてしまっている姿が目に浮かぶ。
加えて言えば、中国内の高速鉄道網は日本のJRや欧州企業からの技術ライセンス導入で実現しているが、その後に自前の技術であると宣言して、東南アジア諸国に売り込みを図ったのは記憶に新しい。さすがに東南アジアでは日欧のプレゼンスも高いので、今度は誰も目をつけない、つまりライセンス技術盗用についても目の届かないアフリカを狙ったのであろう。
間違っても日本企業は、このような筋の悪く、現地のためにならないプロジェクトには参画しないことである。マスコミによっては中国に負けるなと、競合をあおる向きもあろうが、そんな軽薄な意見は無視することである。