昨日の「カメノオ」に続き「変異」のお話なんですが、これ、結構キョーレツですよ。
私、ビックリして二度見、三度見でした。
先ずは周辺事象から。
↓このカボチャの葉っぱ見てください。何か感じませんか?
↓コッチは更に良くわかります。
大きさが倍半分違います。小さい方が普通種です。
「鶴首かぼちゃ」を20株くらい育苗して植えたのですが、一株だけ異常に葉がデカイ奴が居ました。
あれれれぇ???こりゃなんかスゴイのが出てるぞォ、とは思って気にしていたのですが・・・
ある日、大きな葉っぱの連なりの向こうに、ヤバい感じの奴が横たわっているのが見えました。
写真だと周りに比較するモノがないので分かりにくいですね。
コレ、ゴム長は28cmです。
いったい何が起こったのでしょう?
↓この小さい方の実でもフツーよりは大きめなんですよ。
考えられる事は主に2つあります。
一つは「4倍体」もう一つは「雑種」です。
今回播いたタネは昨年採種したモノで、交配は手作業により同種の異個体間で行っています。
一般的な手順で、前日夕方に蕾に紙袋をかけておき、翌朝、開花したものの花びらを取り除き、同様に花びらを取り除いた雄花の葯を柱頭にこすりつけて受粉させました。
そうして果実が成熟したものから採種し、今年の春に温床でポットに播いた苗です。
以前、種子の発芽テストの結果をご報告した、あの苗↓です。
ですから、ほぼ一果の同じ実のタネです。
その中に一株だけ巨大なのが出来たので、まずは「4倍体」を疑いました。
「4倍体」になると茎葉や花や実が巨大化するものが良くあります。草勢も強くなります。
この巨大つる首カボチャは、他の株が秋落ちで葉が黄色くなって落ち始めても、元気で青々していて、未だにグングン蔓を伸ばしています。
でも、一つの果実の中の一粒のタネだけが「4倍体」になる事ってあるんでしょうか?
普通はコルヒチンなどの減数分裂を阻害する薬剤を用いて人為的に4倍体は作られます。
自然4倍体と言うのは、私はあんまり聞いた事がありませんが、小麦やキャベツなどに見られる倍数性は多分育種なんかが行われてなかった時代に自然に発生したものを見つけ出して選抜育成したものでしょうから、自然界でも稀には発生するんでしょうね。
しかし、一果の中に一粒だけ、と言うのはどうなんでしょうね?
一つの卵子だけが減数分裂に失敗して倍数化していた?
でも交配の時に私は必ず別の株の花粉を付けるので、両方が倍数化しているなんて事は考えづらいので、もし雌花の一つの卵子が倍数化していても、普通の精子と受精すれば3倍体になりますね。
じゃ、このカボチャは三倍体なのか?もしそうだったらタネ採れませんから今回限りって事になります。残念。
受粉後にタネが出来る時の細胞分裂で偶発的に減数分裂が行われず倍数化するなら、タネが出来る時に四倍体になった、と言う事も考えられるかも知れませんが、そんな事あるんですかね?
もし4倍体だったら、自家受粉させればタネが採れる可能性はあるでしょう。
もう一つの可能性は「交雑」ですが、コレ↓昨年栽培した「ナポリ」です。
「鶴首かぼちゃ」にチョツト似たイタリアの巨大カボチャです。
去年、「ナポリ」を栽培した場所と、「鶴首かぼちゃ」を栽培した場所は、水平で40m、垂直で5、6m離れています。
間にハウスなどの障壁もあるので、直接昆虫が花粉を運ぶ可能性は低いと思います。
仮に運んだとしても一果の種子のウチ一粒だけがその花粉で受粉するなんて事はあるのでしょうか?
不倫して双子が生まれたら、お兄ちゃんはパパの子で、弟はよそのおじちゃんの子だった、みたいな話ですよね。
人間だと「同時」と言う事は通常有り得ないので(ややこしい事やったら知らんけどね)そんな事は起こりませんけど、カボチャなんかだと雌しべも大きいし三面になってるから、両方の花粉を付ける事は可能です。
それぞれの花粉が花粉管を伸ばして、別々の胚珠に受粉できるかも知れませんね。
雑種でも4倍体と同じ様に、大きくて草勢の強いモノが出る事が多いですね、F1品種なんて当にソレを利用している訳ですからね。
雑種であった場合、「ナポリ」も多分形状から「モスカータ種」ではないかと思いますのでね、それならセルフ(自家受粉)させれば問題なくタネが採れるかも知れませんね。
私はここ2年ほど「鶴首かぼちゃ」のミニタイプを作ろうと頑張ってて、去年はちょっとソレらしい奴が出来たんですよ。
2m四方くらいで栽培できる小型の奴です。
だけど「鶴首かぼちゃ」本人は、また、別の方へ向かいたがって居るようです。
このご時世で大型のカボチャってのは売れないから、困るんですけどね。
でも、やっぱり「品種」って事を考えると、強烈な個性を持ったヤツは完成させたくなりますね。
頑張ってタネ採ります。