「細か過ぎて伝わらない」なんちゃら、みたいな話で、関心の無い方にはまるっきり実感湧かない話なんですけど・・・
1/16午後9時半にこんなツイートしました。↓
以前から、わずかにオンラインで見れるモノもあった様ですので、国会図書館のサイトにID作っていたんですが、今回、色々見れる様になったと言う情報があったので、もしやと思って見に行きました。
そしたらIDが無効になってて、アレ?そう言えばなんか来とったな・・・とメールを見たら「一週間以内に更新してください」とか言うのが一ヶ月くらい前に来とった。クソッタレ
仕方ないので再登録して、以前から読みたかった木田好次著「三十俵取り麦作の理論と実際」を検索しました。
この本は、以前からチョイチョイ引用させてもらっている井原豊氏の「痛快ムギつくり」の元ネタです。
ところがどうしたワケか、検索ではヒットしたのですが、画面には表示できませんでした。
モヤモヤしたので、古本売ってないかな?って、最近は全国的な古本のネットワークも出来てますからね、探してみました。
以前、2000年頃、この本を探した時は、一応ネット販売の古本屋さんはあったのですが、まとまった検索データベースとかできてなかった様で、アマゾンとかにもあまり出てなかったしで、一店毎にネット販売している古書店を探しましたが、とてもの事に手間がかかって、探すのを諦めました。
もう、そろそろイケる様になってんじゃないの?と「日本の古本屋」サイトで探してみたら、なんと!!ありました。
兵庫県の古書店さんが在庫しておられました。
びっくりして反射的に注文!値段にもびっくり、たったの1,200円
私なんかの価値観だと、こんな重要な農業文献、10倍の1万2000円したって不思議はないと思うんですけど、ど~も私の感覚は世間とは隔絶している様です。
でもまあ、逆でなくてラッキー!
この本は、私は戦前の本だと思っていたのですが、どうやら初版は1951年だそうです。
序文の日付が昭和26年8月15日となっていました。敗戦から丸6年後でした。
今からもう71年も前の本です。
手元に届くまで、全く信じられませんでした。
「申し訳ございません。在庫確認しましたら既に売り切れておりました。」とか言ってくるんじゃないかと気が気ではありませんでした。
届いた直後のツイートです↓。
程度は、まあ、年代相応って感じです。
あの頃(私もまだ生まれてませんでしたが)は、まだまだ物資が不足していた頃ですから、紙の質なんかも今の様に立派ではなく、文庫本くらいの小さな冊子で、表紙のデザインもいかにも「戦後」って感じです。
紙がセピア色に退色している上に、当時の印刷技術では印字もクリアではないので、チョット読みづらいですが、昔、何か色々旧字体や旧仮名遣いの文献を読んだ事があったので、どうにか普通に読み取る事ができそうです。こんな感じ↓
目次はこうです。↓
バラバラっとめくって見た感じでは、技術内容としては井原豊氏の「痛快麦作り」とほぼ同じの様ですが、そこここに現れる当時の栽培感覚や、何と言うか「百姓魂」みたいなものがにじみ出ていたり、現場の直感的、直観的栽培判断など非常に興味深いモノがあります。
これだけレアで入手困難な文献なのですが、あんな安い値段で手に入るって事は、相当に需要が低いんだろうな、と思いました。
まぁ、麦を作る人自体が少ないですからね。
でも、この時代ですから当然「有機」なんですよ。
まだ有機農法なんていう概念も無い頃ですから、厳密な有機栽培ではありませんけどね。
化学肥料はまだ普及し始めで、「硫安」「過石」「塩カリ」とかは使われてる様ですが、基本的には堆肥と菜種油粕、下肥えなどの有機質肥料です。
農薬は「石灰硫黄合剤」「除虫菊乳剤」「BHC粉剤」などの初期の農薬が出てきますが、ほとんどは「石灰硫黄合剤」で対処しているみたいです。
「ウスプルン」などの水銀剤の名前も出てきますが種子消毒程度にしか用いられていない様で、種子消毒も主には「風呂湯浸漬」などの方法が勧められています。
恐らく当時はまだ化学農薬は高価で今の様にメインで用いる事が難しかったのではないでしょうか?
そんな時代に1.8トン/10aは驚異的です。
ウチの小さな2aの畑でも360kg穫れる計算ですからね。
有機農法、自然農法でもソレだけの多収穫を上げ得ると言う事ではないでしょうか?
食の安全安心、環境問題のウェイトが大きくなってきている現今、非常に重要な知見が含まれているのではないかと、思います。
取り急ぎ精読後、書評書きたいと思います。