昨日とおんなじ事ですけど、まぁ、絵があった方が分かり易いのでもう一回説明しますね。
これはコンニャク芋を掘った時の画像です。

ココの土壌は、耕土が無いんです。
そりゃそうです。山を削って造成された土地ですから、心土がむき出しです。
ただ、造成されてから30~40年経ってますから、灌木などが生えて少しは地表に腐植土が溜まっています。
下の方はやや粘土がちな真砂土で、クワも立たないくらいカチカチです。
Twitterなんか見ていると、自然農法のツイートで、「耕してはいけない」とか「持ち込んではいけない」とか「土作り不要」とか、そう言うのがよく出ていますけど、アレは丸っきり金持ちのドラ息子が「働かんでもええんじゃ」と言っているのと同じです。
福岡正信氏もちょいちょい「何もせずに放っておけば自然に土地が肥える」みたいな事はおっしゃっていますが、それもそう言う環境であればと言う事です。
それは、つまり、「農地」だからです。「農地」はそうなる様に「作られた」土地なんです。
そうでなかったら、世界中の土地が皆んな放ったらかしで肥沃な土壌に変わるはずですが、特に熱帯地域などむしろドンドン土地が痩せて行き、酷い所では砂漠化が進んでいます。
何もせずにほっといたのでは、土地は肥沃にならないんです。
20年近く前に、私が土地の古老から聞いた話では、その人は当時すでに90歳くらいでしたから若い頃の話だとすると今から80年くらい前の事かもしれません。
多分、戦前から戦後スグくらいまでの話じゃないかと思います。
棚田を作る時には、石垣を組んで平にして、水が漏れないように赤土で突き固めて、山から「肥土(こえつち)」を集めて来て入れたそうです。
人ひとりが座れるくらいの面積を作るのに人足一日分の日当がかかったとおっしゃっていました。
この「肥土」がつまり「腐植土」なんですよ。山で落ち葉が堆積して分解して土になったものです。
農地はそう言う腐植質を大量に入れて作り、その後も毎年毎年落ち葉や刈敷きを入れて腐植質を増やして、水田は特に半年は水を溜めて水が運んでくる自然の養分や、水の中で生まれる多くの生き物が生産する有機物もズーッと蓄積してきた土地です。
そうやって作られた農地では、日当たりが悪いと作物の育ちがよくないので、周囲の樹木を伐採して少しでも強い日光が長時間当たる様に工夫します。
試してご覧になればスグに分かりますが、日当たり抜群の場所に肥料分と腐植質のたっぷり入った土を入れて、十分な水を与えれて放置すれば、物凄い勢いで様々な雑草が繁茂します。
その雑草や雑草の根圏微生物やそれらを餌とする小動物、昆虫などがドンドン増えれば、更に土壌は肥沃化します。(この状態が自然農法で土が自然に肥えて行くと言われる状態です。)
が、不適切に肥料吸収量の多い作物を栽培し、雑草等を抑え過ぎ、収穫物の持ち出し量が過剰となれば、当然土地は疲弊し痩せて行きます。
「土作り不要」と言っている人の畑は、たまたま物質生産量の割に収穫量が少ないか、過去の貯金が多くてなかなか底を尽かないかのどちらかです。
ドンドン収奪して行けばやはり痩せて枯渇し疲弊します。
栽培し過ぎて土地が荒れるとはこう言う状況の事です。
で、ウチみたいに最初から「貯金」が全くないガリガリに痩せた土地では、先ず「投資」が必要です。
落ち葉を集めて一年間寝かせた腐植土(自然堆肥)です。
コレを畝の上に5~10cmの厚さに敷きました。腐植土マルチです。
コレにより養分と腐植質を与え、土壌への直射日光を遮って微生物が増え易くし、乾燥を防ぎます。水分が無いと生き物は増えませんからね。
ココは土地が痩せ過ぎているので作物や雑草が繁茂し易い様に、腐植土を敷く前に20mx1.5mくらいの畝に鶏糞10~15kgくらい撒いています。
ココに「ライ麦」を播きました。ライ麦は小麦の倍くらいの高さに育つので、大量のワラが穫れます。
ソレを夏野菜の敷藁マルチにする為です。
ライ麦と言う植物=生物が作った有機物が圃場に残り、圃場環境を更に生き物の生育、増殖に適したものに変えて行きます。
一年間積み込んだ腐植土は、まだ完全に分解しているワケではありません。
落ち葉などはもう粉々になっていますが、まだ細かな形が残っていて、泥の様にはなっていませんから、これからは畑の中で分解が進みます。
普通の堆肥作りの様に、家畜糞尿や菜種油粕などの窒素源を与えて、何回か切り返し(混ぜることです)を行えば、好気性の微生物が急速に増殖して早く分解が進みますから、同じ一年でももっと細かく土っぽくなります。
コレはただ積み上げて放置していたダケのものです。
コレ↓は半年間寝かせたモノです。この段階ではまだ葉っぱや小枝が大きなままで残っています。
この段階では畳一枚くらいの面積にコレくらいのカブトムシの幼虫が居て、腐りかけた葉っぱを食べています。
幼虫のお腹の中で分解が進み、糞として排泄された腐植質はかなり目の細かいモノになっていきます。
去年の秋は、入院したので最適期の10月中旬にライ麦を播けませんでした。
播いたのはかなり遅れて12/1でした。
温度不足と雨が降らなくて水不足もあったためか、いつまで経っても発芽せず、年末になってから雪の下から発芽してきました。
こんなに遅くてはもうダメかとも思いましたが、以前、超極早生品種のライ麦で、3月に播いて結構よく育った事もありましたので、今年くらいの暖冬なら年明けから良く育つかも知れないと思い、こまめに条間の中耕を行いました。
コレは2/25の画像です。↓中耕したので雑草は抑えられています。

この調子で春まで順調に生育すればソコソコには出来そうです。
有機物を十分に与え、ちょいちょい表土をひっかき回せば、土壌の浅い部分での生物相が発達します。
いずれ、ソレがその下の痩せた土にも良い影響を与え始めます。
根量が多く、深く根をはる作物や緑肥を作付ければ、更に土壌環境は肥沃化し、土壌生物は増えて行きます。
浅く耕す事は、土壌生態系に刺激を与え、生き物たちの活動を活発にします。
その発達した土壌生態系の上で、作物の生育も促進される様に栽培を方向づけて行くのが自然農法のセオリーです。
「無農薬、無肥料、不耕起、無除草」などのスローガンに拘らず、先ずは圃場生態系の発達を第一に考えれて適切な手立てを行えば、作物=植物の良く育つ環境ができあがると思います。






