治療の副作用 <吐き気と食欲不振 1> | 39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

39歳 癌になったママ女医 〜Cancer Gift〜

消化器内科医 緩和ケア医 2児の母 
39歳で子宮頸癌と診断されました。
それからの経験がどこかで何かの役に立てられればと思い、綴ります。
癌の手術や化学療法などの治療に挑む方。
小さな子どものママで癌を患った方。
医師としての自分、母としての自分に。

同時化学放射線療法が始まって

やっぱりきたのが吐き気と食欲不振だった。

 

放射線治療も週一回のシスプラチンもどちらも吐き気や食欲不振の副作用を起こす。

 

今日のタイトルはシリーズ的に「副作用予防」としたかったが、考えてみても「予防」になるようなことはできなかった。

 

ただ、先生方は治療開始前に

「副作用については色々お薬をしっかり使って抑えますからね!」と言ってくださっていた。

だから、予防はできなくても症状が出たら我慢せずすぐにお薬を追加してもらおうという作戦にした。

 

2ヶ月近くある治療。吐き気と食欲低下は、お薬の力を借りてなるべく抑えて体力を温存しておきたかった。

 

放射線治療開始2日目に初めてのシスプラチン投与。その翌日に吐き気が出てきた。

幸い嘔吐するまではなかったが、その日からオランザピンという薬を吐き気止めとして出してもらった。

 

この薬の副作用の1つに眠気があり、私の場合、5mg服用すると翌日ものすごい眠気に襲われてしまった。

そのため2.5mgに減らしてもらった。

がそれでも眠気が出たため、オランザピンはシスプラチン投与後の3日間だけ服用することにした。

 

吐き気止めとしての効果はあったと思う。

 

客観的に考えると、入院中なんて特に仕事や家事などすることもないのだから、眠気くらいあっても寝てればいいじゃないかという気もするのだが、「日中起きていたいのに眠い」というのはやっぱり不快なものだなと知った。ハッと起きたらもう夕方だった、というのは夜眠れるのか不安にもなるし、なんだか1日もったいない気分。

 

放射線治療は順調に平日毎日のペースで続いたが、

シスプラチンは2回だけ投与して以降、白血球が減ってしまい、その後3回に渡ってお休みになってしまった。

それで抗がん剤の副作用が抜ける分、治療開始15日目くらいからは吐き気もなく食欲も出て元気に過ごしていた。

 

ところが

放射線治療開始後24日目ごろから再び吐き気が出現。

 

放射線治療で起こる吐き気は宿酔と言って照射開始初期の数日間のみのことが多いが、私の場合は、後半戦にも吐き気と食欲不振が出た。放射線が当たるところに腸の領域が含まれていることが関連しているのかもしれない。婦人科の臓器と腸管は近いところにあるので、癌を叩きのめす目的を達成するためには致し方ない。

 

担当の先生も、当初から

’この治療は4週目ごろからきつくなる人が多いみたい’

とおっしゃっていたのでその通りのことが起こったようだ。

 

26日目ごろからは何をみても「何か食べたい」という欲求が一切なくなってしまった。吐き気については、ドンペリドンという吐き気止めを1日1〜2回使って凌いだ。

 

それまでは、病院内にあるコンビニに行って、気分転換のスイーツなど、食べたいものを物色するのが楽しみだった。

コンビニはパラダイス!と思っていた。

 

それが何をみても何1つ食べたいものなどない。

癌になる前も、体調不良で食べられない経験はあったが、その時は’できれば食べたいけど体が受け付けない’という感じだった。

 

それが今回は ’脳も身体も食物を一切欲しません’

という感じ。

運ばれてくる食事を前にメンタルもガタ落ちだった。

 

看護師さん以外話す人もいない。

病棟を歩く以外は、カーテンと壁に囲まれた生活。

吐き気があると動画を見たりするのもしんどかったりする。

 

気分の落ち込みに拍車をかける要素満載である。

何か変化を起こさなければ。

 

32日目、眠気の副作用を理由にやめていた吐き気どめのオランザピンをやっぱり飲むことにした。

 

吐き気が起こるにはいくつかの経路があるが

オランザピンという薬は、上述したドンペリドンよりも

その経路をより広範に遮断してくれる。

 

オランザピンは眠くなると思い込んでいたが、再度服用すると、今度は眠気はほとんど気にならなかった。

 

さらにオランザピンは食欲低下にも一部効果があると言われている。その効果か、服用再開して次の日から吐き気ばかりでなく、食欲も戻ってきた。

 

 

34日目には久々にスクワットなどの運動をすることもできた。

 

 

お薬に頼りすぎも良くないけれど

やっぱりお薬ってすごい。