ローリングサンダーで遊んでみた(レビュー69) | バーチャルコンソールクエスト

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不定期でお送りしておりますバーチャルコンソールレビュー。
69回目の今回はアーケードのローリングサンダーをお送りします。
それでは


ローリングサンダーは1986年にナムコが発売したアクションゲームです。

ナムコの源平討魔伝が86年10月に登場し大好評を博す中
年末にテーブル筐体向けに投入されたのがローリングサンダーです。
同時期、他社だとコナミの魂斗羅、タイトーの奇々怪界、デコのカルノフあたりが
アクションでは人気ありましたかな。

あの源平討魔伝の次のタイトルということで
ナムコどんなゲーム作ったのかと興味津々迎えられた本作。
そこへ登場したのは4方向レバーとショットボタン、ジャンプボタンを駆使し
謎の男・マブーが率いる秘密組織ゲルドラの壊滅と
先に潜入しゲルドラに捕まった工作員・レイラを救出を目指す
オーソドックスなアクションゲームでした。
ゲームは5ステージで1周、2周目でマブー登場で倒すとクリアとなります。


当時、みんながナムコの新作だとコインを投入したんですが
やり込む人はあまり現れませんでした。
カルノフの方が人気あったなあ、僕の周りでは。
ローリングサンダーの主人公アルバトロスより不細工なハゲでデブのおっさんが主役で
動きももっさりしてたんだけど、それでもローリングサンダーより人気あったなあ。
カルノフは稼働から1年経つか経たないかの時期にナムコからファミコン版出ましたが
ローリングサンダーが移植されたのは89年でした。
この差は一体?
ということで、アーケード版のローリングサンダーの評判が芳しくなかったのは何故なのか
検証してみようとレビューにチョイスした次第であります。


ローリングサンダーは007のような華麗なアクションをゲーム化した作品です。
敵の設定はショッカー染みてますがw
アルバトロスや敵が繰り広げる、ハリウッド映画や外国の刑事ドラマ
もしくはルパン三世のような華麗なアクションが最大の売りです。
そういえば87年11月にナムコから出たファミコン版ルパン三世は
ローリングサンダー的でしたなあ。
けっこう難しかったけど五右衛門の着るアクションが好きでよく遊んだなあ…
って、ルパンの話じゃないですな、失礼しました。

華麗なるアクションが売りのアクションゲーム。
そのアクションへのこだわりはハンパではなく
とにかくリアル八頭身のキャラがアクション映画さながらに動き回る様は圧巻。
レバー上+ジャンプボタンでハイジャンプして上のフロアに飛び移る際のしぐさや
逆の操作で飛び降りるとき、銃を撃つ時のポーズのかっこよさはもちろんのこと
雑魚敵がやられて溶けたり、燃え上がったりするところなどほんとにハンパない作りこみで
正直よくここまでドットパターン用意したなと呆れるほどです。
これは容量やスペックの制約をハード設計の段階からどうにかできるアーケードならではですな。
そしてファミコンへの移植に3年の月日を費やしたのも頷ける。
2Dのゲームは動きに合わせた枚数画像を用意しなくちゃいけません。
性能の低いファミコンで、八頭身のキャラクターを活き活き動かすなんて至難の技ですからなあ。
ナムコはこの頃源平討魔伝やワンダーモモといった
大きなキャラが活躍するゲームを次々生み出してますが
ローリングサンダーは動きという部分にクローズアップしてみると
一番の仕事してるんじゃないかなあ。
ほんとに、相変わらずいいリアクションするなー、敵さんたちは。
打たれて溶ける様はもちろんのこと、壁にステルスで潜んでて湧いて出るところや
黒豹の飛び掛りモーションとかかっこええなー
つーか、黒豹はロデムやなーwww


てな感じでグラフィックには感動しまくりでしたが
ゲームとしては並、いや、並以下。
並以下って言い方はちょっと言いすぎな気もしますが
ゲームとして不親切な部分が多く、多くの人に面白いと感じさせる配慮が足りない感じで
アクションとしての爽快感よりストレスに感じる部分の方が目立つなあ。

