少し暖かくなって来ましたね。
そろそろ春の栽培の準備を始めなければなりませんが、私はこの時期の気温に関しては、なるべく数字を見る様にしています。
秋口の9月中旬に10℃切ったら、震えますよ。でも、2月に10℃超すと、動くと暑く感じます。
寒さから暖かさへ移る時は、感覚が狂います。
ましてや昨今の様に、毎年毎年異常気象で何が「例年」なのやら分からない様な気候だと、アタマの中の時系列と温度変化曲線がシンクロしなくなって来ます。
ブラウザで「雨温図 地名」で検索すると、その地域の雨温図が出てきます。
地名のトコに「東京」とか「大阪」とか入れてください。
気象庁の観測点のない地名だと近くの観測点の雨温図が見つかるかも知れません。
ソレを見ると例年の気温と雨量がわかります。
ソレに日々の温度変化を照らし合わせると、今年はどれくらい進んでいる遅れているがわかります。

今日は「極浅耕」のお話です。
文字通り「とっても浅く耕す」って事です。ま、そんなら「表面耕」って言った方が分かり易いですね。
単に慣習的に、「深耕」に対して「浅耕」って言う言い方をしますから、「浅耕」の極端な奴は「極浅耕」ってなる、ってだけの話なんですけどね。
ま、「表面耕」ですよ。
「表面耕」って言うと、良く行われているのは「中耕」です。
「中耕」は作物が植わっている条間や株間を「表面耕」するって意味です。
今時期だと「麦」なんか中耕してやるとイイですね。

大麦です、左側の色の濃いトコが中耕した部分です。
深さ5~10cm程度に三角グワで混ぜ返します。
中耕の目的は、先ず雑草防除です。
冬雑草は早くに発芽していても3月近くなるまであまり成長せず地表を這っています。
立ち上がると風当たりが酷くなって温度を奪われたり、雪や霜の害に合い易くなるから、地面に張り付いて日光が当たって風が当たらない状態で耐えるワケですね。
暖かくなってくると、ソレが突然、グングン伸びて来ます。んで、手に負えなくなって、麦刈りの時に邪魔になって往生するんですよ。

だから伸び始める前に条間にクワを入れると、雑草を抑えて作物の生育を促進する事に役立つワケです。

こうやって草を根からひっくり返しますから、乾けば枯れますし、枯れなくても生育は停止します。
同時にコレが作物の生育促進になります。
土をひっくり返して、空気を含ませたり、乾燥させたりすると、土壌中に居た微生物が死んで菌体に蓄えられた窒素分が出てきます。
或いは空気が交じる事で、好気性の細菌が急速に増えて、土壌中の有機物を分解するので、ソッチの窒素も出てくる様です。
この麦畑は、麦の葉色が異常に濃いのを見ていただいてもお分かりと思いますが、かなりの窒素過多になっています。
ココは麦の播種前に、雑草を刈り倒し夏場に厚く敷いた藁なんかもそのままに、その上から鶏糞をブチ撒いて、その上から落ち葉を一年間積み込んだ腐植土を10cmくらいに敷いています。
ソコに麦を播きました。だから肥料分は十分なんです。
なのに更に中耕すると、麦にはかなり肥料分が過剰になります。結果的に麦は過繁茂になるでしょう。

中耕したのは2/6頃です。下の画像は2/25です。
天気が良かったのでグングン成長しました。

この麦は先ず「麦わら」を得る為に栽培しています。麦粒は二の次です。
だから過繁茂してもウェルカムです。

ココは痩せ地なので、とにかく粗大有機物が欲しいワケです。
勿論今年も冬の間に軽トラ10杯分(目標は20杯)の落ち葉を集めて積み込んでいます。
加えて畑でもドンドン作物に有機物を生産して貰って土を肥やそうと思っています。
麦を作れば麦ワラだけじゃなく土壌中に張った麦の根っこも結構な量になるので、ソッチでも土壌有機物を増やしてくれます。

で、この時期の中耕(表面耕、極浅耕)は、雑草防除と麦の生育促進なんですが、同時に混ぜ返す事で未分解な有機物の分解促進をしています。コレは次の夏野菜の為です。
まるで焚き火に油かけて水かけてって交互にやってる様な感じですが、堆肥や鶏糞を入れては極浅耕で地表をかき回して分解促進する、その繰り返しです。

自然農法家の人達には、昔、福岡正信氏が「無農薬、無肥料、不耕起、無除草」と言ったのを自然農法の「原則(ルール)」の様に考えている人もいらっしゃるので、「耕す」事に否定的な考えの人もおられる様です。
「無農薬、無肥料、不耕起、無除草」はもともとは原則なんかじゃありません。福岡氏が自然農法を説明する時に「特徴」として示された程度のモノで、私なんか「副作用」と考えています。
何の副作用かと言うと、圃場生態系が発達した事の副作用です。
「主作用」は圃場生態系が発達する事です。
その結果、作物もよく育つ環境が出来、好循環が始まって行きます。
その好循環の続く環境に上手く作物の生育を乗せて、環境構築と栽培を一致させて行く栽培法を自然農法と呼びます。

浅く耕す事で、地表面近くの土壌環境が生き物の生育に好適なモノに変わります。
ただ耕すだけだと、有機物の分解が進むばかりなので消耗も進みます。
だからまた、有機物を追加します。そして浅く耕すと、また分解が進みます。
それを繰り返すと、その下の土壌に微生物や土壌小動物(ミミズや蜘蛛や小さな昆虫類)の生育し易い環境が発達します。
慣れればそんなに時間も労力もかかりませんから、適度な面積なら肉体的にもあまり苦にはなりません。
面積が広い場合は、小型の管理機やカルチベータを使うと良いと思います。
昨今出回っている安価で軽量の電動カルチベータなんかピッタリだと思います。
コードレスで2万円前後、100Vなら一万円ちょいであります。
非常に効果は高いので、不耕起栽培の信奉者の方も、是非お試しください。