コレね2018年10月1日 、にフェイスブックページに書いた記事です。
ヤフーブログから引っ越してきて、ヤフーの方に書いてた記事は全部こっちに来てるんだけど、1年くらいヤフーに書いてなかったのでその間の記事をチョイチョイこっちに追加します。
日に1件アップしてたのですが、間に合わないので2、3件ずつアップします。
イネの遅播き限界はいつ頃か?
そりゃ地方によって違いますよね。
北の方だと5月以降は厳しいでしょうね。
沖縄なら8月でもイケるかな?
品種にもよりますけどね。
で、コチラの限界時期を調べようと思って、7月10日頃に10品種くらい播いたんですよ、直播きで。
そしたら、遅く育つから当然どの品種も出穂は遅くなるんですけど、遅くなる程、品種間の差は縮まるんですね。
皆んな9月20日頃にかたまって出ました。
そして今日、ウチで一番遅い「旭」の晩生選抜系統が出穂しました。
普通に6月初旬に播けば9月15日~20日に出穂する、普通の「旭」より10日くらい遅い系統です。
ところが、他のも遅く出てるから、まだ「コシヒカリ」なんかが開花してるんですよね。
普段なら一ヶ月くらい離れてますから、出会う可能性は全くないんですが、こんな無理やりな播き方すると有り得ない二人がバッタリ出会ったりするワケです。
そうなると、ねえ、せっかくだから、芽生えた「愛」を実らせてあげよう、ッて考えるのが人情ってもんでしょう?
(ホンマに「愛」が芽生えとるかどうかは知らんけどね)
急遽、交配作業です。

交配親には母木に「豊コシヒカリ」父木に「晩生旭」を用いました。
「コシヒカリ」味の晩生種が目標です。
ところがコレがクソ面倒臭いです。
「イネ」ですからね。自殖性で、しかも風媒花です。
固定種で自家採種する時には、これが一番簡単な種類です。
ほっとけば親の花粉が親のメシベに付いてタネできますから、他の品種と雑交せずに親と同じタネが採れます。
風媒だから風に乗って他の品種の花粉も飛んできます。だからトウモロコシみたいに雄花と雌花が離れてるヤツは気を付けないと雑交しますけど、イネなんかは花が開く前に蕾の中で自家受粉しますから、放任でも雑交率は数%程度だそうです。
(実際の感覚としてはもっともっと低いんじゃないかと思います。狭い範囲に色んな品種を植えてても、一度も交雑種なんかできたコトがありません)
自家受粉し易いって事は、逆に交配は面倒って事です。
ほっとくと自家受粉してしまうからね。
それで先ず、自家受粉を妨げなければなりません。
昔は、開花前にピンセットで一本一本雄しべを取り除いていたそうです。
それで「除雄」って言います。
イネみたいな小さな花でソレはメチャクチャ面倒臭いですね。
それで「温湯除雄」と言う方法が開発されました。
43℃のお湯に7分間、穂を漬けとくんですよ。ソレだけです。
この温度だと花粉は死滅するけどメシベは持ちこたえるんだそうです。(どんな生き物でもメスはしぶといからね)
だから「湯につけときゃイイだけじゃん」とか思ったんですけどね。
後が面倒臭いんですよ。
イネって一本の穂が一度に咲かないでしょ。
特にこんなに遅いと、一度に咲くのは一本の穂の中の数輪ダケです。
交配する花(籾)以外は全部取り除かなければなりません。
そうしないと交雑受粉した籾と自家受粉した籾が混じって、どれが交配種なのかわからなくなります。
これがメチャクチャ面倒臭い。やるんじゃなかった、と思いますヨ。
そうやってその日に開花する花だけ残して全部取り除きます。
風の当たらないハウスの中で午前10時頃、眺めていると見る見る籾殻が開いて、アホが上向いて口開けてるみたいな形に開花します。
ソコへお相手の雄しべがたくさん出た穂を持ってきて、花のソバでフリフリします。
花粉とは言っても粉が出てるとこなんか見えませんからね。(光の加減を工夫して、良く見ると見えます)
交配出来たやら出来ないやらさっぱり分かりません。
でも、私は「特殊能力」があるので、花粉が出てるかどうかはスグに分かります。
なにしろ「イネ科植物花粉症」ですからね。
花粉が出てたら鼻がムズムズするので、手に取るように分かるんです。
便利でしょ?羨ましくないですか?
でも、普段のカボチャやキュウリの交配みたいにメシベに花粉をビャーッって塗ったくったりするような手応えはありませんから、ちゃんと花粉付いてるのか分からなくて不安ですよ。
結果は出来た種籾を来年播いて、イネが大きくなって出穂する頃まで分かりませんね。
面倒臭いけど、イネの交配はそんなに難しい事ではありません。
まあ、イネは育種が進んでいますからね、現行の品種より優良な品種を作る事は容易ではないでしょうが、ちょっと変わった組み合わせをして、自家消費用のオリジナルな品種を楽しむ、くらいの事はさして難しい事ではありません。
「コシヒカリ」の味で、9月上旬に出穂する晩生品種があれば、ムギ後の遅播き栽培なんかには作り易くて良いような気がするんですけどね。
但し、この時期の出穂は開花と台風が重なると白穂になるので、危ない要素もあります。
まあ、面白半分ではありますが、片や「コシヒカリ」からの選抜種、もう一方は「旭」の変異株ですから、血統的にはサラブレッドですよ。