5月28日に直播した新試験田の「コシヒカリ」です。

尺角(30cm四方)二粒播きで1040箇所に播き、欠株は162箇所でしたので、課題となっている「苗立ち率」は84.42%でした。
昨年は一粒播きだったので、より不利だったのですが、60%台だったと思います。
種子を冬の間に浸水処理して発芽しやすくしておいたのが効いたようです。
全体的な手応えとしては90%は行っていると感じていたのですが、カウントしてみたらそこまで行っていませんでした。
高く感じたのは、手前のよく目に付く部分に欠株が少なかったからだろうと思います。
また、北西隅の一角には3坪くらいほとんど生えていない場所があったので、それが苗立ち率を引き下げたのだと思います。
これは原因がよく分からないのですが、その部分は少し高くて水が行きにくいので、それと関係していると思います。
水不足で発芽しにくかったか、水が少ない場所で活動しやすい昆虫や動物に食害されたか、種子の発芽促進処理とはまた別の対策が必要だと思いました。 
忙しくて粘土団子の作り方を雑にやったのや、播種作業もバタバタと落ち着かずに行ったため、埋め込み深さにムラが多かったのかもしれません。
目標は98%以上と考えています。尺角播きで一反(千坪)の田んぼには一万株ですので、98%でも200株の欠株がある事となります、半数くらいを補植するとしても100株を手植えしなければならなくなります。
もう少し工夫が必要ですね。

これは6月24日の状態です。
発芽は完了し、そろそろ分げつも始まるかな?と言う段階です。
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敷きワラは一定の効果はあったようですが、手間の割には抑草出来ませんでした。
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福岡正信氏が指摘しておられる通り、このように揃えたワラを敷くと、何かでワラが動くと苗が倒れて良くありませんでした。
ワラが厚い部分では、分げつ抑制の心配もありそうです。
田の中を歩く時、このようにワラを踏んで横方向に動かしてしまうと、イネが挟まれて根元で折れて倒れてしまいます。
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やはり「ワラ振り」は秋の収穫時が良いのかもしれません。


痩せていると思っていた山の土は、気温の上昇と水分の多さからか、急速に地力が発現して、イネの葉色は見事に黒々と濃くなってきました。これでは肥料はやりたくてもやれません。窒素過多です。
井原豊氏の疎植栽培では初期は生育を抑制的に過ごさせ、中期に施肥して生育促進する、いわゆる「への字稲作」が行われます。
福岡正信氏も前半は生育抑制し、梅雨明けくらいまでは、あまり大きくしないほうが良い、と書いておられたように記憶しています。

水を溜めていないので、徒長する感じはありませんが、この色の濃さ=窒素成分の多さがどう影響してくるのかちょっと怖い感じです。
病虫害が増えるのか、分げつが増えるのか、軟弱となって穂が出てから倒伏するのか?・・・・不気味です。

水を溜めていないので、草はすべて陸雑草です。水を溜めても作ったばかりの田んぼなので、未だ、水田雑草は生えません。
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田面が綺麗に均平になっておらず、真ん中辺りが2cmくらい凹んでいるので、その辺はあまり草が生えず、東端の少し高い辺りにはたくさん生えています。
20mで2cmですから、これ以上は無理ですね。
もっと水が溜まっている時間を長くすれば、陸雑草は生えにくくなると思います。

この時期、ツィッターでもFBでも、ブログでも、水田除草の書き込みが多くなっています。
皆さん、様々な方法で御苦労なさっているようです。
米ヌカやクズ大豆散布による有機酸除草、アイガモやコイなどの生物利用、マクリ押しやチェーン、竹箒、デッキブラシなどによる物理的除草などなど、様々な方法が試みられていますが、なかなか決定打はないようです。

私は逆ギレして「こんな事やってられるかィ!!」となって「除草」はやめてしまいました。
「草刈り機で刈り込んで「抑草」すればいいじゃん!!」と不耕起田の中で刈払い機を振り回していました。
不耕起田は土が固く、運動靴で走っても埋まらないくらいなので、草刈りは可能でした。しかし、それも大きな面積では大変です。

直播田で草の伸び方を良く見ていると、直播から一ヶ月経ったこの時期になっても、イネより大きい草は一本もありませんでした。
田んぼの中ではイネが一番大きな植物で、未だライバルはいないのです。
これなら、雑草の生育をコントロールする発想で工夫すれば、田んぼをイネ単独の純粋植生にしなくても、様々な植物が混生する自然な植生(生態系)のまま稲作ができるのではないか?と「草生栽培」→「調草(Weeds Control)栽培」の可能性を感じました。
それぞれの作物や個々の圃場の状況により、一概には言えませんが、一般論として一定のエリア内に多種多様な動物、植物、微生物が存在するほど、そのエリアのトータルの生産力は高くなると考えられるのではないかと思います。
もしそうなら、いろんな植物を生やして、いろんな昆虫や小動物、土壌生物、場合によっては鳥や獣なども生息してる方が作物にも良いのではないか?
そんな事を考えたのですが、良く考えてみたら、それは既に福岡正信氏が提唱された自然農法の在り方そのものでした。

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しかし、福岡自然農法は曲解され、「肥料をやってはイケないのだ」とか「人間は手を出してはイケない」とか禁止命令の羅列となってしまい、「なんだか自然農法って窮屈だなぁ」と感じる様になってしまいました。
自然農法と言うからには、もっと、ナチュラルでおおらかなものなんじゃない?と常々思っていました。
人為を廃すると言う事より、人の活動も自然の一要素として考えれば、全体の在り方に対してどうアプローチすれば良いのかと言う発想も生まれるのではないでしょうか?

