寒中にカボチャのお話です。
カボチャの記事のたびに同じ事を書いてて申し訳ありませんけど、基本、日本で栽培されてるカボチャは3種なんですよね。
カボチャ属(Cucurbita)の植物には20種くらいあるみたいですが、食用にするのは主に以下の3種です。
Cucurbita maxima(セイヨウカボチャ)
Cucurbita moschata(ニホンカボチャ)
Cucurbita pepo(ペポカボチャ)
マキシマ種の主なものは丸形の「東京甘栗」とか長形の「ヒダカボチャ」とかですね。
モスカータ種の主なものは丸形の「日向カボチャ」やひょうたん型の「バターナッツ」や長形の「鶴首かぼちゃ」です。
ペポ種はちょっと上記2種に似ていて、どっち付かずな感じです。
「ジャック・オー・ランタン」の様な丸っこいのヤツはマキシマ種に似ている気もしますし、「スイート・ダンブリング」などは「日向カボチャ」に似ています。「デリカータ」などの小型で長細いタイプはどちらにも似ていませんし、「ズッキーニ」になると独特な感じです。
栽培品種のカボチャには、これらの交雑種もあります。
交配してみると異種間でも容易に結実しますので、古い品種の中にも交雑種由来のモノがあるかも知れません。
これ、「ナポリ」です。正しくは"Lunga di Napoli"です。

「ナポリの長カボチャ」みたいな感じですね。
長いだけじゃなくて、とても巨大です。
海外の情報では30kgくらいまでなるそうです。
この去年ウチで穫れたヤツで12、3kgでした。

収穫直前の画像です。↑
遅く結実したので、完熟していません。
こんな風に濃い緑色でしたので、そのまま後熟させればタネが採れるんじゃないかと思って、ハウスの中の日の当たる所に置いときました。
「バターナッツ」や「鶴首カボチャ」だと未熟果でもしばらく置いておくと緑色から褐色に変わります。
が、コイツはいつまで経っても緑色のままでした。幾らか褪せて来ましたけどね。
未熟果でしたけど、大きさ的には十分に育っていました。
皮が緑色していると言う事は、ず~っと生きていて光合成を行っていると言う事ですから、そのまま後熟すれば果実は内部の水分を使いながら光合成を行って生産した養分をタネに蓄積し、上手く行けば発芽力のあるタネが採れるんじゃないかと・・・・
植物ってタネを残す事が最優先事項ですからね。
3月に入ったのでそろそろヤバいかなと見てみたら、傷んでいる所がありました。

カボチャの実の崩れ方にも色々あって、こんな風に傷かなにか出来た所からカビの様なモノが入って腐って行く場合や、内部から壊死して凍みたみたいに半透明になって崩れて行く場合、水分を失うと供に柔らかくなってヘナヘナと腰が抜けて行く場合など様々です。
なんでもそうですが、カビが来るともうだいたいヤバいので、切ってタネを採る事にしました。

果肉も皮もカボチャとしては柔らかい方で、包丁で簡単に真っ二つに切れました。
中は「鶴首かぼちゃ」とも良く似た鮮やかなオレンジ色です。
空洞は下の方だけにあって、その点も「鶴首かぼちゃ」や「バターナッツ」と同じです。
空洞には結構しっかりしたタネがたくさん入っていました。

洗って見ると、さすがにあまり粒張りは良くなくてペチャンコですが、たくさんのタネが採れました。
中には発芽力のあるモノも含まれているかも知れません。
この「ナポリ」は形状から見てモスカータ種(ニホンカボチャ)の仲間なんだろうと思いますが、花の形状にちょっと疑問を感じました。
日本カボチャに良く見られる長く伸びた萼片がないんですよ。
ま、モスカータなら必ず萼片が長いって訳じゃないでしょうから、ソコだけじゃわかりませんけどね。
葉っぱの形なんか見ても、ちょっとトゲトゲした感じがあって、私の気のせいかもしれませんが、どことなくペポの雰囲気があります。
タネの形もちょっとペポ臭くて、「ジャック・オー・ランタン」などの大型のペポ種と似ています。
ちょっとクサイな、と思っています。日本カボチャにしては巨大過ぎますしね。
もう一つ、コイツの「謎」は、味です。
海外のサイトでは「スイーティーでとても美味しい!!」とか、ヌケヌケと書いてあるんですけど、日本国内のレポートで「美味しい」と書いてあるモノは見た事がありません。
今回は完熟していないので味についてはわかりませんでしたけど、「バターナッツ」や「鶴首かぼちゃ」に近い品種なら、作り様では美味しくなるかも知れません。
採れたタネが発芽したら、今年も色々調べてみたいと思います。
