ブログも長くやってると、だんだん神経図太くなってきて盛りまくったタイトル付けるのも平気になっちゃいますね。
まぁSNSの普及で世の中「盛り傾向」が日に日に強まって、フツーに言ってたんじゃ見向きもされなくなりそうですからね。
キャッチ・フレーズのインフレですわ。
で、何の事かと言うと、ウチは農地じゃなくて花崗岩質の山を削ったダケの造成地なんで、とても土地が痩せてるんですよ。
にも関わらず自然農法がどうだこうだと書き続けて来た手前、「じゃあ化学肥料ぶっ込んどくか」って訳にも行きませんし、生来怠け者なんで有機農法みたいに頑張って堆肥を作る、ってワケにも行かないし、何とか「放ったらかし」~「チョイ働き」くらいまでの間で土を肥やす方法はないものか?って事で、毎年「自然堆肥」を入れています。
まぁコレもねぇ、農協に電話して「バーク堆肥10tほどダンプでお願いします」って言えばいいだけなんですよ実際には。
ヨーするに肥料成分(主に窒素分ね、ウチみたいな痩せ地では)と腐植質が増えれば良いワケですからね。
他に色々細かい問題もあるんだけどね、急に環境変えるのは圃場生態系に対してどうなん?とかね、そう言う事もあるけど、ウチなんかはチョット極端に土壌環境が悪過ぎて作物が育つのか育たないのか、みたいな低レベルの戦いなんで、細かい事は後回しなんですよ。
作物育たないトコでゴチャゴチャ能書き垂れても仕方ないからね。
この点は、自然農法やる人が陥りがちな問題でもあるんだけどね。
先ず「圃場環境」の側から行くのか?それとも「生育優先」の側から行くのか、って話。
私は「先ず栽培が成り立つ」って事が最優先と考えてます。
何故なら、「作物の生育から環境を測る」って考えだからね。作物だけじゃないけどね。雑草とか他の生物も含めて、生き物が良く育つ環境ってのが栽培には必要なワケですよ。
だから先ず作物も草も虫もカエルやモグラも良く育つ様にする、ってのが基本的な考えです。
なので10tダンプで堆肥持ってきてもらって、ガッサーッとブチ込んどけばイイんだけど、それじゃぁあんまりにも知恵がなさ過ぎて・・・・とかも思う訳ですよ。(ホントはさっさと10tでも20tでも入れた方がイイんだけどね)
でまあ、たいした金額でもないけとお金もかかるので、経費節減と環境の為に身の回りにあるモノで何とかしよう!!って事で「自然堆肥」です。
お金があって身の回りに堆肥の元にする粗大有機物が大量に無い人は、さっさと10tダンプ、チャーターしてください。
コレが「自然堆肥生産システム」の全貌です。
能書き垂れた割には原始的、かつ単純、かつ貧相
構成要素は6、7mの斜面と、4mくらいの木を4本組んだヤグラと、ソコからぶら下げた1m四方くらいのフルイです。
木は敷地周囲で伐採したもの、他の材料は廃品利用で制作費ゼロ円です。
上に見える軽トラで落ち葉などを集めて来て斜面に落とします。
上から見るとこんな感じ↓
真ん中の木は「ソメイヨシノ」なんですけど、今、根元が出てる状態です。
ちょうど今まで積んでた堆肥が仕上がってきたので斜面の下に全部降ろして空になった状態です。
今、この秋の落ち葉集めを始めたばかりで、軽トラ1杯分入ったトコです。
これからドンドン搬入して「ソメイヨシノ」の幹が1m埋まるくらいまで集めて来ます。
で、ほっとくと来年の夏くらいまでにキレイに分解されて腐植土になるんですよ。
腐植土が出来たら下から取って圃場に撒くんですけど、その時にフルイで未分解のモノを取り除きます。
そのまま何でもかんでも圃場に豪快に放り込んでも大丈夫なんですけど、この辺りは赤松が多いのでマツボックリが結構混じっています。
コイツがなかなか分解しなくて、種播きとかの時に結構邪魔になるんですよね。
他に枯れ枝とかも分解が遅れるので残ります。
そう言うのは取り除いておいた方が栽培作業がやり易いですからね。
腰の高さくらいに吊り下げたフルイに出来上がった腐植土を入れます。
フルイの目は1cm角くらいなので、軽く揺すれば簡単に落ちます。
フルイはワイヤーメッシュを半分に切って正方形にして金網を張り、周囲に太めの竹を括り付けたダケです。
で、フルうと、マツボックリや枯れ枝の他にも、ゴロゴロ出てくるんです。
ハイッ、ウチの従業員さん達です。
カブトムシの幼虫が大量に居ます。コイツらがムシャムシャ植物残渣を食べるので1年位で土になるんです。
そのまま腐植土と一緒に畑に連れて行っては自然堆肥作りの従業員が居なくなって困るので、フルイで集めて新たな落ち葉を投入した所に移します。
これから梅雨明け頃まで、この新たに積み込んだ材料を分解してもらいます。
カブトムシは6月頃には蛹になるみたいです。早春からソレまでの間、見る見る内に積み上げた落ち葉が下がって行きます。ドンドン分解しているようです。
梅雨明け前後には蛹から羽化して成虫が出てくるのですが、カブトムシの成虫は羽化直後から交尾、産卵を始める様で、7月上旬には堆肥の中に卵から孵った小さな幼虫がたくさん居ます。
こうやって続けていると、ずーっと勝手にカブトムシが増え続けます。
彼らがムシャムシャ食べるので、1年でこんなになります。
糞だけ集めるとこんな感じ↓
これでほぼポカポカの腐植土になった感じです。
厳密に言えばコレでもまだ完全に分解された腐植ではないのですが、圃場で栽培に利用するにはこの辺りでOKです。
当初は、完全な腐植の事を考えていたので、落ち葉などは1/10以下の量に減るだろうと思っていましたが、この段階だと1/5くらいなので、結構たくさん残ります。
積み込む時は落ち葉だけでなく、枯れ枝、朽木、古竹、山土、側溝などの溝さらえした時の土、刈草、生ゴミなど、分解される有機物なら何でも放り込みます。
以前は枯れ枝や木片は分解が遅いのでできるだけ取り除いて積み込んでいたのですが、フルイが出来たので、これからは遠慮なく色々混ざったモノもドンドン積み込めます。
フルイ分けた未分解の枝、樹皮、木片、マツボックリなどは再度積み込めば徐々に分解します。
コレを一年中ずーっと繰り返していると圃場の腐植質が増えて行きます。
落ち葉集めはめんどくさいですけど、どうせ周囲の清掃はしなければならないし、山の中は街の人には想像もつかないくらい大量の森林からの落下物があります。
それらを放置するとイノシシが引っ掻き回したり、雑草が繁茂したりしますので、随時回収すると生活環境として良くなります。
ウチの栽培面積は30a程度です。痩せ地なので毎年軽トラ10~20杯分の有機物を積み込みます。
普通の農地ならその1/2~1/3くらいで十分なんじゃないかなと思います。
10a当たり軽トラ山盛り2杯くらいです。
あとは圃場内での草生栽培と稲、麦などの残渣の多い作物からの還元で腐植質を増やしています。
腐植質が増えると、保水力保肥力の向上、地温の維持、土壌生物相の改善、緩衝能の強化など色々作物栽培に有利な要素が増えて行きます。