先日は「レモンエゴマ」で人為的に「野良生え」を起こさせて雑草と一緒に生育させながら、徐々に雑草を抑制して、最後は作物に優占させる栽培例をご紹介しました。記事はこちらです。

チョット順序が逆でしたね。
まず、本物の「野良生え」をご覧いただいた方が分かりやすかったと思います。

少しケースは違いますが、「自然農法」の解説なども、書籍等で読むと逆コースではないかと思う事が度々あります。
慣行栽培を行っていた畑や田んぼを「自然農法」に変えようとすると、「人工環境」→「自然環境」と言うコースになるので、なかなか上手く行かず、何年も苦労したなどと言う話をよく耳にします。

このコースをたどると、人口のプールに魚を放して、同時にプランクトンや水草や水生昆虫を増やそうとしているのと同じ状況になってしまいます。
これでは最初から大きなハンデを負っているようなもので、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる感じです。

わざわざ不自然な環境で栽培や飼育を初めてしまうと、「環境に自然を取り戻させる事」「作物を自然の中に根付かせる事」を同時に行う事となり、片手で皿や茶碗などの食器を作ろうと粘土を捏ねながら、もう一方の手でその食器に盛り付ける料理を作っているようなもので、栽培はとても難しく複雑になってしまいます。

色んな問題がゴッチャ混ぜになって、何が問題なのか分からなくなってしまいます。
問題がわからなくなるので、どうすれば上手く行くかは分かるワケがありません。
それで、何年も右往左往して、更にワケが分からなくなり、放って置けば良い事にまで、ああでもないこうでもないと様々な手を尽くして、手垢だらけにして、余計な事の上塗りをしてしまうので、更に自然から遠ざかってしまいます。

最初から自然の山や原野や湿原に作物を生やすようにすれば、「自然環境作り?」(この表現自体が大きな矛盾です)をする必要がないし、環境の方が一定の姿を保っているので、そちらの心配はあまりせずに、「作物の定着」に注意を集中する事ができます。

考えて見れば、アタリマエの事なのですが、「自然農法」は「自然」の中でやるのが近道だと思います。

戦後、農薬と化学肥料と農業機械が一般化したので、普通の田や畑は自然環境とはかなり隔たったものになっていると思います。
「自然でない環境」なので、自然農法をやり易い環境ではなくなっている場合が多いのではないかと思います。

今は耕作放棄地が増えてしまったので、却って「自然な環境」に戻った田畑を見つけやすくなりました。

ここも何年も耕作放棄されイノシシとタヌキの遊び場になり、キジが巣を作って卵を産んだりしていました。
去年、草を踏み倒して「サパァジィド南瓜」を播きました。
「カボチャ」と言っても種類としてはズッキーニです。実の形がカボチャの様な丸ズッキーニです。
勿論、いつもの通り、土を耕さず、雑草と作物を同時に生育させる「不耕起直播草生栽培」です。
「サパァジィド南瓜」は丈夫なので、雑草が伸びすぎた時に適当に刈り込んで抑草するだけで、割りと容易に栽培出来ました。
採種用の実を数個収穫して、あとは穫らずに放置しました。たぶん4個か5個の実は、そのまま土に帰っただろうと思います。
比較的種子の多い作物なので、かなりの量の種子が土に残っただろうと思うのですが、この春生えてきたのはたったの一株だけでした。
おそらく野ネズミや土壌昆虫にタネが食べられてしまったのだろうと思います。

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6月19日です。なんとか生えて来た苗も草に埋もれて、良く良く見なければどこに居るのかわからない状態でした。
幸いカボチャの類は葉が大きいので、株元の雑草は日光を遮られておとなしくなります。
ツルの伸びて行く先の雑草が勢いづかないよう、時々刈り込んで抑制しました。


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7月5日には、雄花が咲き始めました。
今年は雨が多かったので、日照が弱くて水が多い状態となり、作物も雑草もヒョロ伸びして、地表近くが密生状態になって風通しも光線の透過も悪くなり、根際にカビや腐敗が出やすくなります。
時々、株元の草を強く刈り込んだり、抜いたりしました。


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8月25日です。
連日の雨にも負けずに、立派に育ちました。
同時期に不耕起直播して育てた別の品種の丸ズッキーニは、この頃には雨にやられて全部溶けるように枯れてしまいました。
品種が違うので直接の比較は出来ませんが、「野良生え」の「サパァジィド南瓜」は病虫害の気配もなく、元気に育ちました。
大きな実が2つ付いて、さらに次々と花を咲かせています。
この実は採種用なので大きくなり過ぎています。テニスボールくらいの、もっと緑の淡い頃に収穫すると美味しいです。
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ツルが2mくらいに伸びて、古葉から新葉まで綺麗に茂っています。
雨が多かったせいか、天敵の「ウドン粉病」も殆ど出ていません。
はっきりとした理由は分かりませんが、「野良生え」で自然に生えたの野菜は、栽培品よりずっと元気だと感じます。
自然に落ちたタネから生育する事で、より育ち易い場所に落ちたより強いタネが選択され、発芽し生育する過程で周囲の草や土壌生物などと上手く折り合いを付けて行くので、目には見えないけど作物自らが好適な環境づくりを行っているのかもしれません。
また、昨年の親作物の生育で、土壌環境がこの品種に適する方向に変えられつつあるのかも知れません。

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葉も出揃って、今が一番綺麗な時期かもしれません。
「野良生え」としては理想的な生育をしてくれました。

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一株しか発芽しなかったので、チョット寂しい感じです。
完全な「野良生え」だと、どこにどれだけ生えるか分からないので、栽培量は不安定です。
「野良生え」も生えるくらいの環境を大切にして、タネは良い物を選抜して適期に播種するのが良いと思います。