カエルの画像ばっかりですから、カエル嫌いな人は見ない方がイイですよ。
ウチの圃場には、8種類くらいのカエルが居ます。
春から秋までズーッと圃場に居るのは「トノサマガエル」と「アマガエル」と「ヌマガエル」「ツチガエル」とかで、「ヤマアカガエル」「モリアオガエル」「シュレーゲルアオガエル」「ヒキガエル」は産卵の時だけ水場に来ます。後は木の上に移ったり山の中に散らばったりしているようです。
コレ↓は「マコモ池」です。5mx2mくらいの小さな池ですが、8株のマコモが茂っていて、秋には沢山の「マコモダケ」が穫れます。冷凍にして一年間食べる分が穫れます。
ここに3種類のカエルが産卵に来ます。
まず真っ先に来るのは「ヤマアカガエル」です。
普段は山の林床の少し湿った斜面とかに居ます。
「ヤマアカガエル」は未だ氷の張る3月始め頃から集まってきます。
そして、沢山の卵を生み、短期間で孵化して早春のマコモ池は「ヤマアカガエル」のオタマだらけになります。
その後で、「トノサマガエル」が4月上旬頃、出てきます。
ここに来た5、6年前ごろには、ほとんど居ませんでしたが、だんだん増えてきて、今年は大きな個体も沢山目にする様になりました。

「トノサマガエル」もマコモ池や田んぼにアチコチ産卵するのですが、どうして分かるのか、未だ「ヤマアカガエル」が産卵していない場所を探して産卵します。
たまに「ヤマアカガエル」のオタマが沢山居る所に産卵すると、アッという間に食べられてしまいます。↓

だから親ガエルは「ヤマアカガエル」のオタマの居ない場所を探して産卵する様です。
ところが、その「トノサマガエル」が、「ヤマアカガエル」のオタマジャクシがウヨウヨ泳いでいるマコモ池に集まってくるんです。
数が増え過ぎて産卵場所が足りないから、他種のオタマが居ても仕方なくマコモ池で産もうとしているのだろうか?と思いましたが、違っていました。
卵はちっとも産みません。(もしかしたら産んだ直後に食べられてるのかもしれませんが・・・)
「トノサマガエル」達は、こうしてマコモ池の岸に40cm間隔くらいで並んでいます。

最初は何をしているのか分かりませんでしたが、池の縁にカエルが居るのは普通の事ですから、気にもしませんでした。
ところが、彼等はコレ↓を待っていたのです。
「ヤマアカガエル」のオタマジャクシに手足が生えて、岸に上がってきます。
ちょうど梅雨入り頃です。
このチビガエル達が、待ち構えていた「トノサマガエル」にパクパク食べられていました。
カエルって目の前で動くモノは何でも食べますから、「トノサマガエル」も「ヤマアカガエル」の子ガエルを食べようと狙ってマコモ池に集まっているワケではないのでしょうが、春先には圃場には未だ草も伸びていませんし、虫も少ないので、餌の多い水場に集まるのでしょう。
そこへちょうど先に生まれて成長した「ヤマアカガエル」に手足が生えて上がってくるワケです。
「トノサマガエル」は卵を食べられた仇をここで取ったワケです。
「ヤマアカガエル」の子ガエルが食べられる少し前の、梅雨入り直後頃、樹上に居た「モリアオガエル」が水場に集まってきます。
段取り良く夫婦同伴で来るペアも居ます。
このペアは「金目」ですね。「金目」だと「シュレーゲルアオガエル」と見分けが付きにくいですね。
よく見ると「モリアオガエル」はヤスリ目の様な鮫肌なので判別できます。
ココの「モリアオガエル」には「赤目」の個体の方が多いです。
水温の低い時には、動きがノロいので、こうしてソ~ッと手ですくう事も出来ます。
だいたいおっとりした感じのカエルです。
池の縁に木の枝とかを刺しておくと登って枝に産卵するのですが、今年はあまり高い所に登らずに岸の草の中などに生む個体が多かったです。
昼間にこんな風にマコモの葉に擬態している個体も見つかります。
蒸し暑く雨加減の夜に行ってみると、マコモの株の中に産卵していました。
こんな感じでマコモの葉の間に泡の塊が沢山産み付けられます。
この中に卵が包まれていて、中で孵化してオタマジャクシになってから出てきて下の水面に落ちます。
「モリアオガエル」は水中に産卵しない事で、他のカエルのオタマジャクシに食べられる危険を避けています。
だから他のカエルより遅く産卵しても大丈夫なんですね。
梅雨の雨が続く日に、卵塊は溶けて崩れて中からマッチの頭ほどもないオタマジャクシが水中に旅立ちます。

ところが不思議な事に、梅雨の後半になるとアレだけ沢山いた「ヤマアカガエル」のオタマジャクシも「トノサマガエル」もほとんど居なくなるのです。
「ヤマアカガエル」のオタマは、カエルになって林床に散っていきます。多くは「トノサマガエル」に食べられてしまいますが、見つからずに上陸して素早く草の中などに隠れた個体は生き延びます。
「トノサマガエル」は「ヤマアカガエル」の上陸が終わると餌が少なくなるので、梅雨の雨で草が茂った圃場全体に散って行きます。
その頃には、草の中に沢山のバッタやカメムシやテントウムシや色んな虫達が増えているので、草むらの方が餌が多くなるのでしょう。
それと、気温の上昇と供に、狭い水場に集まっていると今度は自分達が食べられるリスクが高まって行きます。
ヘビです。この頃からシマヘビやアオダイショウやヤマカガシを池の周りで頻繁に目にする様になります。
「ヤマアカガエル」も「トノサマガエル」も居なくなって、池は「モリアオガエル」の独壇場となります。
ちょっと画像が見えにくいのですが、濃い灰色のオタマと、真っ黒いオタマが居ます。
灰色のが「トノサマガエル」で真っ黒のが「モリアオガエル」です。

梅雨も終わり頃になると、「トノサマガエル」のオタマジャクシも手足が生えて指先くらいの子ガエルになって圃場の草の中に散って行きます。
最後に、真っ黒な「モリアオガエル」のオタマジャクシにも手足が生えて水から上がるのですが、彼等は一晩で居なくなります。
地上は危険なので、手足が生えると急いで木の上に登るみたいです。
この早春から夏までの、カエル達の変遷は、生態系がそう言う上手い棲み分けになっているのか、それとも私が新たに作った池や田んぼに集まって来た生き物達の覇権争いで今も生態系の遷移が続いている、その過程の状況なのでしょうか?
これから年々、今まで増え続けて来た「ヤマアカガエル」が減り、「トノサマガエル」が増えるのかも知れません。
「ヒキガエル」は個体数が少なく、たまに圃場内で単独で歩いている姿を見かける程度ですが、早春には水場の周囲で見かける事もあります。
未だ産卵した個体は居ませんが、「ヒキガエル」も「ヤマアカガエル」同様に早春に産卵する種類ですので、今度は「ヤマアカガエル」と入れ替わって行くのかも知れません。









