一家の大黒柱が業務に起因して自死したため遺族の労災請求が認められましたが、労災保険の金額が不当に低く算定されたため、金額の見直しを求めて審査請求している事案があります。
労災保険の金額は、被災した労働者の賃金に基づき決まりますが、事業主が本来支払うべき残業代を支払っていなかった場合、労働基準監督署は、未払い残業代も考慮して、労災保険の金額を決めなければなりません。
しかし労働基準監督署はその計算が面倒くさいのか、未払いの残業代を計算することをよくさぼります。
本件も、夜勤分の賃金について未払いがありましたが、労働基準監督署は、その未払い分を無視して、労災保険の金額を決定していました。
そのため審査請求しました。
審査請求における質問権の重要性
「審査請求によって逆転、公務災害が認定」のブログでも書きましたが、審査請求では、審査請求人は誤った処分をした原処分庁へ質問することができます。
この質問に対する原処分庁による回答で、原処分の不備を浮き上がらせることができます。
したがって原処分庁への質問事項を作成することは、審査請求におけるもっとも重要な活動だと思っています。
質問事項は、原処分庁が審査請求にあたって提出する意見書や個人情報開示請求で入手した記録から、矛盾等を見つけて、上手く指摘することが重要で、弁護士の腕の見せ所です。
質問事項を送った後『処分を見直すことにした』との連絡が入る
通常、審査請求人は、質問を実施する口頭意見陳述の期日の1週間前までに質問事項を提出し、原処分庁は、その質問への回答を準備して、口頭意見陳述に臨みます。
今回は、弁護士が口頭意見陳述の1週間前に質問事項を送付したところ、その3日後に、「原処分庁は審査請求人の求める通り給付基礎日額を増額するために処分を見直す方針となった」と連絡が入り、予定されていた口頭意見陳述が中止になりました。
こちらが事前に用意した質問事項を見て、原処分庁である労働基準監督署は、明らかに不合理な回答しかできないことを自覚し、質問に対する回答を準備するのも、口頭意見陳述でその不合理な回答を実際に述べるのも、嫌になって、諦めたのだと推測しています。
丁寧な質問事項の作成は、このように功を奏しますので、審査請求事件は当事務所にまずはご相談を。
審査官にもっと活躍してほしかった…
なお、原処分庁に対する質問事項を提出する前には、審査官宛に、原処分が著しく誤っていることを指摘した意見書を提出しましたが、その時点で、審査官の方から、「たしかに、これは原処分庁の処分が誤っているな」という考えに基づく審理指揮はなく、その点については残念でした。