最近ユーチューブにも自然農法のコンテンツが沢山上がってて、ちょいちょい覗くんだけど、どうも違和感があります。
いや、ユーチューブに出てる自然農法家さんに違和感があるって言うんじゃなくて、もうコレは随分前から自然農法の話を見聞きするたびに大なり小なり感じている違和感です。
それは「農法」の部分の解釈の違いなんだけどね。「自然」の方じゃなくて。
例えば「工法」だとどうだろう?
家を立てる時は「軸組工法」とか「ツーバイフォー工法」とかあるよね。
アレは混ぜて使う事も出来なくは無いだろうけど、普通はそれぞれ単独で使いますよね。
家全体を「軸組工法」で建てる、「ツーバイフォー」で建てる、或いは「鉄筋コンクリート造り」で建てるとかね。
ウチなんかだと「丸太組み工法」つまりログハウスだから、増築しようとするとピタッとくっつけて隣にもう一軒建てる感じになるんですよ。
ログハウスは丸太と丸太を噛み合わせて組んで建てるので、後から追加できないし、勿論、最初に建てる時も他の工法を混ぜて使うってワケには行かないよね。
ま、軸組とツーバイフォーなんかは混ぜれなくもない感じだけどね。
鉄筋と軸組も出来なくはないか・・・・
でも普通はやりませんよね。
一方で、製造業だと色んな製法が適材適所で使われますよね。
自動車でも部品によって、プレス工法で作られたり、鍛造だったり、鋳造やインジェクション成型だったり、素材によっても鉄と合成樹脂じゃ違うし、同じ鉄製部品でも用途によって工法は異なります。
モノによっては、ほら一番身近なのはスマホですよ。
iPhoneのボディは(今はどうなのか知らないけど)最初はアルミの削り出しだったんじゃなかったっけ?
普通は鉄板のプレスか樹脂成形(コレが普通かな)ですよね。
同じ携帯電話のボディなのに素材も工法も異なっています。勿論、部分部分で混ぜて使う事も可能でしょう。
農業はどうでしょうか?
慣行農法、有機農法、自然農法、なんか南北朝鮮の軍事境界線みたいのがあるよね。
アレ、要る?
ソコは考え方の問題ですね。
住宅建築みたいに全部を一つの工法で建てるのか、車やスマホみたいにそれぞれのパーツや要求される機能に合わせて上手く工法を組み合わせたり選択したりして製品にして行くのか。
農業の場合、建築型の考えの人が多いですね。有機農法なら有機農法だけ、自然農法なら自然農法だけ、自然農法の中でも、福岡正信派とか川口由一派(自然農)とか木村秋則派(自然栽培)とか別れてて、結構純血主義の人が多いですね。むしろ慣行農法の方に有機や自然農法のノウハウを取り入れようと言う動きがある様に感じますけど、有機や自然農法で科学(化学)農法の手法を取り入れようと言う人はあまり居ないね。
私は農法も車やスマホみたいに、適材適所でイイトコドリした方が良いと思います。
有機農法でも「不耕起栽培」は導入した方がイイし、自然農法でも「堆肥施用」や「中耕の実施」は効果的な手法です。
ユーチューブなんかに出てるの見ても、カテゴリーからはみ出さないように無理してる感じがあって、そこに違和感を感じますね。
先日も、自然農法が上手く行かないって言ってる人が居たんで「先ず、何でもイイから良く出来る方法で作って、それから自然な方へ寄せていった方が早いですよ」って言ったんだけど、どうも一旦「有機農法です」とか「自然農法です」とか言ってしまうと、そのカテゴリーのルールを破る事が難しくなるんだろうね。
だから私はもう10年以上前から、「自然農法とか有機農法とか言うのはルールじゃありませんよ」って言ってるんだけど、有機農法なんか法律で定義されちゃってるから化学肥料使ったりするとその時点で「有機農法」って名乗れなくなっちゃいますからね。
ま、そんな事が障害となって他分野との技術交換ができなくなってるんでしょう。
作物を上手く育てる事を第一目標にすれば、あまりジャンルに拘らず色々試してみた方が良いと思います。
特に強くおすすめするのは、堆肥の施用と中耕です。目に見えて効果があるからやってみて!