熱血高校ドッジボール部PC番外編で遊んでみた(レビュー51) | バーチャルコンソールクエスト

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バーチャルコンソールレビュー、51回目の今回は
比べてみようシリーズと題しまして
熱血高校ドッジボール部PC番外編をお送りします。
それでは


アーケード版から約3年、ファミコン版から約2年遅れて登場したPCエンジン版。
開発はファミコン版といっしょでテクノスジャパンですが
版権関係か、それとも他社ハードで出す場合色々大人の事情があったのか
よく分かりませんが発売元はナグザットになっております。
そうそう、このドッジボール部はテクノスのPCエンジン進出1作目なんですよね。
これを皮切りにファミコンの名作の多くがPCエンジンにも移植されております。

前回のレビューでアーケード&ファミコン版ドッジボール部を紹介して
ドッジボール部の基本部分はほぼ説明し終えてますので
今回はアーケード版&ファミコン版との相違点を中心にお送りいたします。


まず最初はグラフィックですね。
ファミコン版では、アーケードのようにキャプテンと子分の大きさに
メリハリをつけるのがスペック的に厳しかったこともあり
すべてのキャラが同一サイズで描かれてましたが
スペックアップしたPCエンジン版はキャラのサイズは
アーケード版と同様のものとなりました。
子分キャラとゾンビキャラの描き分けが顔だけとか
色数の問題かキャラや背景の描き込みが不足しているとか
オリジナルには若干及ばない部分もありますが
ファミコン版に比べると格段にパワーアップしたグラフィック。
細かい所気にしなければほぼアーケードそのままと言っても差し支えない出来であります。
ファミコン版からの方は、この主要キャラ以外のキャラの
あまりの貧弱さに違和感を覚えるかも知れませんが
ゲーセンで散々遊び倒していた僕は
ほぼアーケード通りのPCエンジン版の方が馴染みがあって好きですね。
試合中の画面のチラツキがほぼないのも好印象。
見た目はやっぱりPCエンジン版に軍配でしょうな。

では中身の方はというと、グラフィックはアーケード版ベースですが
決してアーケードのベタ移植ではなく、ファミコン版で導入した
多彩な必殺シュート等はPCエンジン版でも採用されています。
必殺シュートは使い勝手の悪かったものは性能アップ、
強すぎたものは弱体化とバランスを再調整されていて
どれもそこそこ使えるものになりました。
まあここまではファミコン版とアーケード版のいいとこ取りといった印象ですが
実はシステム面で

・一人用モードでアーケード版にあった制限時間が復活
・守備位置変更が出来なくなった
・各キャラのパラメータが大きく変更され個性が必殺シュートと耐久度程度になった
・ナイスシュートがなくなった
・インドチームがなくなった
・対戦モードが同一性能のチームでの2P対戦のみとなった

とちょっぴり残念な変更もありました。
なのでアーケード版で遊んだ事あるかないか、
対戦を重視してるか否かでけっこう評価が異なるかもしれません。
ファミコン版の自由度の高さが損なわれちゃいましたからね。
アーケードの改良版、としてみるならよく出来た移植なんですが
ファミコン版の再移植、としてみるとけっこう不満の残る内容であります。

とはいえ、グラフィック強化の恩恵はかなりのもので
守備変更できなくても内野の各キャラは固有の必殺シュート持ってますんで
一人で遊ぶにはそんなに不満はありませんでしたね。
グラフィックに加えインドチームの削除に制限時間の復活等ファミコン版の移植ではなく
アーケード版の移植作とみて評価すべきなんでしょうな。

PCエンジン版は一人対戦に加えくえすとモードという一人用モードがありました。
PCエンジンでは、88年にナムコが発売したプロテニスワールドコートにて
ランダムエンカウントで1ゲームマッチを行いお金を貯めて装備を整えながら
各街のボスと1試合戦って撃破しつつ最終的に魔王を倒すという
テニスをドラクエ風にアレンジしたクエストモード(見た目もドラクエ風)
というのが発表され大好評を得てまして
それ以来スポーツゲームの一人専用モードがちょっとしたブームになったのでした。
ドッジボール部もその流れに乗っかってくえすとモードを用意したものと思われます。
こちらは選手に紛れて潜伏した宇宙人を捜し出して倒すという
かなり風変わりなモードなんですが
これで対戦した国で宇宙人が見つけられなかった時に
相手国のキャプテンを仲間にする事が出来まして
これを繰り返す事で内野陣が世界選抜のような状況になりまして
これがけっこう楽しかったりするのでした。



本作が登場したのが1990年3月。
この付近でのテクノスの動きを見てみますと
1989年にはダウンタウン熱血物語、90年には大運動会、91年には時代劇と
年一本ペースでファミコン史上に輝く名作として挙げられる
超強力なタイトル連発してた時期であります。
これらの、サービス精神の塊のような作品群を目の前にすると
同時期に発売されたPC番外編はちょっと劣って見えてしまいますね。
ファミコンの開発が忙しく、PCエンジン版に力を注げなかったのではないか?
実は開発側としてはアーケードのベタ移植をやりたかったのに
しかし大人の事情でFC版の要素やくえすとモードが追加されたため
中途半端に終わってしまったのではないか?
なんてことを勝手に色々思ったりしています。
いや、僕はアーケードのベタ移植でも全然問題なかったんですけどね。
でもファミコン版のみのプレイヤーだと相当微妙だろうなあ、ベタ移植だと。
今だと価格を下げて発売するという考えも浮かびそうですが
この頃は小売価格ほぼ横並びでしたからなあ。
価格に見合うサービスを施したかったのかも知れませんね。
色々書きましたが実際の所はどうか分かりませんw

バブル真っ只中この時期は、時代の覇者ファミコンに挑むべく
PCエンジンやメガドラが登場し、さながら三国時代のようで
覇権を争うべくゲーム業界全体で毎月ものすごい量のソフトが供給されてましたから
テクノスに限らず各社この出来はちょっとなあ、
という作品を出してる事も少なくないですね。
逆に埋もれてしまった名作も少なくないですけど。
すべてのお客さんに評価されるのは難しいですなあ。
あの時期の仕事量を考えると、テクノスの作品はどれもがんばってると思います。
これもちゃんと、十分すぎるほど遊べます。
今と違ってアーケードの作品が絶対的価値を持ってた時代に
アーケードに迫るグラフィックで登場した本作は
それだけで十分に価値のあるゲームでしたよね。
ドッジボール部に限らず、当時はアーケードを元に色んな作品が移植されまして
その劣化っぷりもしくは神移植っぷりに一喜一憂したものですが
たとえ劣化していても、それはそれで趣き深かったりするので
出来る事なら各ハードに移植されたすべてのタイトルVC化されて
おのおの遊び比べる事が出来るとうれしいですね。
今回はドッジボール部を遊び比べてみましたが
やはりそれぞれに味があって大変面白かったです。
僕はSFC版未プレイなんでこいつも出てくれるとうれしいですなあ。
その時は再び遊び比べてみたいと思います。



熱血高校ドッジボール部PC番外編(naxat soft)
PCエンジンソフト・2008年9月30日配信開始
DLに必要なWiiポイント:600


僕のおすすめ度  80%