バーチャルコンソールレビュー44回目の今回は
注目度が高いのか低いのかよくわからないMSXタイトルから
EGGYをお送りします。
つーかまだ二本しか配信されてませんけどね。
それでは
EGGYはボーステックからMSX始め1984年付近に元気に稼動していた
パソコン向けに発売されたアクションゲームです。
しかもこれカセットテープのゲームだ。
もうカセットテープを知らない世代が沢山いそうなのが恐ろしいなあ。
し、知ってますよね、カセットテープ?
昔はカセットテープも記憶メディアのひとつだったのですが
ほどなくフロッピーディスクが発明されて記録メディアとしての役割を早々に終えたのでした。
ほんと懐かしすぎるな、カセットテープのゲームなんて。
ガーピー五月蝿かったしロード時間死ぬほど長かったなあ。
えー、まず最初にお断りを。
EGGYの存在は知ってましたがこれがどんなゲームだったのか。
大体MSX用のソフトだったかどうかということからして全然不明瞭だったりします。
SF3D(現在はマシーネンクリーガーと呼ばれてます)のような世界観の
なんだか面白そうなゲームがあった、程度の認識です。
当時パソコンゲームには興味津々でしたが何十万円もするパソコンを中学生が
手にするなんてことは無理でしたからパソコン雑誌を眺めて過ごすしかなかったのです。
パソコンソフトの多くはマルチ展開ででしたから誌面で見てた画面が
MSXなのかFM-7かPC6001や88・98なのかよく覚えてなくて。
なので80年代中期のパソゲーに関しては色々誤解してる可能性があります。
MSX所有者でもなかったし友達の家で遊んだことある作品の多くは
ROMカセットだからなあ。
なんか変なこと言ってたらゴメンね。
ここまで色々レビューをしてきた中で
レトロなゲームは時代や当時のゲーム事情がわかるとより面白い
と感じてきてるのでもし当時を知る方がいたら色々教えて下さいね。
こそ~り修正しておきますのでwwwww
そんなこんなでEGGY初体験。
僕が想像してた、SF3Dのようなアクションゲームという予想は当ってるのかwww
そうそう、WiiチャンネルでVCタイトルを選ぶと
ゲームのタイトル画面がアップになって遊ぶかどうか訊いてきますが
この時の背景は各ハードのロゴがスクロールしてますよね。
多くのハードは白地にグレーのロゴとさりげなく流れてますが
MSXの場合、青背景にロゴが流れていてなんか妙に目立ちます。
その目立ち具合がちょっと愉快ですね。
さてさて、始めますか。
ゲームを始めてまず驚いたこと。
BGMがありません。
無音の世界。
ショット音や破壊音等SEのみの世界。
これにはちょっと度肝を抜かれる。
でも、そういえばそうだった、昔のパソゲーはそうです。
パソゲーに限らず昔のゲームはそうですよね。
インベーダーは侵略音とショット音だけだし
パックマンもギャラクシアンもステージ冒頭やインターミッションBGMはありますが
ゲーム中のBGMないですよね。
忘れてたなあ、そんなこと。
こんな感じでしょっぱなからあっけに取られましたが
画面の方もこれまたすごい。
白と黒のみ、モノクロの世界であります。
こんなんよくVCで配信しようと思ったなあ。
なんて思いながらプレイ開始。
ゲーム内容は、エナと呼ばれるボディアーマーを操作して
惑星EGGYに投下される戦略物資を回収するゲーム。
EGGYってゲームの舞台の名前だったのか。
タマゴ型のポッドだからエギーかと思ってたよ。
ドンパチするゲームでもないし昔の記憶大ハズレだぞ、俺orz
操作は十字キーの左右で移動、ボタンで地上攻撃。
地上攻撃、ということでショットは斜め下に向かって発射されます。
ゆえに重要となってくるのがジャンプ。
というかジャンプが本作の肝、ジャンプこそが華、です。
具体的どういう操作かといいますと、十字キーの下を入力して、離すとジャンプです。
下を押してる時間、すなわち溜めてる時間が長ければ長いほど
高くジャンプすることが出来ます。
左右で移動することも出来ますがのらりくらりしてるので
おのずとジャンプして移動するようになりますね。
進行方向側へキーをいれると勢いよく遠くへ、逆方向へ入れると高く緩やかに。
とまあこんな感じですが、このジャンプした時の感覚が秀逸。
独特の浮遊感を伴って非常に気持ちいいのです。
また、白黒画面ながらアニメパターンが豊富なためエナがいきいきと動きます。
