コレね2019年1月8日フェイスブックページに書いた記事です。
ヤフーブログから引っ越してきて、ヤフーの方に書いてた記事は全部こっちに来てるんだけど、1年くらいFBの方にしか書いてなかった記事もあるので、ソレをチョイチョイこっちに追加しています。

 

グズグズしてたんで年明けてしまいましたけどね、去年のF1米の栽培結果です。
ハイブリッド・ライスね。
これはトヨタ系の「水稲生産技術研究所」の「ハイブリッドとうごう3号」です。
このネーミングはもうチョットどうにかならないか?って感じですけどね。
 

結果から申し上げますと、反収は250kg弱、ははは、800kg穫れようかって品種で250kg。
原因は苗立ち率が60%くらいしか行かなかった事と、痩せ地での無肥料栽培。
ま、土地が痩せてるのは仕方ないですけど、苗立ち率の方はガックリです。
尺角の疎植なので苗立ち率がチョット下がるだけでも収量に響きます。
目標は98%くらいなので、まあ、話にならないレベル、ッて事です。
原因は虫害らしく、いつの間にやら播いた種籾が無くなってました。
発芽してから地際を齧られたのもありました。
オケラが疑わしいですね。

でも、この試験田はマシな方で、何時も野菜作ってる圃場の方では、より土地も肥えていて生き物も多く、当然、オケラも沢山居るので、最低の場所では苗立ち率2%くらいでした。ま、ほぼ全滅。
と言う事で、品種の特性以前に栽培方法、播種方法に問題がある、という結果となりました。
 

自然農法の不耕起直播で種籾が食害に遭うのは、福岡正信氏もかなりご苦労なさった様で「粘土団子」はその解決策の一つとして考案されたのだろうと思います。
確かにビー玉くらいの粘土団子にすると食害は減るんですけど、それを作る手間と材料の粘土が大量に必要って事で、何とかより少ない粘土でより少ない手間で播種する方法は無いものか?と悪戦苦闘しています。

今回は良い結果が出ませんでした。
 

で、味の方ですが、土の肥えてる部分に生えた株はとてもゴツくなり、穂もコシヒカリの倍くらいのデッカイのがでるので、こりゃマズイだろうな(昔から日本の水稲はゴツくて多収のモノはマズイんです)と思っていたのですが、ナンと、かなり美味しいです。

 

インディカ譲りのデッカイ穂が出ました。茎もゴツく倒伏にも強そうです。

こうやって見ると、結構できてるように見えますが、反対側は生えてなくて圃場の2/3しか埋まりませんでした。

 

疎植なのでもう少し茎数が欲しかったですね。
ま、分げつが少なければ植栽密度を上げれば良いですけどね。

 

 

真ん中あたりが極端に肥えてて、両端は極端に土が痩せています。

フツーの水田でフツーに田植え栽培すれば、600kg/10aはカタイと思います。

口当たりはチョット重いかな?って感じですが、噛んでいると甘みが広がって来て、後口の甘さは「旭」などより上じゃないかと思います。
コシヒカリの切れの良い甘みとツブツブ感とモチモチ感の絶妙にバランスした口当たりとは異質なものですが、常日頃食べる主食としては相当高いレベルの良食味と言って良いと思います。

やはり今後のイネ品種の方向性として、美味しいハイブリッド品種ってのは欠かせないと思います。


中国でも「コシヒカリレベル」のハイブリッド・ライスが複数開発されているそうです。

日本では「種子法廃止反対、F1なんかとんでもない、外資に支配される」など視野の狭い島国議論に明け暮れてる「フシアナ」が多い様ですが、主食が自給できなかった中国がそろそろ生産過剰に転じそうです。
多収性が至上命題だったコメ育種が「品質重視」へとシフトしているのがその証拠です。
砂漠の緑化技術も進んでいます。
早晩、コメは余る様になるでしょう。


さて、今、日本の貿易取引額最大の国はどこでしょうか?
いずれ、余ったものは買ってくれ、って言い始めるでしょう。
モンサントに支配されるか〇〇公司に支配されるか・・・
つまりは日本の品種と稲作が実力的に強くならなければ行き着く先は同じトコって話です。

 

美味しくて、病虫害に強く無農薬栽培が容易で、直播適性が高く(苗立ち率良好)、少肥性の高い品種、なおかつ幾分脱粒性で小型の機械で脱穀できる、そう言うのがアレばなぁ、ッて思います。
難しそうですけど、「美味しくて少肥性」は「コシヒカリ」の特徴(普通の田なら無肥料で400kg/10a可能)ですし、「美味しくて脱粒性」は「旭」です。
日本の品種は直播特性は低い(根が籾を浮き上がらせる性質がある)けど、インディカは直播が容易ですからF1ならイケるかも、インディカ種には脱粒性の品種も多いですしね。

勿論、F1化だけが解決策ではありません。
「タカナリ」の様に純系品種でも800kg超える多収品種もあります。

しかし、雑種強勢利用は品種改良の王道です。
今までの様に稲作国でありながらF1品種が一つもない、と言う状況は異常です。
官でも民でも良いから、優良なF1品種をドンドン開発してもらいたいものです。
その為に民間参入促進で種子法廃止ってのなら、正解だと思います。


ちなみにこの「ハイブリッドとうごう3号」ですが、米粒は普通のジャポニカ米みたいな短い形なんですけど、炊くと日本米の倍くらいの長さになりました。

 

上が炊いたモノ、下が炊く前の米粒です。
どうして米粒で短いものが炊くと長くなるのか?ちょっと不思議ですね。
見慣れれば大丈夫たろうと思いますけど・・・
やっぱりインディカのDNAが入ってるんだ、と実感しました。
見慣れないとチョット気味悪いかも知れませんけど、ま、慣れの問題でしょう。
米粒で、ハ ハ ハ とか書いたの初めてですよ。