「何をやってる。」

そこにいたのは圭介だった。

「麻琴から離れろ。」

圭介は怒りを押し留めているように低く唸った。

「なんでお前がこの電車にっ!」

男は苦虫を噛むような顔をして言った。

「あいにく今日は部活で遅かったんだ。隣の車両から偶然お前を見つけたのさ。まさか麻琴が乗ってるとは思わなかったけどな。」

圭介は得意気に言ったが確実に男との間合いを詰めていく。

「やっと1つになれると思ったのに…」

男はうつむき圭介を下から睨んだ。

そしておもむろに上着のポケットに手を突っ込むと中から鋭利なナイフを取り出し圭介に向けた。

「僕達の邪魔をするなっ!!!!」

それをかわきりに男は圭介へと切りかかった。

圭介は至極冷静で男をヒラリとかわすと手刀でナイフを叩き落とし男の右腕を後ろで捻り上げた。

あっという間に男は圭介に刑事ドラマのワンシーンのごとく取り押さえられた。

「くっ!離せっ!!麻琴は僕のものだぞっ!!」

「麻琴は俺のものだ。」

ジタバタと騒ぎ立てる男に圭介は優劣を示すように上から言い放った。

すると男は途端に大人しくなり抵抗をやめた。
「麻琴…優しくしてあげるね。」

男はそう言ったが麻琴はもう寝息を立て始めていた。

前回と違うところは薬が催淫薬から睡眠薬へと変わったところだった。

「麻琴は寝顔も可愛いいね。…おいしそう。」

そう言うと男は麻琴の顎を掴んで引き寄せ、薄紅で花が咲いたような形のいい麻琴の唇にその血色の悪い唇を重ねるとねっとりとした舌を侵入させた。

「ん…ん……ぅん…」

麻琴は息苦しさと口腔の違和感から声を出した。

男は麻琴が起きないように唇を離すと麻琴の全身を舐めるように見てシャツのボタンを1つずつ外し前をはだけさせた。

「やっと僕達1つになれるね。麻琴も僕と同じ気持ちだろ?」

麻琴が寝てるのをいいことに男は麻琴が自分と同じ気持ちであることを強要した。

そして男は麻琴のはだけたシャツの間から覗く薄ピンクの乳首を指で摘みあげた。

「う…うん……んんっ…」

麻琴は外部からの刺激に身をよじらせたが男は執拗に麻琴の乳首を攻めた。

「だっ…はっ……やか…わ」

無意識のうちに麻琴は誠人の名を呼んだがそれを聞いた瞬間男は嫉妬に狂い乱暴に麻琴の髪の毛を掴むと身体を起こした。

「お前は僕のものだぞ。」
「麻琴…泣いてるの?」

麻琴は聞き覚えのあるような声を思い出そうとしたが思い当たらず薄く目を開けて声の主を見た。

しかしその声の主の顔は麻琴へと伸ばされた手で隠れて代わりにその耳たぶの下のホクロが見えただけだった。

『これって…見たことある………。』

ぼんやりと麻琴は近付いてくる手を眺めてそう思った。

「大丈夫。もう誰にも邪魔されないよ。ここには2人きりなんだから。」

そう言ってこの乗客はニヤリと笑ったようだった。

『……こいつまさかあの時の!!!!』

気付いた時には遅く伸ばされた手は麻琴の口を覆っていた。

「ふぐっ?!…ん~っ!ん~っ!」

麻琴は休息を貪る身体に鞭を打って必死の抵抗を見せたが思うように身体がうごかず布に染み込んだ液体が少しずつ麻琴の口腔に入り込んでいった。

『やだっ!!こんなやつにあんなことされるなんて絶対やだ!!!』

麻琴は必死で口を塞ぐ手首を掴んだがその手は虚しく力が抜けてするりと外れてしまった。

『速川以外のやつにあんなことされるの…いやだよ…』

薄れゆく意識の中で麻琴は誠人を想い涙を溢れさせたがねっとりとした手が麻琴の涙を拭った。

『速川……助けて…』