カラスムギの枯れ後に、一応予定通り、ジャガイモが出てきました。

左の列が「出島」で右の列が「アンデスレッド」です。
去年の秋作がショボかったので、掘らずに「キャリーオーバー」させてたら、一昨年の秋からココで栽培して去年の初夏に穂が出た「カラスムギ(野生の燕麦)」のタネが落ちていたものが勝手に生えて、畑を占拠してしまいました。
一昨年から去年にかけて栽培した時にはチョロチョロだったのですが、この場所に慣れたのか、勝手に生えた「カラスムギ」は凄い勢いで畝を覆ってしまいました。
4/11の状態です。

たぶん、この頃にはカラスムギの間でジャガイモの芽が伸びてきていただろうと思うのですが、あまりのムギの勢いで抑え込まれていたようです。

6/3にカラスムギのタネが落ちた後の状態です。
穂は2m近く上がり、麦稈の中でジャガイモが伸びてきているハズなのですが、全く見えません。

今です。6月中旬に枯れた麦稈を刈り飛ばしたら、中からヒョロヒョロのジャガイモが出てきました。
普通に植えたジャガイモは、既に茎は倒れ、葉はテントウムシダマシに穴だらけにされて、もう終わろうかと言うくらいの時期です。
でも、ムギの間から遅れて出てきたジャガイモは、何事もなかったみたいにフツーに育って、いくらか茎も太くなり、窒素不足には違いありませんが、一応それらしくなってきました。

左が「出島」右が「アンデスレッド」です。
西日本で「自生状態」の放任栽培をするには、この2品種が最強ではないかと思います。
色が薄いので窒素が足りていない事がわかります。
畝全体で行けば、カラスムギの茎葉が刈り倒されてますから、その分の窒素はあるはずなのですが、スグには分解されませんから、ジャガイモには利用できません。
地中にムギの根もあり、それはスグに分解され始めるハズですが、その分の窒素は分解する時に増える微生物の菌体に使われてしまいます。
それで窒素量は有ってもジャガイモには届きません。
ですから、タイミングを考えるとカラスムギが出穂する前に刈り倒せばよかったんですよね。
そうすれば、刈られた茎葉は地表でマルチになり、徐々に分解され始めます。まだ柔らかい生葉は分解が早いでしょう。
地下の根っこも、葉が急になくなると必要な部分だけ残して枯れますから、分解され始めます。
枯れた根が分解されると根穴となり、更にミミズや土壌昆虫が増えて土の中は穴だらけのスポンジ状になって、気相率が上がります。
そのタイミングで刈り倒しておけば、万事上手く行ったのです。
でも、あんまり勢い良く大きな穂が上がって来たので、秋に緑肥用に播こうと思ってタネが採れるのを待っていたんですよ。
ココは痩せ地なので、あんなに急激に繁茂して腐植を増やしてくれる「雑草」はかなり貴重です。痩せ地では「雑草」さえも十分には育ってくれないんですよ。

と言うワケで、キャリーオーバーのジャガイモより、カラスムギのタネ採りを優先したらこんな事になりましたが、その遅く出たジャガイモがソコソコに育っているのは、今年が涼しいからです。
この辺りは高原的な気候なので、夜なんか肌寒いくらいです。
5月頃、一旦生育が衰えたネギ類が復活してきました。
これだったら、カラスムギを刈り倒してスグに鶏糞でもドサッと撒いとけばジャガイモもしっかり育ったかも知れませんね。

そんなジャガイモの中に毛色の違うヤツが混じっていました。

コンニャクです。
去年、この畝の端で2球ほど作ったので、小芋が落ちていたのでしょう。
コンニャクは一度作ると、その場所に野良生えが良く出ます。

コレは去年「赤城大玉」のハンドボール以上ある様な大玉を6つも7つも穫った場所です。

掘り上げる時は小芋も良く探したつもりなんですが、こんな風に沢山残っていて、出てきました。
この辺りは冬の最低温度はマイナス5℃以下にも下がったりするのですが、最低気温になる時間が短いんでしょうね、無事に冬越しします。
藁なんかでマルチしておけばもっと残るかも知れません。(東日本では難しいかも知れません。)
ソレこそ、カラスムギが生えていれば、コンニャク芋を低温から守る効果もあるかも知れませんね。

他にサトイモ類も良く野生化します。画像は「京芋」です。
よく「サトイモは連作ダメなんじゃないの?」とか聞かれますけど、ウチでは何時もほったらかしで適当に要るだけ穫って食べています。
連作すると収量は落ちるんでしょうけど、元々、障害が出るほど穫ってませんからね。
「連作障害」と言う場合には、営利栽培的にはチョットぉ・・・・と言う様なケースも含まれますから、必ずしも作物そのものが育たなくなる、と言う意味ではない場合もあります。
宿根植物ですから、当然、その場で何年も生き続けます。
数年に一度、端っこの方の小さいのを別の場所にも植えておいて、移動していけばOKです。

ソコの圃場の環境に適した品種を、あまり煽らずに、品種本来の生育速度、生育量で生やしておけば、上手く自生状態になってくれるモノも少なくありません。
何時もの話ですが、先ず、無農薬だ、無肥料だ言う前に、作物や品種の特性と環境のマッチングを考えるべきです。
自然農法とは、自然環境と農作物のぶつかり合いを起こさせず、ソコソコで落ち着かせて栽培にプラスが出るように向かわせる技術です。
「無農薬、無肥料、不耕起、無除草」は、その環境構築の「結果」か、「副作用」か、ソコへ向かう為の「手段の一つ」であって、目的ではありません。