難しい事をやろうとすると、楽しくなくなってくるし、面倒くさい事アレルギーで雑な仕事しか出来ないので、細かいコトはほっといて、なるべく仕事せずに、しかも、生き物が増え易くなるような栽培法をデザインすれば良いのではないかと考えています。

で、雑草の活動もギリギリまで邪魔しない様に気を付けて観察してみると、よーいドンでイネと草が同時に発芽を開始しても、一ヶ月以上はダントツでイネがリードしている事に気づきました。

イネは大きくて栄養価の高いタネ(お米)を作る事に高いコストをかける代わりに、翌春、芽生えた苗が他の草が追いつかない速度でイチ早く成長して、受光に有利な状況を作る戦略を採っているのだと思います。
他の草の上に葉を広げる事が出来れば、また、たくさんの光合成生産物をタネに貯めこむ事も可能となるわけです。


しかし、この辺りから他の草達も追い付いてきます。

これは「サヤヌカグサ」でしょうか?非常にイネに近い植物だそうですが、こちらは茎をツル状に長くする事で、後から伸びてきても他の植物の上に登って優位に立てる戦略を持っています。
「サヤヌカグサ」でGoogle画像検索してみてください。イネととても良く似た種子の画像が見られます。
「サヤヌカグサ」の戦略では、イチ早く草丈を伸ばす必要はないので、種子はイネの籾とそっくりですが、とても微細な粒です。
微細な粒なら大したコストをかけずに大量に生産できるので、「サヤヌカグサ」はイネなどに寄りかかりながらヒョロヒョロ伸びて先の方の葉っぱを上に出しさえすれば次世代の種子をしっかりと残す事が出来るのでしょう。
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これは「カヤツリグサ」です。元々イネほど大きくなる草ではありませんが、生育期間がイネより短いので、早く成熟して穂を出し始めます。
梅雨時期くらいからイネと同じくらいの高さになって穂を出し、これも微細な種子をたくさん撒き散らします。
陸雑草ですが湿地を好むので、不湛水田ではとても良く生えます。
こちらはスピードで勝つ戦略ですね。
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「タデ」と「ツユクサ」の生えたところは、地面が覆われて、そろそろイネが埋まりそうです。
これらの広葉雑草はたくさんの枝葉を分岐させ覆い尽くす戦略の様です。
イネは葉を上に出していても、肥料分を奪われて生育が停滞します。水田雑草の「コナギ」などもこんな感じです。
ジワジワと真綿で首を締めるような陰湿な戦略です。
葉が広く地面に光線が届かなくなるので、下の方から出てくるイネの分けつにはダメージが与えられそうです。
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この時期までイネはダントツでトップを突っ走っているのですが、イネとは違う様々な戦略を持った「刺客」たちが追撃してきています。
「除草」や「抑草」を行う栽培法は、この様な「刺客」のアタックを封じ込める事でイネをより良く育てようと言う考え方です。

イネとクサの間に対立軸を設定するとそうなります。それも正しい考え方の一つです。

個々の作物や雑草の動きは一先ず置いて、圃場全体の生物活性に目をやると、それぞれは熾烈な争いを繰り広げていたとしても、全体としては生産力が高まっているように思えます。
アジアモンスーン地帯の「原野」と、アメリカやオーストラリアの乾燥地の「原野(荒野?)」を想像してみてください。
草茫々の原野と、岩や赤土が露出し灌木くらいしか生えていない荒野とでは、どちらが生産力が高いかは考えるまでもないでしょう。


7月7日現在のイネの姿です。
茎数は6~10くらいです。
不湛水のせいか「コシヒカリ」でも低く詰まって育っています。
疎植なので扇型に開帳します。
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クサとイネがデッドヒートを繰り広げながら、全体では豊な生態系を構成しつつあります。
これから色んな生き物が増えてくると思います。
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アニメ「ドラゴンボール」で「孫悟空」が使う「元気玉」と言う技のように、多くの生き物達から少しずつエネルギーを分けてもらってイネの所に集約する事は出来ないでしょうか?
夢物語ですね。
実際にエネルギーがイネに集まると言う事はないでしょうが、多くの生き物が構築した生産力の高い環境がイネの生育も促進する事はあるかも知れません。


「刺客」に追い詰められつつあるイネが、どうすればやられずに優位を取り戻し、田んぼの王様として君臨し続ける事が出来るのか?

難しい課題ですね、色々工夫して手がかりを掴まなければいけませんね。

「除草」「抑草」に様々な方法が考案されているように、「調草(Weeds Control)」と言う新しい考え方にも、これから様々なメソッドが考案、開発出来るのではないかと期待し、私自身も色々工夫しています。

勿論、「調草(Weeds Control)」と言う考え方が本当に良い結果をもたらす事が出来るのか?ソッチの検証も数年かけてしっかりとやっていかなければならないのですが、取り敢えずは福岡正信氏の「米麦連続不耕起直播栽培」と言う前例がある事を拠り所に、近年の自然農法への関心の盛り上がりもあり、トライする人々も増えているようですので、「なんとかなるんじャない?」と楽観しています。