さあ、この木を半分くらいの高さ、葉張りにしたいワケですが、色々問題があります。
8mくらいのトコで太い幹は直径20cm近くあります。
ソコから上が7、8mありますから、いきなり伐ると8mの高さから太さ20cm高さ8mの木が倒れ落ちると言う恐ろしい事が起こるワケです。
コレ経験の無い方にはピンと来ないだろうと思いますが、太さ20cmちかい生木は1.5mくらいの長さでも、チョット担げないくらい重いです。
そんな重い物を8mの高さから落とすとかなりの衝撃ですし、落とす場所なんかコントロールできませんから何が起こるか分かりません。
木の南側は2mくらいの石垣なので、そっちだと合計10mから落とす事になります。

先ずは、身の安全のため、作業し易い足場を確保しました。
ココは高さ6mの地点です。
こうやって高いトコに上がるとしみじみ分かりますけどね、
モノって、下に、落ちるんですよ。知ってましたぁ?
そりゃ誰でも知ってるだろうけど、こんなトコで作業するとソレが強く実感できます。
何でもかんでも使ったら何処かに括り付けないとハジからポロポロ落ちて行くんですよ。
足場板は渡してあるんですけどね、不用意にその辺にモノを置くと、電動工具だろうが、ノコギリだろうが、潤滑油だろうが、コードリールだろうが、皆んななんかの拍子に、ガランガランとか音を立てて落ちていきます。
バケツ等を括り付けておいて、何か使ったらその中に入れるようにしました。

幹が太すぎるし樹形的にもここで伐る事は出来ないので、更に2m単管パイプを追加しました。
ソレを上から見たところです。単管パイプが見える所までが8mです。
それでも未だ太くて伐りづらいので、更に上に先に切り落とした枝で枠を組みました。

先ず「高枝切りノコギリ」で届く所の枝を落とし、その枝の小枝を払って使いました。
こうやって、枝を周囲の幹に括り付けて、中心の幹を囲むカゴの様な囲いを作りました。
この囲いの中で作業すれば、いきなり下に落ちる心配はありませんからね。

この木の場合は、7、8本の幹で株立になっていますから、こう言う構造は作り易いです。
子供の頃、木の上に「基地」作った事ありませんか?
その辺の棒っ切れなんか持ってきて、上に草かぶせて屋根にしてね。
ウチの周りにはイチジクやビワの畑が多かったので、そう言う木の股のトコに「基地」作って、よく農家さんから怒られてましたね。
あの要領です。

コレが囲いの内部を見下ろした所↑
下から見るとこんな感じ↓で、鳥の巣みたいになってます。
この状態で、一番上の横木の少し上で伐る事が出来ます。
伐るのはレシプロソーやチェンソーで伐るんですが、その時も、しっかりした幹や枝の枠に体を預けて、安定させて伐らないといけないので、あまり「鳥の巣」から出たところは伐れません。
これでようやく地上から10mくらいのトコです。

伐る時はロープで釣ります。
ダイレクトに地上に落とすとショックも大きいですし、跳ね返ったり、周りのモノにぶつかってソレを跳ね飛ばしたりする危険もありますので、落下させないようにしました。
釣る方法は2通りあります。
梢を釣る場合と、付け根を釣る場合です。
コレ↓は梢を釣る方法です。
棒の先のフック状の枝にロープを懸けて、梢の横枝に上から懸け、下から先端の「ワサ」に再びフックを引っ掛けて引き寄せます。

引き寄せた先端のワサにロープの末端を通して絞めると梢に括り付ける事が出来ます。

こうやって梢を括って、もう一方の端を幹に括ります。

こうやって、この枝の付け根を伐ると、梢を上にして木が立っている時の状態でプラ下がります。
梢側を釣ると、切り離した瞬間に幹が落下して行き、足場にガーンッとぶつかりグラグラ揺れて怖いです。

なので今回は、実際にはこの逆の釣り方のほうを多用しました。
枝の付け根にロープを括り幹から釣る方法です。
その方法だと伐った枝は、梢を下にしてぶら下がります。
ぶら下がる時に、幹の周囲に組んだ足場にぶつかるのですが、梢が下だと小枝と葉がショックを吸収してくれるので安心ですし、重量のある付け根の側を釣ってるので足場にぶつかるショックも小さいです。
できるだけ上の方の細いところで伐って、それから下は1~1.5mくらいづつ伐りながら下がって行きます。
難しかったのは、太さ15cmくらいの丸太でも、ロープで釣ると下に下ろせなくなるんです。
釣ったロープを緩めると、ドーンと落ちてしまいます。必死でロープを握ると手の皮が剥けそうになったり、指に絡んでコッチの指が折れそうになります。
重い物を腕力で吊り下げるのはかなりのマッチョでないと難しいです。
これは直接釣らずに、単管の枠にロープを2、3往復させて、枠を滑らせて少しずつ下ろす事で解決しました。
直接引っばっては支えられない重さでも、懸かる箇所を多くすると楽にぶら下げながらソロリソロリと降ろせました。

 

10cm前後の太さならレシプロソーでも伐れます。チェンソーの方が早いのですが、切り口はレシプロソーの方が綺麗です。
今回は、木を傷めず再生させる事が目的なので、できるだけレシプロソーを使いました。
コードレスだと長時間の作業が出来ないので、今回はコード付きを使いました。
コードの繋ぎ目は紐で括っとかないと引っ張った時に抜けます。

圃場側を見るとこんな感じ。

数日かかってトップ周辺の切り落としに成功しました。
コレは枠を取り除いている途中の様子です。

真ん中あたりの伐採が済んだところ↓

南側に突き出ていた幹を伐ったところ↓
外に広がった幹を伐る時は、トップを伐った時の枠を解いて、その木をまた組み直して、だんだん下に下りながら伐って行きました。

3月頃までに伐る予定だったのですが、遥かに遅れて5月を過ぎてしまいました。
木の為には寒いうちに伐って春に備え、最も良い時期に新しい芽を吹かせなければならなかったのですが、予想以上の高所作業の困難さで(単に想定が甘かっただけですが・・・)どんどんずれ込んでしまいました。
上手く芽を吹いてくれるか、チョット心配です。