国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)が連名で、新型コロナの影響で「世界的食料危機」の恐れがあると言う声明を出しました。コチラ↓
https://www.jiji.com/jc/article?k=20200403039911a&g=afp
食料そのものは、例えばジャガイモの様に栽培期間の短いものでも数ヶ月はかかりますから、短期的な増産も出来ない代わりに、短期で底をつく事もないだろうと思うんですけどね。
どうも、生産側じゃなくて流通や貿易の問題みたいです。
量的には当分は不足はしないだろうと思いますけど、世界中で感染拡大が進めば、生産が停滞して収量低下に繋がる可能性もなくはありませんね。
直近で最も食料が枯渇したのは、第二次大戦後の「食糧難」ですね。
もう、経験した人達は80代以上ですから、リアルに知っている人は少ないですね。
数値的に把握はしていませんが、原因は長期の戦争による生産力低下ですね、若い人の戦死による労働力の減少で、当時まだ機械化が進んでいなかった農業にはダメージが大きかったでしょうね。
それと大陸、台湾などの植民地が失われて、そっちからの食料供給が途絶えたって事ですね。
こんな事を言うと短絡的に「やっぱり食料自給率を高めておかないと危ない」とかいう人がいます。
私は逆だと思っています。
例えば極端なケースを想像してみましょう。
食料自給率が100%だったら・・・
実は自給率100%と言っても、その内容によって色々状況は違うんだろうと思います。
100%生産して、そのまま食べてる場合と、50%を輸出して50%他の食料を輸入している場合、どちらも自給率は100%になります。
米国なんかコメ輸出してる癖にタイから輸入もしてますからね。
ま、色んな形があるんだろうと思いますけど、ここで自給率100%の国で気候変動が起こって収量が平年の50%まで落ちたらどうでしょうか?
実際数年前にオーストラリアでそんな小麦の凶作が起こりました。
自給率100%を国内消費していたら、食べ物半分になって餓死者が出ます。
自給率100%の半分を輸出してて他の食料を買ってたら、売るもの無くなって買えなくなります。
いずれにしても自給率が高いと凶作の時のダメージは大きい訳です。
オーストラリアやカナダみたいに200%超えてれば作況指数50%まで落ちても、最低限国民が食べるものは100%自給できる筈ですけど、40や50%を80、90まで上げた所で焼け石に水じゃないか?って思いますね。
イャ、高くて悪いって事じゃありませんけどね、高さだけを頼りにしちゃダメなんじゃないの?って事です。
適度な輸出と輸入、食料以外の工業生産物やサービスの輸出での外貨獲得など、経済構造全体で何時でも何処からでも食料調達ができる国際連携体制、ってのが大切なんじゃないかと思います。
と言っておいて「多収米」です。
国や社会単位で行くと、上記のような食料調達システムがしっかりしてないとダメって話になるのですが、個人の単位になるとまたチョット話が違います。
今回も、ウチなんか自己隔離、家庭内隔離状態で感染阻止に努めていますが、やっぱり「圃場に行けば常に何か食べるものがある」と言う事は、「ここから下には絶対落ちない」と言う安心感を感じます。
自分の手で(勿論、ホントは自然の力で)食料を作れる知識と技術があれば、更に言えば自然農法や有機農法の手法を用いて、化学肥料や農薬、農業機械などの購入資材を用いずに作る事ができれば、何があっても最低ラインから下へは行かないんですね。
実は元々の我々の暮らしってそう言うものだったのかも知れません。
いつの間にやら、最低ライン(実はコレが安心ライン)より上の方ばかりが大きくなって、アタマデッカチになってしまって、膨らんだアタマがしぼむのを恐れて大変だ大変だって騒いでいるワケです。
ま、文化とか医療とか、「食える」だけじゃ済まない部分は大きい方が良いんですけどね。
種籾です。

チョット米粒が長細いでしょ。インディカ種なんですよ。
「タカナリ」と言う品種です。なんとか種籾を調達出来ました。
コレ、現在日本で栽培されるイネの中では最も収量の多いものの一つです。
800kg/10aイキます。平均500ソコソコですから、かなりの多収です。
上手くやれば1t穫りイケるんじゃないでしょうか?
数年前から、福岡正信氏の「自然農法稲作1t穫り」の謎解きをしていますので、「福岡糯3号」と比較してみたいと思って入手しました。
因みに「タカナリ」は韓国系のインディカ種2品種を交配し、後代から10世代以上選抜して固定された品種です。
よく、イチゴなどで「韓国が日本の品種を盗んだ」とか言ってる「物を知らない愚かな田舎者」がいますが、何処の国でもやっている事です。
既存の品種を育種の親に用いるのに制限は殆どありません。
特に韓国の様に日本での育成者権が期間満了で消滅した品種を用いるのは、全く問題のないやり方です。
ですから、この様に日本でも韓国や中国や台湾や東南アジアの品種も育種親に用いられています。
そもそも日本に自生する野菜なんて、フキとミツバくらいしかありませんしね、外国の品種を親にしないとトマトもナスもカボチャもジャガイモも日本にあるワケないんですよ。
「タカナリ」は1990年に「水稲農林300号」として登録された品種です。
もう30年も経ってますがイネなどは品種の寿命が長いですからそんなに古い感じもしません。
当然、権利期間はもう過ぎていますから誰でも自由に栽培出来ます。
減反政策下でも、多収品種の研究は続けられていたんですね。驚きです。
農水省の「超多収作物の開発と栽培技術の確立プロジェクト」で育成されたそうです。
ついでにF1ライスもその当時から研究してれば良かったんですけどね。
ま、日本は固定種好きの人が多いからコッチの方がイイか?
今は同一面積から江戸時代の倍以上のコメが穫れてるだろうと思います。
穫れ過ぎで価格は低迷しています。
その結果、米農家が減って耕作放棄地が増え、減収によってバランスを保っています(あんまり良くない感じですが・・・)。
それでも、やはり「多収」と言う特性は栽培植物では非常に重要だと思います。
やっぱりねぇ、作ってて穫れない奴は苦労するんですよ、何かと。
ゴッソリ穫れる品種は、ホントに楽で、あらゆる面で強いですね。
経済的には勿論、労働負荷も低減できるし、精神的にも安定します。
と言うワケで、福岡稲作解明の一助に「タカナリ」も作り比べてみようと思います。
因みに、コメはだいたい収量と食味が反比例します。
沢山穫れるコメって、残念ながらマズイです。(F1は別です、「ミツヒカリ」とか「ハイブリッドとうごう」とか、アレは美味かったよ)
「タカナリ」もかなりマズイ、みたいです。
お団子やせんべいなどの加工品ではイイみたいなんですけどね、何故か炊飯はマズイ様です。
福岡2号、3号もマズイそうなので、これからウチにはマズイ米が溢れそうです。
一つの希望は、去年の無肥料密植栽培試験で、「コシヒカリ」が反収換算463kg/10aと「福岡3号」の445kgを上回った事です。
やり様では、美味しい「コシヒカリ」を多収する事も出来るかも知れません。
とにかく、それには先ず、福岡正信氏の自然農法稲作の真意を解明しなければなりません。
今年は、「密植」だけではなく、「初期成長抑制」と言うもう一つの要素も加えて検証、謎解きして行きます。
お楽しみに!!(ッて稲作ファンはあんまり居ないか?)