今日も圃場にかかるエネルギーをどう活かすかと言う話です。
大きな2大エネルギーは「陽光」と「水」です。
「陽光」の方は植物は元々光合成の原動力として利用しているし、あとは熱ですから、ビニールハウスの温度が上がるとか、田んぼの水温が上がるとか、分かりやすいですよね。
「水」の方は、陰陽で言えば「陰」の方ですから、その働きも目に見えないものが多い様で分かりにくいですね。
特に我々は生まれた時から陸上に住んでますから、「水」より「空気」の方が大切なように思えてしまいます。
でも、植物は体の9割近く、動物でも7割くらいは「水」ですから、外にあるか中にあるかの違いくらいのもんです。
植物にとっては、我々の血液の様に物質を運ぶ事も「水」でやってるくらいですから、重要である事は言うまでもないのですが、水力発電みたいに直接「水」がエネルギーを供給しているワケじゃありません。

一方、圃場の土壌環境にとっては、「水」は支配的な要素であり、様々な物質を動かす物理的なエネルギーであると同時に、生命活動を支える生物的な力の中心でもあります。

去年、緩斜面のままではイネは難しいので、陸稲の「ユメノハタモチ」を播くためにミニ棚田を作りました。
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5月の末に作ったミニ棚田です。
水はやってもやってもすぐに抜けて行きますが、乾燥に強い「ユメノハタモチ」はなんとか育ちました。

夏中、晴れた日にはスプリンクラーを回して、縄文時代の焼き畑の稲作を想像しながら作ってみました。
水みちがあるのか真ん中あたりは上手く育ちませんでしたが、一番上の段と一番下の段はソコソコ穫れました。
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右手の山から落ちてくる落ち葉や枯れ枝の量も結構あります。
生えてくる雑草も時々刈り払うので土に戻ります。
その上、ジャブジャブ水をかけるので、目に見えないヤツラも増えて、ソイツらを食べるヤツラも増えて・・・


今度は3段を2段にするくらいの感じで、ミニ棚田から小棚田くらいに昇格しようと思います。
ちゃんとした造成工事をするとお金がかかるので、「ヤマイモ堀り方式」です。
山で「自然薯」を掘った経験をお持ちの方はご存知の事と思いますが、「ヤマイモ掘り」はけして掘るワケじゃありません。
斜面に生えたヤマイモのツルの下側の斜面を谷側に崩して行くんです。
谷の方へ土を落として行くだけなので、案外楽です。
まず、山側に溝を掘って水を溜め、水平を見ながら、ミニ棚田を崩して谷側に土を下ろして行きました。

イネを刈ったあとです。
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草も結構生えていました。切り倒した灌木の根株から生えてきたヒコバエもありました。
まず、一番上(右手)に溝を掘り、水を溜めます。

夏中水をかけ続けた真砂土は、山側から入ってくる落ち葉などが堆積した腐植質や、その場で土壌中に増えて行く藻類などや、条間の草を刈り飛ばした残渣や、色々混じって、黒くなっています。
ザラザラした白い真砂土が、幾分粘りを持った黒い畑土モドキになりかけています。

溝を掘った時に出た土を谷側に落とします。
そして更に溝を掘ります。
水面に合わせて谷側の土を削り、下に下ろしては、また水路を掘り下げます。
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それを繰り返すと水平な段々畑ができます。
いくらか土気が出てきたとは言え、まだ保水力は十分ではないので、山側に水路を残して掛け流しにします。
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溝の水位に合わせて水平に土を削り、谷側に落とし、1mくらいの平地ができたら、谷側にもう一段下の溝を掘ります。
幅1mづつ、段差20~30cmの小棚田にします。

これを繰り返して、4段の棚田が出来そうです。
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棚田と言っても水を溜めれる程の保水力はないので、山側の水路で水分を供給出来るようにして、来年も陸稲を作ります。
冬の間はアブラナ科野菜やネギやホウレンソウやエンドウや麦を試してみます。
なんでも良いんですけど、とにかく、タネを播いて植物を育てている事が大切です。


夏の間に出来てきた有機質を含んだ黒い土は谷側に、斜面を水平に盛り上げた形に残ります。
谷側の土が肥えている形になりますが、水路が山側にあるので今度は水路に近い側から肥えてきます。
もう少し時期が遅いのですが、水平になった所から順に冬野菜や麦のタネを播きます。
クローバーやレンゲも播きます。

山から腐葉土を集めて来たり、落ち葉やワラなどを積んで米ぬかを混ぜて堆肥にしたりもするのですが、こんなガラガラの痩せ地には、先ず、「水」です。
常に「水」が行き渡る様にして、動植物が定着する環境に向けての遷移を後押しします。

左が山側です。
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谷側の土が夏中水をかけてイネを育てた土を寄せたものです。
山側は心土の真砂土と言うか花崗岩が風化した柔らかい石みたいのが剥きだしで、鍬は立たないのでツルハシで耕し、鶏糞や米ぬかを撒きます。
無肥料なんか言ってたらこんな土地はいつまで経ってもラチが空きません。
肥料分や有機質は作物にやるばかりではなく、そこに住む生物全体に供給し、更に豊かな環境作りが始まる原動力とします。

「水」は生き物を増やしながら、様々な働きをします。
降雨や灌水は、土壌中に大気中の物質を引っ張り込みます。
乾燥すると土壌中から大気中に物質を引っ張り出します。
冬に土の中で凍結すると、固まった土を破砕します。
春先に強い降雨があると、表土を叩き固めます。
そうして動いた跡が、生き物の住処になります。

「水」の動きを大きくする事で、圃場の生物の働きも増幅する事が出来るのではないかと思っています。