咳二回での受診 2 | jasmin jasmin 女医の子育て。

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ほぼ毎日、描いているマンガなどです。

昨日の続きです。

最近の小児科外来には本当に些細なことで
受診する人が多いです。

そして健診でも「他に何か聞きたいことがありますか?」
と聞くと驚くようなことを質問されます。

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「オムツのサイズはどうなったら次にしたらいいか?」
ということを真顔であるお父さんから質問され、
自分の経験から話しました。
もちろん小児科の教科書にそんなことは載っていません。

その他にも健診で「子供がしゃっくりをするけれど
大丈夫か?」、「電車に乗せるときには抱っこと
膝に乗せるのとどちらがいいか?」、「ウンチが一日
一回だけれど大丈夫か?」、「このくらいの長さなら
もう爪を切っていいか?」と次々と質問され、随分長く
お話を要するお母さんもいます。

・・・でもしょうがないというのが、現在の私の考えです。

上のようなことを読んで「自分のお母さん(つまり
赤ちゃんのおばあちゃん)に聞けばいいじゃない?」
と思った方もいると思うんですが、
ダメなんですよ。

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このように却って不安を煽るようなおばあちゃんが多いんです。
ご自分の育児の際にはどうしていたんだろう?と思うんですが
昔の初産年齢から10歳近く遅くなっているので、もしかしたら
お忘れなんじゃないかと思うんです。






$jasmin jasmin 女医の子育て。-初産件数
(東京23区の初産年齢は30.9歳/2008年)

昔は50代のうちにおばあちゃんになったので、比較的記憶が
新しいものの、60代になってからお孫さんを授かると
子育ての記憶を忘れちゃっているんじゃないかと思います。
だから「大事な赤ちゃんに何かあっては!」
と一緒に不安になってしまうのではないかと。
でも、おばあちゃん達はご自分が育った時代にそのお母さん
に小児科に連れて行かれては絶対いないと思うんです。
ちなみにおじいちゃん達は時代的に子育て経験が殆ど
ありませんからお母さん達は相談することはないようです。

また、現代では長時間労働を強いられているお父さんたちも
普段、子供に接していない分「風邪でも引かせるたのは母親に
落ち度があったからだろう」と真剣に思っている人がいます。
子供は軽い感染症を繰り返しながら成長するというのに。

だから現代で子育てをするお母さんたちは不安で一杯です。
自分は間違っているんじゃないか、探せばどこかに子育て
の正解があるんじゃないか、と思っている人が多い気がします。










・・・という訳で今、育児相談も小児科医の仕事になっているんです。

私はコンビニ受診は現実的に無理だと思うし、不要不急の
時間外小児科受診はいけないと思っています。

しかし、周りに子供がいない中、自分の母も夫にも
相談できないお母さんたちが小児科で話を聞いてもらうだけで
気が楽になるなら、受診したらいいと思います。
それで医療費が多少上がっても小児科だから大したことは
ありません。
他の科のようにお金のかかる検査や大量の薬を出したりもしません。
それよりも誰かに話すことで育児不安が減ったり、
母子を支援する手段につなげられたり、
虐待が減ったりするならむしろwelcomeだと思います。

一方、本当は育児相談はもっと行政がやってくれても
いいはずだとも考えます。
区市町村の保健センターで助産師・保健師を増員して
小児科へのかかり方、救急時の対応を教えてくれたら
不要なはずの受診が減少して医療費を削減できると考えます。





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晩婚化、晩産化という言葉はよく聞きますが、
おばあちゃんになるのが遅くなるのは何と言うの?
晩祖母化?