1stbitには伊藤哲也という取締役副社長がいる。会社を一緒に立ち上げた。
技術のファーストビットと言われ、会社がここまでこれたのは100% 彼の力による。
「共同経営なんてうまくいくわけない」
「共同経営が1年以内に破綻する確率は90%だ」
「仲良しではじめて上手くいくほど甘い世界じゃない」
色んな人間に好き勝手言われた。悔しかった。
だから伊藤を誘うときにボクはこう言った。
「万が一モメることがあったら、どんな儲かってても会社は全部やるから。
一緒にやってくれないか。伊藤さんとやれるチャンスを貰えるだけで悔いはないから。」
「あはは、辞めるときはオレがやめるから安心しろよ、面白そうだからやってみよーぜ。」
そんな会話だったのを覚えている。
あれから3年半が経った。ここまで来たのか、ここまでしか来れていないのか。
たくさん失敗もしたし、カッコ悪い経験もした。
でもいい時間を過ごすことができた。本当にそう思う。
会社の売り上げが全然上がらないときも、伊藤はひと言も文句を言わなかった。
じっと会社にこもり、チャンスを待ち続けてくれた。
「オレは朝から晩まで働いてるのに、ヘラヘラして外にばかり出て、
金を作るどころか使ってばっかりいるんじゃねーよ。」
例えそんな風に言われても仕方ない状態だった。
少しずつ仕事が回るようになってからも、気がつくと黙って、
ボクがやり散らかした後を何も言わずに片付けてくれていた。
いまでも時々伊藤はこんなことを言う
「あんたがやってダメなら仕方ないよ。
誰にも代わりはできないんだから。好きにやりなよ。どうせ言っても聞かないだろうし。」
ボクは散々、デカいことを言ってきた。年上の伊藤に対しても失礼なことをたくさん言った。
「100万作る」「1000万作る」そして「上場する」
1円の売り上げも1人のお客さんもいないときから
その時々でなんの根拠もなく突拍子もないことを口に出しては言ってきた。
「頭おかしいんじゃないの?」
笑いながら、いつもそう言われた。
そしてどんな失敗をしてもいつも許してくれた。
ボクのたくさんのダメな部分を見ないふりをしてくれた。
ただただ感謝の気持ちしか思い浮かばない。
知り合いの社長達と飲むと時々冗談で言われることがある。
「ファーストビットが潰れたときには安田はいらないけど、伊藤さんだけはなんとしても欲しいな。」
会社をはじめて本当に良かったと思うことがひとつある。
仲間が褒められることは自分が褒められるよりずっと誇らしいことだと気付けたこと。
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