ひとつ前の記事で「常に十分な水がないと、生態系の基盤となる雑草も微生物も、藻類なんかも増えない」と言う事を書きました。
これはその実例の一つです。

ビオトープの一番下流側、排水口の傍に肥料桶を埋め込んであります。
この肥料桶は、フチの高さをビオトープの水位と合わせてあります。
ビオトープの水位が上がると2cmくらい水面下に沈みます。
ビオトープの水位が下がると2cmくらい水面上に出っ張ります。

これは先日下流域で採集してきた「マシジミ」がココの水で生育できるかテストしているものです。
貝の状態が良く分かるように、砂などは全く入れず、桶の底にマシジミを20個体くらい放り込んで放置していました。

ビオトープではおびただしい数のオタマジャクシが発生しているので、水位が肥料桶のフチを越えるとオタマが入って来ます。
他の場所より深いので居心地が良いのか、それとも泳ぎが下手なのでフチを越えて外に出れないのか、中のオタマは段々増えてきました。
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容器に入ったオタマは、壁や石に付いたコケみたいな藻類を食べている様です。
水そのものも緑がかっているので、藻類が増えているのでしょう。
最初は容器の底が見えていて、「マシジミ」が石コロみたいに転がっていたのですが、暖かくなり始めて、オタマなんかが増えてきたら、みるみる堆積物が増えて、マシジミは埋もれて全く見えなくなってしまいました。

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この堆積物は、とても軽いので、手を突っ込むとすぐに舞い上がって濁ってしまいます。


手で掬ってみるとかなりキメの細かいドロです。
ドロなんですが、汚い感じではありません。
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ヘンな臭いもありません。
マシジミは泥に埋もれても元気で育っています。
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少し大きくなったような気がします。
ビオトープに入れている水は、簡易水道の上水ですから、はじめから有機物が含まれている事はありません。

これは何でしょうか?

主成分は、藻類(植物プランクトン)の死骸ではないかと思います。
そして大量発生しているオタマの糞もかなりの比率で含まれているでしょう。
オタマは藻類や水中で分解された有機物を食べているので、まあ、同じようなものです。

溜った水に日光が当たると藻類が増えて行きます。
落ち葉や去年のイネの刈り株などの有機物は納豆菌などのエサになり分解され、菌が増殖します。
藻類も分解菌も他の菌や微細な生き物のエサになります。

微生物、プランクトンからオタマジャクシくらいまでの小さな生き物達がたくさん活動すると、ジャリジャリで味も素っ気もなかった真砂土の表面に、こんなものが溜まって行きます。
これから暑くなってくると、ヤゴやゲンゴロウやアカムシ(ユスリカ)などもたくさん集まります。

そうして、生き物達の活動の結果、だんだんと環境が変遷して行きます。
どんな環境へと変わって行くかは、それぞれの圃場や地域によって異なるでしょうが、多くの場合は、生き物達は、更に、生き物達が生育、増殖し易い環境を作って行く様に思います。

その最初のきっかけが「水」と「日光」です。
その次が様々な有機物や腐植です。
その次がそれらの上に芽を出して伸びる水生、陸生の雑草達とそれを食べる昆虫達です。
それらの全ての生き物達が、死んで地表や水底で次のサイクルに受け継がれます。

そのサイクルのどこかに野菜や穀物を組み入れる事ができれば、受け渡されたモノで育つ仕組みが成り立つんじゃないかと思います。
勿論、作物の残渣(収穫部位以外の茎葉根など)も次の生き物達に受け継がれ、サイクルを回す原動力になります。


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