THE WALL STREET JOURNAL紙はウォルター・ラッセル・ミードの「トランプ化する日本外交」というオピニオンを掲載し、日本のIWCからの脱退、商業捕鯨の再開と韓国への事実上の制裁としての輸出規制が示唆するトランプ化現象を指摘した

 トランプは中国、イラン、北朝鮮などに「制裁」を 多用している。
 また、「脱退」「破棄」としては、世界貿易機構WTOを脱退すると何度も言明しNATO脱退も示唆し、ユネスコ、地球温暖化防止の国際枠組みパリ協定から脱退し、イラン核合意から脱退し、国連人口基金(UNFPA)への資金拠出を停止し、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄した。

 このようなトランプ就任後の動きを見れば、日本政府の上記決定は、まさにトランプ化であり、日本のマスコミでも同旨の社説等で反対の表明が相次いだ。これらのトランプ化批判は真っ当なものである。
 ただ、日本政府のこのような態度をトランプ化としてだけ捉えるのは、歴史的視野狭窄といえる。
 戦前の歴史を直ちに思い浮かべるべきであろう。

 脱退については、満州国不承認決議をした国際連盟から、常任理事国であった日本は1933年脱退している。

 制裁については、日本は制裁を課せられた方だが、日本が1937年、盧溝橋事件を勃発させると、アメリカ、イギリス、中華民国、オランダは対日資産凍結と石油の全面禁輸の制裁を行うに至り(ABCD包囲網)、日本をさらなる戦争の道に追い込んでいった。日本は石油や地下資源を求めて南方地域への侵略を拡大したのである。

 安倍内閣による韓国制裁とIWC脱退は、トランプ外交の負の影響を受けたものであり、かつ現政権のDNAに深く組み込まれた国家反応性なのではなかろうか。


斎藤 浩