チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の方とのお話と我が子(4) | 39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

消化器内科医 緩和ケア医 2児の母 
39歳で子宮頸癌と診断されました。
それからの経験がどこかで何かの役に立てられればと思い、綴ります。
癌の手術や化学療法などの治療に挑む方。
小さな子どものママで癌を患った方。
医師としての自分、母としての自分に。

 

「親が病気のことなどで不安を感じたり、辛い様子を子供の前で晒してもよいのでしょうか」

 

<アドバイス>

・  溜め込んで一気に爆発するよりは、小出しに不安や涙を表出する方がいい

・  その上で、だけどお母さんは大丈夫だよ、といえばOK

・  不安などの気持ちを表出してもいいんだよ、という子供へのメッセージにもつながる

・  母が涙を流したり不安そうにしている時に、理由を何も言わないことは良くない。理由を言葉できちんと伝えると子供も理解できる。

 

 

「自己導尿をする姿を子供に見せても、子供に影響はないでしょうか」

帰宅しても自己導尿はしばらく続く。わざわざ見せることはまずないと思うが、時々トイレの鍵を閉め忘れたりすると、3歳の息子は「お母さ〜ん」と勝手に開けて入ってきたりする。また、導尿の道具は手の届きやすいところに置いておく必要があるから「お母さんこれ何?」となることは容易に想像される。大人にとってはデリケートな手技で、実際私自身、受け入れるのに少し時間を必要とした。だから、こどもにもギョッとさせてしまってトラウマにでもなってしまったら、、と心配に思ったことからの質問だった。

 

<アドバイス>

・  まずは、母自身が見せても大丈夫、と思った時に、見せるのが良い。自分が受け入れられていない段階でこどもに見せ、それによって母の不安が増幅してしまったら、子供にも不安が伝染してしまう。

・  どうしてそれをやるのかを易しく説明をする。

 

 

 

 

癌と診断されてから、ショックを受けたり不安な様子をこども達の前であからさまに見せたことはなかった。ものすごく頑張ってそうしたわけではなく、母親としての本能的な部分と、元気なこども達を前にすると、自然にそうできただけだと思う。

 

ただ、前にブログでも書いたが、

ある日、痛みが強く、癌に対する不安を感じながらベッドで横になっていた時、娘は横に寝転んで

トントンと私の胸を優しく叩きながら

 

「なおると思ったら、なおるよ」

 

と言ってくれた。

母親が見せまいとしていても、こども達は敏感に母親の心を感じとっているものだとその時思った。

 

癌との戦いは長い。

治療が終わったって、常に再発の不安と戦っているだろうし、後遺症だって乗り越えなきゃいけない。

 

いつもいつも気丈で前向きなお母さんとして振る舞える自信があるわけでは、全くない。

 

もちろん、できるだけ前向きな姿をこどもたちには見せていきたい。困難に対して前向きに乗り越えていく姿を見せていくことが

癌が私に与えてくれたメッセージであるとも思っている。

 

 

今回のアドバイスによって、メッセージがもう一つみえた気がする。

辛さや不安がある時は、無理に隠したり中途半端にごまかしたりしないで、上手に表出して、きちんと伝えていくこと。

このことをこどもたちへ示していけたら、いいな。