昔の敵を飛び道具で倒すゲームの多くは縦スクロールの作品なら左右
横スクロールの作品なら上下が死角になります。
で、敵は大体死角を突くように攻めてきますよね。
ここをどう上手く捌くかがゲーマーの腕の見せ所なんでありますが
八方向に移動できるシューティングは操作でどうにかするできる場合も多いので
わりとストレスなく遊べたりするんですが
アクションの場合は処理する難易度が高くなりまして、ストレスを感じる割合が高くなります。
ロックマンなんかを想像してもらえるといいかと思いますが
重力という制約もありジャンプを駆使してもけっこう食らっちゃいますよね。
で、その部分をどう面白く捌かせる仕掛けを用意できるか。
というのがゲームデザインのひとつの見せ場であります。
ぱっと思い浮かぶのはパワーアップアイテム、代表的なのは広角ショットかな。
またライフ制というのもそのひとつでしょうな。
不慮の事故への救済措置。
名作アクション、名作シューティングアクションの多くはシステムが持つ死角、
弱点とも言える部分を逆にゲームの面白さとして昇華させることに成功しているんですが
ローリングサンダーには残念ながらその工夫が見当たりません。
というか、その弱点の部分をさらに際立たせるような場面が多い。
ショットに弾数制限ありとか、ジャンプ中攻撃不可とか。
リアル表現に重きを置いてるので敵をジャンプでやり過ごすといったことも
相手より高い位置にいるといった地形的条件が整わなければ無理。
ローリングサンダーにはライフゲージがあるんですが
敵に触れると半分、攻撃食らうと一撃で全部持っていかれるという実質一撃死仕様で
ローリングサンダーのように敵をジャンプでやり過ごせないタイプのもだと
食らってもダメ、敵に触れるのもほぼダメ、というシステムは辛いよなあ。
広角に攻撃できるパワーアップアイテムがない名作もありますが
本作はジャンプ中攻撃不可というのがちょっと痛すぎます。


ローリングサンダーには初期型とバランス調整やバグの修正、
ステージ間のデモ演出の追加を施された改良型の2バージョンありまして
僕らが初体験したのは初期型ですね。
1面から敵がワラワラ出てきて、あっという間に弾切れ。
弾薬が底をつくと速度の遅い弾が1画面に1発という制約を受ける上
敵をジャンプでやり過ごすことが極めて難しいゲームだったので
敵に圧倒され死亡、というパターンが多かったですな。
また、死んだら復活ポイントからの再プレイになりまして
最近のゲームのようにその場復活、連コインでゴリ押し、ということも出来ずに
同じことの繰り返しとなるので早々にこれつまらんわ、もういいわ。
という評価になったものも頷けます。

ちなみにVC版は改良型になります。
改良型は、僕らのような早期脱落者を減らすべく序盤は初期型よりやさしくなっており
今の僕でも1周はなんとかなった。
あと、ステージ間のレイラ関連のものばかりで、フェリオスのアルテミス様同様
お色気でプレイヤーの気を惹こうとするパターンですwww
永久パターン防止や上級者対策のアッパーバージョンが出ることはよくありましたが
こういったテコ入れ的な形の改良版が出るのはけっこう珍しい気がするなあ。
ローリングサンダーは僕の周りだけでなく全国的にイマイチな評価だったりするのかな。

弾数制限はゲームを盛り上げる要素としてみると
敵地潜入の緊張感を上手く表現していると見ることも出来るのですが
まだまだ経験地の少ない僕らは制約をストレスに感じることの方が多かった。
楽しむには、理解するにはユーザーの側にかなりのスキルや洞察力が必要であります。
1コイン入魂のアーケードでこのストイックさを理解してもらうのは
けっこう難しいんじゃないかと思います。
また、ステージ奥にボスが控えるわけでもなく
淡々と潜入行動が続きますんでゲームとしての派手も欠けますね。
敵を遮蔽物に潜む敵をハイジャンプで釣って落とすとか
局面局面ではゲームらしい要素もあり、ちゃんと付き合えば楽しめる
決して出来の悪いゲームじゃないんですけどね。
積んであるタイヤに隠れながらの銃撃戦なんかは
のちのタイムクライシスである、といいった趣もありましたしwww
しかし、映画的なアクション、リアリティのあるアクションを求めた結果
アクションゲームとしての爽快感が損なわれてしまった印象を受けます。
制作者が追い求めたスパイアクションしての面白さが
ワンコインに懸ける僕らには上手く伝わらなかったんでしょうなあ。


