その10日くらい前から君のお父さんに来てもらって、家のことを手伝ってもらってたね。
ぼくはあのころから、長男のお弁当を作り始めてて。でもお義父さんが来てくれていたから、夕食の準備とかは手伝えてもらえてて、助かったなあ。
病院は大部屋が空いてなかったから、君は一泊18000円の個室に入ったんだよね。「セレブか」なんて言って笑って。
君は腫瘍がどんどん腫れちゃって、入院する頃には、本当に出産間近くらいお腹が膨らんでいたよね。
もう少し手術が遅れたら、腫瘍が破裂して死ぬところだったと後から聞いて、驚いたよね。病院の都合で手術が空くのを待っていたのに。
手術まであと2日。君はどんな風に感じていたのかな。
去年の今頃は、処方してもらった薬もほとんど効かなくて、君は全身に広がる痛みに悩まされていたね。
かかりつけの基幹病院の定期検診で、いったん抗癌剤をやめて、できることなら放射線治療にしたいと言ったんだよね。
そして、あまりにも痛みがひどいため、前に行った緩和ケアで有名な病院に電話して、予約を取って。
ぼくはできるだけそばにいて、背中から腰にかけて何度もマッサージをしたけど、本当に痛くて仕方なかったんだろうね。
ぼくは君の病気に対して、本当に無力だったなあ、って思うんだ。
笑わせて痛みを和らげることはしてたけど、もう去年の今頃は、君にそんな余裕もなくて。
手術から一年、君は本当によくがんばったよ。偉かったね。