§マザーグースの住民1 Jack and Jill | マザーグースのうたに魅せられて

マザーグースのうたに魅せられて

英国伝承童謡(Nursery Rhymes)はマザーグース(Mother Goose)
という名で知られています。

このマザーグースで、すっかり魅了された私、ふぁざぁぐうすが、
つたない知識と英語力でマザーグースについて紹介していきます。

ひゃっひゃっひゃっ!

どうじゃ、相変わらずポケットには花びらいっぱいかね?
そうか、それは結構。結構。

今日はマザーグースの住民を紹介しよう。さよう、ジャックとジルじゃ。
古くから伝わる歌でな、マザーグースの本では最も古いとされる、
Mother Goose's Melody or Sonnets for the Cradle,1765?
(マザーグース、またはゆりかごのためのソネット 1765年ごろ)
という小さな本には、既に掲載されておる。

しかもの、この歌はwater と afterが韻を踏んでおるじゃろう。
詳しいことは解らんが、押韻史上、この2単語が韻を踏むのは17世紀前半までらしい。


つまりこの詩は遅くとも17世紀後半には存在した歌と言う事になる。

さて、この歌を巡って議論は絶えない。
ジャックとジルの関係は?
この歌に隠された意味は?
そもそもなぜ、水を汲みに「丘を登る」のか?

最後の謎に着目しよう。水は当然高いところから低いところに流れる。
従って水を汲みに行くのは丘の上ではなく、谷であるべきだ。というわけじゃ。

その為、この行為自体が何やら宗教行為ではないかと考えれられたのじゃな。
そして、北欧神話のHjuki(ヒュキ)とBil(ビル)の話が転じたものだという説がある。

ヒュキとビルは子供で、ミッドガルドの泉で水を汲んでいたとき、月の神マーニによってさらわれ、従者となった神とされている。

或いは、ジャックはフランスのルイ16世で、lost his crownとは彼が打ち首になったことを意味し、ジルは次いで殺された、(tumbling after)マリーアントワネットである。という説もある。
もっとも、このルイ&マリー説は彼らの処刑が1793年なので、少々無理がある。

 他にも、チューダー朝のメアリー1世(在位1553-58)の時代に枢機卿とと示唆の二人が女王の婚姻話のためにフランスに出向いたという説、二人の牧師が聖水を得たという説などがある。

 更には、サマセット州キルマスドン村に実在した人物じゃという説もあるぞい。

 サマセット州はイギリスの南西部。チェダーチーズの発祥地で名高いところじゃが、その中の小さな村じゃ。西暦1500年前半に実在したとされる二人は、同棲中の恋人同士でな、住んでいた家の近く、丘の上に井戸があったそうじゃ。

 当時、その井戸の近くは石切り場でな、落石が多く危険な場所であった。二人は水を汲みに行く途中で落石に出逢い、ジャックは即死。ジルはその時の怪我が原因で数日後に他界した。

 その時に彼女は妊娠しておったが、息を引き取る前に無事出産だけは済ませたという。

そのこの子孫が、ジル(古くはGill)の子供と言う意味から 今もGilsonの姓を名乗っているとか。また、その井戸も今だにあるらしい。

真偽のほどはともかく、ジャックとジルは諺にもなっている。
Every Jack has Jill 「どんなジャックにもジルがいる」

日本でいえば、「われ鍋にとじぶた」かのう。

じゃからモテない男性諸氏よ。
ご安心召されい!!いつかお前さんもジルに出会えるってことじゃ。

。。。あ、言い忘れておったが、最初に話した「マザーグースのメロディまたはゆりかごのソネット」じゃが、この本の挿絵にはジャックとジルは男同士で書かれておる。

お前さんのジルが女性とはかぎらんぞい!

ひゃっひゃっひゃっ!