それまでアイデア、グラフィック、音楽、すべての面でファミコンなどの家庭用ハードを
凌駕してきたアーケード作品でしたが85年のスーパーマリオ以降
メトロイドや悪魔城ドラキュラといった人気作がファミコンで生まれました。
僕の周りで不評だったローリングサンダーは
よく、メトロイドの方が面白いとか、悪魔城ドラキュラの方が面白いよね。
などとファミコンの名作と比べられてダメ出しされてた記憶があります。
そういえばドラキュラのアーケード版が出た時も
家庭用の方がいいって意見が多かった気が。

駄菓子屋の軒先でサーカスに出会って以来僕らの世代は
アーケードと共に育ってきてその進化の過程を目の当たりにしてきましたので
アーケードゲームは最高である。
という意識が常に働いてきました。
しかしながら、スペック的に劣る家庭用ハードは
グラフィックや音楽ではアーケードでは敵わない分
ゲームの面白さ、アイデアで勝負を挑んでいきました。
そして、多様なゲーム性という部分ではアーケードをも凌ぐ
ものすごいスピードで進化していきました。
同時に、僕らのゲームを見る眼も急速に肥えていったんでしょうな。
ローリングサンダーは決して出来の悪いゲームではありません。
前にも書きましたがちゃんと向き合えばちゃんと遊べる普通のゲームでした。
しかし、普通に遊べる程度では僕らの方が満足できなくなっていたような気がします。
家庭に面白いゲームがある。
しかも遊び放題。
それでもゲーセンに刺激を求めてきてるわけですから
普通じゃもうだめだったんだと思います。
また、お財布気にせず思う存分やりこむことが出きる家庭用タイトルは
極端に理不尽ではなければ難しさはやり応えとプラスとして評価され
逆にコインを次々飲み込まれると困るアーケードは
ちょっと難しさがマイナスに働いてしまうんだろうなあ。


ゲームとして評価される難しさを見た思いであります。
動きのある画としては当時のレベルで最上級の仕事してるんですけどねえ。
なんかこう、今で言うムービーやスクショはすごいゲーム。
いやもちょっとなんか踏み込んだ感じの…
そうだ!雰囲気ゲーと呼ばれるタイプの作品。
あれに感じる惜しさに近いものを感じました。
一見実に雰囲気のある、いい素材を調理したいい感じのゲームなんだけど
実際遊んでみると、画面から見て取れるほどの面白さを感じない、と言いましょうか。
まさに雰囲気ゲーだw
最近の雰囲気ゲーほど酷い言うわけはないんですけどもね。
ちゃんと表現したい世界観とゲーム内容は一致しているwww
リアルさを求めつつ、ゲームとしての面白さを兼ね備えることに成功したのは
3Dが容易に扱えるようになったプレステ以降でしょうなあ。
それまではリアル表現するにせよどこかゲームとしての演出がないと
地味な作品というレッテル貼られてしまいそうだからなあ。
そういう意味では、ちょっと時代が早すぎたのかもしれません。

まあそんなこんなで、ゲームとしては地味でちょっとオススメしづらいんですけど
ドット芸術が衰退している現在、ドットの職人技が光りまくるこの作品は
ある意味昔以上の価値を持ってるかもしれません。
あれだけは是非とも見て欲しいなあ。
表現力の凄まじいフォールアウト3やギアーズオブウォーを持ってしても真似できない
ドットならではの豊かさがそこにあります。



ローリングサンダー
アーケード:バンダイナムコゲームス:2009年7月21日配信開始
DLに必要なニンテンドーポイント:800


僕のオススメ度  60%