新型コロナ感染拡大で大変な事になっていますので、書き込みもチョット控えているのですが、ツイッター等で「種苗法改正」についてアレコレ書かれているので、チョット一言。

 

ま、自家採種が禁止になる、ッて話ですけどね。

私は単に世界的な「育成者権保護」のレベルに合わせる、ってダケの話と受け止めています。

国によって違いますけど、先進国ではだいたい育成者に無断で増殖する事は禁止されています。

日本は育成者権保護の国際条約UPOV条約に加盟してますから、国内法と条約に不整合が出ると批准国としてヤバいワケでしょう?

普通は他人が育成した品種を勝手に増殖したりしちゃダメですからね。

それはジブリのアニメ動画をユーチューブにアップするのと同じ行為ですから、常識的に考えてアウトです。

 

改正に反対の方の主張には何点か疑問があります。

 

①まず自家採種している農家がどれ程あるか?

 

農家が自家採種するとなると純系品種(固定種)じゃないと意味ないワケですよね。

F1品種から採種すると形質がバラツキますからね。

でも、今営利農家が栽培しているのは、イネや豆類(ダイズ等)以外の殆どの野菜がF1品種ですよね。

んなら、自家採種してる農家はほとんど居ない、ッて事になりませんか?

 

②「固定種」や「育成者権が消滅した品種」は採種できる。

 

禁止の対象になるのは「育成者権」が設定されている品種ダケです。

「在来種」「権利消滅品種」はフリーです。

これは、「古事記」とか「南総里見八犬伝」みたいな古来の著作物には「著作権」が設定されないし、権利期間が過ぎたり、作者が「ご自由にお使いください」って権利を放棄した作品は自由に使えるのと同じです。

 

下の画像は「品種登録データ検索」で「農林水産植物の種類」に「トマト種」とダケ指定して検索した時の先頭ページです。

「品種登録データ検索」はコチラ↓

http://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM110.aspx?MOSS=1

右端を御覧ください。

「育成者権の消滅日」と言う欄があります。

上から下まで全部日付が入っています。つまり、このページに出てる品種は全部フリーになっている。と言う事です。

ご自由にご採種ください。です。

このページの品種はみんな登録日が1980年代のチョット古い品種なので、満期になってフリーになったのでしょう。

(データ検索では登録日の古い順に出ているようです。ページを繰って行くと新しいフリーになってない品種がでます)

他にも権利者が「権利の更新」をせずにフリーになっているものも沢山あります。

けっこう更新料が高いので、売上によっては権利を放棄する場合もあるでしょうし、種苗会社では新たにより優良な品種を開発すれば、そっちを登録して古い品種は権利放棄するかも知れません。

以前は期限が20年でした、今は25年です。穀物や野菜は育成にかなり長い年数がかかりますので、品種の移り変わりはゆっくりです。

イネなんか今だに「コシヒカリ」が人気、栽培面積共にダントツのトップですが、1956年に発表された品種ですよ。64年前です。

在来種なら「聖護院大根」や「丹波黒大豆」なんかも今でもトップクラスの優良品種です。

全てではありませんが、こう言う長寿品種や在来種の息の長さから見ると、育成者権の権利期間25年と言うのは、まあ、妥当と言うか、逆に育成した人から見ればもっと伸ばして欲しいくらいでしょう。

IT業界なんかと違って時間の流れ方がゆっくりですから、品種の変遷もゆっくりです。

フリーになった品種にも優良なモノや魅力的なモノも沢山あると思います。

 

と、言うワケで、引き続き「自家採種」を楽しみたい皆さんは、「在来種」「フリー品種」をご利用ください、となります。

ついでに言えば、どうしても最新の最先端の新品種を栽培したい、という場合は、ちゃんとお金を払ってタネを買えば良いだけです。

最新の映画を真っ先に見る時は映画館でお金を払って見ますよね。

しばらくするとテレビ等で放映されてタダで見れます。アレはスポンサーが著作権料を払ってますからね。

ずーっと古くなって期限が切れたら、誰でも自由に利用できる様になります。

それと同じです。