この記事は前回、「エドヒガン」の自生地に到達したところで終了する予定でした。


ところが、事態は意外な方向へ進展し、この第三回へと続いてしまいました。
第一回の「幻のヤマザクラ変異株の探索」では、30年くらい前に一度だけ出会った「初恋の人のようなヤマザクラ」を探しに広島市西部の「鈴ケ峰」に登ってみましたが、半八重、大輪の美しいそのサクラに再開する事は叶いませんでした。
記事はこちら

第二回の「エドヒガンの自生地探索」では、タネから育てられるサクラを探そうと、「ソメイヨシノ」の母樹であるとも言われる野生種「エドヒガン」を探しに行きました。
時期が良かった事が幸いして、こちらは大成功!!夏にはタネを拾いに行けそうです。
記事はこちら

ここまでで完結の予定だったのですが、にわかに湧き上がった「サクラ」への関心に押されて、現在移転作業中の廿日市市の住居兼栽培圃場の周辺の「サクラ」もチェックして回りました。
すると、意外な事実が判明したのです。

先ずは、敷地の周囲に植栽または自生(野良生え)しているサクラを見て回りました。

これは高さ2mくらいの小さなサクラです。
周囲の高木の影になって、チョット元気がありません。
エドヒガン系の「コヒガン」と呼ばれる品種ではないかと思います。
イメージ 1





こちらは敷地に接した山の斜面に生えている「ヤマザクラ」です。
この木は、新芽が綺麗な緑色で、花は一重の純白大輪です。

イメージ 2


他にも数株の「ヤマザクラ」が生えています。
「ヤマザクラ」は個性豊かで、それぞれ花の大きさや数、新芽の色、枝ぶり、樹形など、様々な特徴を持っていて、一本一本見て歩くと大変興味深い植物です。
この辺りの「ヤマザクラ」は、新芽が緑色から薄い褐色がかるもので白花大輪のタイプと、新芽が褐色から濃い赤褐色で小輪薄ピンク花のタイプに大別できそうです。


白花大輪のタイプは、豪華な感じですが、やはりサクラとしては真っ白い花はチョット物足りなくナシの花のように見えてしまいます。
うっすらとでもピンクがかって欲しいと感じます。

イメージ 3



こちらはそれとは対照的な、濃いピンクで大輪のサクラです。二株が庭に植栽されていました。
おそらく「河津桜」ではないかと思います。

イメージ 4


「河津桜」はオオシマザクラとカンヒザクラの自然交雑種と言われており、とても華やかで美しい早咲きのサクラです。
静岡県賀茂郡河津町で1955年に発見され、原木の樹齢が未だ50~60年だそうですから、かなり新しい品種です。
2月下旬から3月上旬にかけて、河津川沿いに約3kmの桜並木が開花するそうで、ソメイヨシノより早く咲き花期も長いので人気があります。
他の桜に先駆けて、春一番に咲き始めるので、毎年必ずテレビのニュースで取り上げられ、とても有名になりました。
普通の「さくら」のイメージとは少し離れる感もありますが、とても華やかで明るい花ですので、庭に一本あると春の雰囲気が盛り上がります。早咲きなのも良いですね。


そうしてこれが「問題のサクラ」です。
丁度、試験田を造成している所の中ほどの道路側の法面の境目に生えています。
木の感じからして「ヤマザクラ」です。
枝が細かくか細い感じでしたので、自然に生えた赤芽の小輪の「ヤマザクラ」だと思っていました。

イメージ 5



3、4日続いた雨のため移転地の方へは行っていませんでした。その間に開花し始めたようです。
この土地の購入が決まったのは去年の暮れでしたので、このサクラについては花はおろか葉のある姿も記憶にありません。
先日、鈴が峰に30年前に見つけた半八重の変異株ヤマザクラを探しに登ったのは4月の1日でした。
その時は、まだ、このサクラは咲いていませんでした。

この画像は4月の7日です。
そろそろ満開です。
イメージ 6




遠目に見ると、チョット賑やかに咲いた小輪の「ヤマザクラ」と見えました。
しかし、近づいて行って唖然としました。


木の真下から上を見上げると、牡丹雪が降り注いでいるようです。
イメージ 7


なんと、一年半あまりの紆余曲折を経て、やっと移転地に決まったその土地に、あの30年前に出会ったサクラと良く似た半八重の「ヤマザクラ」が生えていたのです。



イメージ 8



一般にはこの様な花も「八重桜」と呼んでいます。
花びらは普通のサクラの4、5倍に増加し、折り重なっていますが、雄しべは正常に残っているようです。
植物の種類によっては雄しべまで全て花弁化したものを八重咲きと呼ぶ場合もありますし、千重咲きと言う場合もあります。
昔、鈴が峰で見つけた花は、もっと大輪で花びらの数はここまで多くなく、7、8枚、多くても10枚くらいまででした。
花びらがあまり多くなく、雄しべも普通でしたので、半八重と表現していました。


イメージ 9


この花は花びらがより多いので、八重咲きと呼んでいいのだろうと思います。
昔見つけた花はもっと花首が長く、大きな花が2花づつぶら下がるように咲いていました。
この花は、花首は短めで、3、4輪が集まるように咲いています。

つい数日前に30年ぶりに探しに行って見つけそこねた花に良く似た花が、自分がこれから住む土地に生えていたので、本当に驚きました。
かつて若き日に出会った初恋の人のような「幻のサクラ」は、凛としたお姉さんタイプで、大人びた美しさでしたが、今度出会ったこの花は、コロコロと可愛らしい妹タイプです。

化粧咲きと言うのか、数日経つと中心部が赤味を帯びて来て綺麗です。
イメージ 10



見つけ損ねた直後に現れたので、何かトクベツな縁でもあるかのように、不思議な出来事と感じたのですが、これはもしかしたら先住者が苗を買ってきて植えたものなのかもしれません。
まさか自分の買った土地に、滅多に出会えない変異個体が生えているなんて、可能性的にあまり考えられません。
しかも、探していた直後では、話が出来過ぎです。

ネットで販売されているサクラの苗を検索してみると、何種類かよく似たものがありましたが、ヤマザクラ系で白~薄ピンクの小輪の八重はあまり見当たらず、品種の特定は出来ませんでした。



先日は、変異株に再会できずがっかりだったのですが、思わぬ所で思わぬ花に出会えたので、まるでサクラが転居を祝いに来てくれたような気がして、これは幸先の良いスタートだと、すっかり気分を良くしてしまいました。

ところが、この話にはまだまだ続きがあるのです。
だんだんとミステリーじみてきますが、数日後に更に不思議な事が次々と起こって、私はまるで鈴が峰から30年前のヤマザクラの精がついてきたのではないかと思え、今年は例年に無いミステリアスな春、ミステリアスなサクラへと展開して行くのです。

続きは後日・・・・・・