毎春恒例の「カエル話」です。
2014~15年にこっちに越して来て、最初は一坪くらいのビオトープを作って水を貯めました。
真っ先に来たのは、アマガエルとトノサマガエル、次がヤマアカガエルだったと思います。
それから毎年0.5a(15坪)くらいずつ水田を造成して、ソレとともに産卵に訪れるカエルの種類も少しずつ増えました。
シュレーゲルアオガエル、モリアオガエル、ツチガエル、ヌマガエル、蛙じゃないけどイモリなんかも来るようになりました。

でも、なかなか産卵してくれなかったのがコイツ↓です。


遂に産みました。特徴的な卵塊の形状でスグに分かります、「ヒキガエル」です。

ホラ↓

でっかいですよ、ラスボス感たっぷり、これはオスです。メスは下の水の中に居ます。
3年くらい前から、毎年この時期に圃場の周囲をウロウロしているのは見ていたのですが、何故か産卵はしてくれませんでした。
今年も2月末に圃場に入って来ているのを見かけました。
今年こそはと(と言っても何か私が努力したワケじゃありませんけどね)気を付けていたら、遂に3月16日に産卵を確認しました。
コレ↓は産んだ直後の卵塊、上の画像のモノを他の場所に移したものです。

今年はヤマアカガエルの産卵が一ヶ月遅くて、3月に入ってたくさん産み始めました。
ヒキガエルが産んだ区画も、既にヤマアカガエルのオタマジャクシが大量に発生していて、早速ヒキガエルの卵にたかっていました。
オタマジャクシは何でも食べるので、一晩経つと影も形もなくなりますからね。
野生生物ですから、余計な手出しはイケませんけど、やっとの産卵でしたので緊急保護しました。
コレ↓は別の区画に数日前に産んでいたものです。後になって気づきました。

ココはヤマアカガエルがあまり産んでいなかったので、ヒキガエルは無事孵化して、小さなオタマジャクシになっています。


真っ黒い小さな細い木の葉みたいなオタマがたくさん生まれています。
しかし、不思議なんですよ。
ヤマアカガエルとヒキガエルはほぼ同じ時期に産卵します。
生息域もほぼ同じ、山林の林床です。
どういう風に棲み分けているのでしょうか?
今年は産卵例が2件だったので、チョット傾向は分かりませんが、やはり他種が既に産んでいる所は避けるみたいですね。
次に産み始めるトノサマガエルも他種のオタマジャクシの居ない所に産みます。
アマガエルは少しずつ長期間、他種の隙間を狙って産む感じです。
シュレーゲルアオガエルやモリアオガエルは泡で包んだ卵塊を木の枝に吊るしたり、土の中や岩の間に産んで、オタマになってから水に入る戦略です。

ヒキガエルはどうやってヤマアカガエルのオタマの侵略から逃れているのでしょう?
産卵から孵化までは10日くらいかかり、ヤマアカガエルより遅い感じです。
孵化してもオタマはとても小さく動きも鈍く、成長も早くないので、同時にヤマアカガエルが産卵したらソッチのオタマが先に生まれて大きくなってヒキガエルの卵を食べてしまうと思います。
何か生き残りのワザを持ってるんだろうと思うんですけど、今年はよく分かりませんでした。

ともかく、コレでこの地域に生息する蛙のほぼ全部がウチで産卵するようになりました。
ヒキガエルは蛙になったら水場から離れて陸で生活するし、寿命も長いので、圃場の周辺に定着してくれるんじゃないかと期待しています。

まぁ、蛙が居るから生態系が豊だとか、害虫を食べてくれる、とかは思わないんですけど、圃場の生き物達の変遷を理解する一つの指標になると思います。
だんだんと種類も個体数も増加してきていると言う事は、圃場の生産力も向上してるんじゃないかと思います。