最初こそ操作に戸惑いますが、慣れるとこれは病み付きになる。
操作は分かった、次はゲーム性だ。
数画面分のマップがループしており、画面下のレーダーを見ながら
物資を回収していくアクションゲーム。
お邪魔キャラとしてホバータイプの戦車や航空機が登場しますが
空の敵は破壊不能なのでひたすら回避、
地上の敵は攻撃できますが地上には惑星EGGYの住人・ミミア人がうろうろしてて
彼らを攻撃しちゃうと武装してゾルムというお邪魔キャラに変化するので
うかつに攻撃するわけにもいきません。
攻撃はけっこう的確に行なう必要がありますね。
どちらかというと、避けゲーっぽい。
物資回収、というか物資が20個投下されまして
物資はパラシュートでふわふわ降りてきた後地面へ落ちて一定時間で消滅。
20個投下し終わった時点で生き残ってたらクリア。
回収した物資×生存しているミミア人=ボーナススコアとなってますので
その辺も計算しつつエナを操作してハイスコアを目指します。
エナはダメージ制で、敵の攻撃を受けるとライフが減っていき0になるとゲームオーバー。
ライフを回復するにはゾルムを攻撃して足止めし、それを上から踏みつけると回復します。
そう、ここでプレイヤーは情況に応じて選択を迫られるわけです。
ゾルムは初期配置でも何体か存在しますがそんなに数はいません。
となるとミミア人を攻撃してゾルム化させライフ補給、という手が出てくるのですが
ミミア人の生存数はボーナスへ直結しますのでこの辺の駆け引きが出てくるのです。
うん、なかなかよく出来てるじゃないか。
全体で見るとブローダーバンド社の名作・チョップリフターを
上手くアレンジした感じのアクションゲーム。
ふーん、EGGYってこんなゲームだったんだ。
BGMなし、画面白黒と一見痛々しいゲームなんですが
やっぱゲームは遊んでみるまでわかりません。
まず、一見貧弱と思われた白黒画面ですが動いてる画面は一味違います。
敵味方共アニメパターンがよくできてるのです。
エナのジャンプモーションはもちろんのことミミア人の動き、
特に誤って攻撃したり踏み潰してしまったりした時のしぐさなんか最高。
モノクロな背景も必要最低限のものしか描かれてませんが
それが逆によくって非常に味わい深く仕上がっています。
なんっつうか、見せ方が上手い。
画面が左右ループしてることもあり、風景としてよく出来てます。
また、シンプルなSEがこれまた印象的。
敵を撃破したり、エナが被弾したりすると、白いドットが飛び散って
それとともにバーンっという音がなるのですが
これが普段静寂に包まれてるが故にさらに強調されてなんとも美しいのです。
そして痛さも十二分に伝わってきます。
こうなるとBGMなんてものはいらないなと思えてくる。
静と動の美しさをつきつめたゲームだと思えてくるから不思議であります。
いやはやこれは名作でありました。
正直あの画面に700ポイント払うのはかなり勇気がいりましたが
十分満足のいく出来でしたよ。
いや、でも今時の若者にはやっぱり高いか、700ポイントは。
ゲーム内容自体はアイテムを回収してスコア競うだけですからね。
500~600ポイントで買える8bitマシンのソフトの方が
お安くて遊べるものが多いのも事実です。
でも僕は感動したな。
1984年当時の作品、しかもアクションが不得意なパソゲーだと思うと
この表現力の豊かさは賞賛に値します。
白と黒だけでここまで美しい作品を作れるとは。
いいもの見せてもらいました、ありがとう。
と心の中で深くお辞儀をしたマダオでした。
ゲームの価値はやり応えである。
そういう意味でEGGYはすっかり時代遅れの過去の産物でありますが
キャラクターを操作する楽しさ、という価値もゲームにはありまして
その点で見るとEGGYは今だに損なわれない魅力に溢れておりますので
そこに価値を見出すことが出来る方は是非。
ボリュームだけがゲームじゃないんだよなあ。
僕はアレスタとEGGYどっちがオススメ、と訊かれたらEGGYを推したい。
正直こんなに心に残るとは思ってもみなかったよ。
すごいゲーム発掘した感じでとても興奮しております。
いやほんと、ゲームは遊んでみないと分からないもんです。
EGGY(D4エンタープライズ)
MSXソフト・2008年7月29日配信開始
DLに必要なWiiポイント:700
僕のオススメ度 88%