栽培3年目の「マコモ」です。9/20に収穫しました。
マコモ(真菰)に関しては、過去に何回か記事を書いていますので、詳しくはそっちを検索してみてください。
今年は横着コイて去年の株をそのまま残して、枯れ葉ダケ取り除いて春から何もせずに放任栽培しました。
下は田んぼと言うより「池」です。30cmくらいの水深で貯めっぱなしです。
去年の株のままで地下部が出来上がっているので、あっという間に大きくなって梅雨前には2mを超えていました。
株の太さは一抱え以上あります。
姿はクソでっかいイネ、と言う感じです、手前の普通のイネと比べていただくと如何に大きいかお分かりと思います。

過去2年は30cmくらいの苗の一本植えから栽培しましたが、今年は去年の株をそのままなので、凄くボリュームが出ました。

ほっとくと竹みたいに地下茎が伸びてあちこちに広がりますから、株以外の所に出た芽は手で引き抜きました。

とてもチョーシ良く育ちましたので、マコモタケが出るのも例年より少し早かったようです。
秋になって日が短くなってくると、ある日突然、芽の先がトウモロコシみたいに太くなって目立つようになってきます。

夏の間は普通にイネの分げつの様に芽が増えていきますが、先が膨らむ事はありません。
9月に入ってから突然コレが起こるので、多分、花芽に対してこの肥大現象が起こるのだろうと思います。
この「マコモタケ」の発生は全てのマコモに起こるのではなく、日本の湿地などに自生している在来の野生マコモには起こりません。

コレが出るのは「黒穂菌」を持っている中国系のマコモです。
「黒穂菌」に感染していると、菌が花芽に入ってソコでインドール酢酸を出すのだそうです。
インドール酢酸は植物ホルモンの一種である「オーキシン」の仲間で、植物の成長をコントロールする作用があります。
細胞分裂を促進したり細胞を伸長させたりしますので、その結果、異常に肥大したり丈が高くなったりします。

こう言う植物ホルモンを分泌して生育に異常を起こさせる微生物は色々あるようで、桜の「てんぐ巣病」やイネの「バカ苗病」も微生物が植物ホルモンを分泌する事によって起こる生育異常です。
マコモの場合、花芽をやられるので穂は出なくなりますが、生育には影響はなく、勿論、マコモタケを食べても人体には何の影響もありませんし、変な味がしたりもしません。

ネイティブ・アメリカンはマコモの種子をおコメの様に食用に用いているそうですから、花を咲かせてタネを採ってみたいのですが、今まで穂が出た事は一度もありません。
花芽は全部、異常肥大を起こして「マコモタケ」になってしまいます。
マコモタケの内部は白い果肉?が詰まっていて花芽も何にもありません。

 

最初は一本づつ折り取って集めていましたが、めんどくさくなりました。

一株を細いロープで縛って、根本からバッサリ一気に刈る事にしました。
葉はガサガサしていますが、繊維はあまり硬くないので稲刈り用のギザギザ鎌で比較的容易に刈る事が出来ます。
意外と柔らかいんですよ。
でもボリュームが凄いので、巨人の国に行って稲刈りしてるみたいな感じです。

刈り取った後のマコモ池は直径6、70cmの切り株だけになりました。

刈り取ったマコモです。↓

けっこう重いですけど、なんとか担いで運べます。
縛りを解いて芽の肥大したものダケを集めるとこんなにありました。

1.5坪の池に8株植えてこの収穫です。

葉っぱを切って集めるとホントにトウモロコシみたいです。
大きさも一本が普通サイズのトウモロコシくらいです。
味も食感も生で齧るとヤングコーンに似ています。
ヤングコーンよりクセが無くて、ほのかに甘みがあって筋っぽくもないので、オヤツの様に生でポリポリ齧れます。

こんなに一度に穫れると食べきれませんけど、炊いてから冷凍にしたり、刻んで干すなどして貯蔵する事ができますから、一年中食べる事が出来ます。

煮炊きすると薄味でクセの無いタケノコみたいな感じです。
生のサラダから煮込んでオデンの具まで、様々な料理に使えます。
決して主役にはなれないのですが、非常に守備範囲の広い名脇役俳優みたいな感じで、サラダ、煮物、炒め物など何にでも使えます。
スパゲティや焼きそばの具、細かく刻んでハンバーグやツミレに混ぜたり、キムチにしても、ぬか漬けにしても美味しいです。

残った巨大なイナワラみたいな葉っぱも、来年の夏野菜の敷きワラに使うとイイくらいに乾燥防止や抑草に働き、イイくらいに分解してなくなってくれますので、使い勝手の良い資材となります。

色々、利点のある作物ですが、一つ欠点は「蔓延ると大変」ってコトです。
竹の様に地下茎で広がります。寒さにも乾燥にも耐えれるので、冬の間も地下部は枯れません。
耐寒性は春先にはイネより早く発芽して生育を始める程です。
できれば、ウチの今年の栽培の様に植えっぱなしにはせずに、毎年、春先に田植え用の芽を採って、古い株や根茎は撤去してイチから栽培を始めるのが良いと思います。
なにしろモノが大きく草勢が非常に強いですから、繁茂させ過ぎない事がポイントじゃないかと思います。